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[総体]実力拮抗の大熱戦!帝京長岡がPK戦で新潟西に競り勝ち、4強進出!

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[6.4 全国高校総体新潟県予選準々決勝 帝京長岡高 1-1(PK5-3)新潟西高 長岡ニュータウン運動公園B]

 平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技(兵庫)新潟県予選は4日に準々決勝4試合を行い、長岡ニュータウン運動公園Bの第2試合では、帝京長岡高がPKの末に新潟西高を下した。

 実力の拮抗した一戦だった。試合の立ち上がりは、帝京長岡の勢いが良かった。ロングパスに右MF小林拓夢が抜け出す場面から好機を狙った。しかし、10分が経過すると慣れて来た新潟西に押し込まれ始め、19分にはバックパスをダイレクトで処理したGKがキックを失敗してシュートを打たれるピンチも招いた。

 新潟西の攻撃は、どんどん加速した。前半21分、相手の守備ラインの背後に抜け出た右MF熊倉陽介がGKとの1対1を迎えたが、帝京長岡のGK小川明乗が好守。前半28分には熊倉が右CKから低く鋭いキックを飛ばし、GKのファンブルを誘う場面もあった。右の熊倉、左の2年生MF小菅雷樹がサイドからドリブルを仕掛け、最前線に位置するエースFW鳥島佑紀が狙う攻撃は、見ごたえがあった。

 そして前半終了間際の33分、鳥島がビッグプレーを見せた。右サイドに開いてパスを受けると、ドリブルで中に運び、一気にスピードを上げて縦に突破。「試合前からイメージしていたプレーで、理想の形」という一撃を風上にあたる右サイドからゴールのファーサイドへ勢いよく突き刺して先制点を挙げた。

 帝京長岡は、5月に負傷から復帰したばかりのDF大桃海斗が「相手の10番は、選抜で一緒にプレーして知っているし、西高の前の4人はみんな速かった。ただ、押し込まれても、個人的には焦らずにやれた。今はまだ自分のプレーが安定しないので、気持ちを前に出して引っ張る役割で貢献したいと思っている」と話したとおり、チームを鼓舞。失点に動揺することなく、立て直しを図った。

 1-0で迎えた後半は途中から選手の配置を変更。ボランチの岩下航己を右DF、1年生の右DF金子大晟を左MFに置いて、サイド攻撃の圧力を強めた。そして後半19分、バイタルエリアで相手のクリアミスを奪った小林から複数の選手が1タッチ、2タッチのテンポ良いパス交換を行って相手をひきつけると、最後は「相手の目線が完全にボールに向かった」と見切った小林が浮き球を左前にフワリと落とし、サイドから走り込んで来たFW武内蓮が冷静にGKとの1対1を決めて同点とした。武内は「ゴール前の1タッチパスは、オレたちの持ち味。それを見せて、最後は自分でゴールができて良かった。GKが出て来ていたので流し込むだけだった。どんなボールでも来いと思っていた」と手ごたえを話した。

 帝京長岡の3年生は、中学3年時に長岡ジュニアユースFCで全日本ユース(U-15)フットサル大会を優勝しているメンバーで、ショートパスのコンビネーションは得意としている。小林は「トーナメントで動きが硬くなっていたし、強風もあった。相手のカウンターも鋭い。奪われたら……という怖さはあるので、多くは出せなかった」と話したが、その分だけ緩急がついた部分もあり、古沢徹監督も「縦のボールに飛び出す動きと、前で収まったときに1タッチ、2タッチの連係でGKと2対1の状況まで持って行く動き。その2つがいつも言っている攻撃。得点は、ショートカウンターが発動した」と手ごたえを示した鮮やかな崩しだった。

 しかし、この1点で帝京長岡が一気に試合の流れをつかんだわけではなかった。新潟西は後半29分に右からのクロスを鳥島が折り返して、2年生ボランチの小川朋広がシュート。ブロックされてわずかにゴール左に外れたが、際どいシーンを作り出した。さらに後半35分、鳥島が前に出て来たGKをかわすようにして抜け出したが、帝京長岡はDF吉田誠のカバーで難を逃れた。

 一進一退の攻防は70分間、そして延長戦でも決着が付かず、PK戦に突入。互いにミスなくキックを成功させて迎えた3本目で「PKは、得意。練習では5本連続で止めたこともある」という帝京長岡のGK小川が右に跳んで勝負を決めた。帝京長岡は、そのまま全員がキックを成功させ、5-3で勝利。際どい勝負を物にした。準決勝の相手は、スキルの高い選手がそろう新潟明訓。ファイナル進出をかけた好カードに臨む。

(取材・文 平野貴也)
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