beacon

幻ゴールの湘南MF菊池「入ったと思う」

このエントリーをはてなブックマークに追加
[6.7 J1第1ステージ第15節 川崎F2-1湘南 等々力]

 2010年の南アフリカW杯、イングランド対ドイツ戦の再現のようだった。1-0で湘南ベルマーレがリードして迎えた後半9分のことである。川崎フロンターレのボールを奪い、速攻に転じた湘南は、MF菊池大介がミドルシュートを放った。ボールはクロスバーを叩き、スタンドからはゴールラインを一度は越えたように見えたが、GK新井章太の元に戻った。

 オフサイドラインの位置にいたアシスタントレフェリーは追い付けず、ゴールラインから遠い位置で判断しなければならなかった。プレーが続いたため、湘南の選手たちは抗議をしなかったが、試合後、一世一代の見事なシュートを放った菊池は「入っていたと思う」と唇をかんだ。

 懸命に切り変えようと務めた菊地だが、あの時間帯で2-0とリードを広げられていたら、試合はまったく別物になっていただろう。その後、湘南は途中出場したMF中村憲剛をPA内で倒してPKから同点に追い付かれると、アディショナルタイムにはMFエウシーニョに劇的なゴールを決められた。

「あの場面だけではなく、何度かPA内でチャンスもありましたし、シュートで終わる場面もありました。あれが入った、入っていないではなく、それ以外も決めないといけない。そこが決まっていたら、2-0にもできていたし、勝利できていたので、まだまだ力不足。みんなで一緒にしっかりトレーニングして、また次のゲームに進んで行かないと思います」と、菊池はそれ以外の決定機を得点に結びつけられなかったことを敗因に挙げた。

 湘南は今後、意見書を提出するという。湘南の真壁潔会長は「意見書は当然出す。出さないと選手が可哀想だから。意見書は出すけれど、オレが決めることではない。W杯でも入った、入らなかったというのがある。ただ、全体の流れとしてどうなのか。お客さんの目の前だしね。うちも、フロンターレさんも、お客さんからお金をもらっているわけだから。申し訳ないけど、フロンターレさんには何の責任もない。これだけ立派なスタジアムをつくって、Jリーグの価値を上げようとしている。それだけに残念に思います。ただ、誤審はW杯でもありますし、誤審かどうかは僕が決めることではないので。ゴールラインテクノロジーは、日本のスタジアムでは構造上、導入が難しい。審判を増やすにしても、審判の数にも限りがあるわけだから。リーグとしてできるだけ興業がより正確に行われるように、みんなで協力をしながら、Jリーグの価値を上げることが必要でしょうね。改善をしないと、お客さんからお金をもらっているのだから、申し訳ないんじゃない?という感じですね」と、コメントしている。

(取材・文 河合拓)

TOP