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アジア杯で言葉に詰まった長友「やるべきことは整理できた。もう大丈夫」

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 1月のアジア杯準々決勝UAE戦前の公式会見でW杯に関する心境を質問されて約30秒間も回答に詰まったDF長友佑都(インテル)が、ロシアW杯に向けてハッキリとモチベーションを取り戻したことを宣言した。

 バヒド・ハリルホジッチ監督の指導を初めて受けた合宿初日の3日に、「本気で日本を強くしたいという気持ちが伝わってきた」と言ってから一夜。

 この日もハリル流の情熱指導を直接受け、「もちろん僕もその思いは強く持っている」と切り出した長友は、「そのためにやるべきことが何かは個人的にも見えている。これから自分がどういう立場でやってかないといけないということも、自分の中で整理できている。もうフレッシュです。前向きにもなっています」と力強い口調で言った。

 アジア杯ではアジアの盟主の座を奪われたどころか19年ぶりにベスト8敗退を喫し、ブラジルW杯の惨敗に続いて失意に暮れた。ピッチには自信を失っているサムライブルーがいた。UAE戦の前日に「ブラジルW杯の時や次のW杯に向けての心境を語るのは難しい。それにはあまりにもエネルギーが必要。ここでは勘弁してほしい」と目線を落とした長友の姿は、ピッチで力を見せられない日本代表を象徴しているかのようだった。

 それから4か月余り。3月の日本代表合宿を辞退する原因にもなった右太腿の故障は癒え、インテルではラスト4試合で復活を果たした。日本代表に合流する前にもインターバル走などで身体をしっかり追い込んでの準備。長友の表情はスッキリと明るいものだった。

「僕らもこの世界でずっと生きてきたので、勝敗は自分たちの実力だと受け止めてやらないといけない。W杯もそうだし、アジア杯もそう。結果が出なくて悔しい思いもしたけど、それを引きずりすぎても前に進めない」

 前向きな気持ちを強めているのは、ハリルホジッチ監督が打ち出している“競争原理”が大きな要因の一つであるようだ。

「レギュラー争いもどんどん激しくなっている。まずは試合に出られるように、自分のコンディションやレベル、実力を上げていかないと、試合にも出られない。その危機感を持ってやっていきたい。仲間と刺激しあって頑張る」

「明確になっている」という課題の具体的な中身については触れなかったが、「いっぱいありすぎて、ここで5分、10分くらい黙り込まないといけない」と言って笑いを誘う余裕を見せた。

「悩んでいたとかそういう訳ではない。W杯での課題や、今後自分がやらなければいけないことは、そう簡単に話せるようなことではない。自分の中でたくさんの感情があったんです。でももう整理されています。大丈夫」

 ブラジルW杯前は自身も語っていた「優勝」という言葉を大きく膨らませ過ぎたということだろうか、「口では簡単に言えるけど、ピッチの上で、行動で見せていくしかない」とのコメントにはリアルな響きがあった。長友の復活は日本にとってこの上ない武器。力のみなぎった表情に期待が寄せられる。

(取材・文 矢内由美子)

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