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世界大会を経て帰国…「adidas UEFA Young Champions 2015 日本代表」がドイツでの経験を語る

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「adidas UEFA Young Champions 2015」に出場していた日本チームが、8日に帰国した。5対5のミニゲーム形式で16歳以下の世界一を競った戦いには6戦6敗と惨敗してしまったが、UEFAチャンピオンズリーグ決勝観戦、ジネディーヌ・ジダン氏との記念撮影、アディダス本社への視察、ベルリンの壁をはじめとしたベルリン観光……、数え切れないほどの思い出とともに遠征は終了。ドイツでの1週間を過ごした6人の選手、2人の監督がその貴重な経験を振り返った。

MF大矢啓太(滝川二)
「(大会を振り返って)海外のチームの本番での集中力はすごかった。練習試合より1人少ない5対5で、コートも狭くなったので、選手同士の距離が近い分プレスが速くなって余裕がなくなったんだと思う。練習時間があれば多少はよくなったかもしれないですけど、単純に技術の差は大きかった。個人としては、ゴールは多くはなかったですけど、少ないチャンスで決め切ることができたと思います。
(キャプテンとしては?)初めてキャプテンをやったんですけど、あんまりキャプテンらしいことをできなくて……。チームをまとめる難しさを感じました。この経験を経験で終わらせないように、これから頑張っていきたいと思います」

DF梅澤崚(佐野日大)
「(大会を振り返って)優勝できると思っていたので、こんな結果になって悔しいです。ブラジルの選手は技術的にすごかったんですけど、ホテルのロビーとかどこでもボールを触っていたのを見て、やっぱり日本人とは違うのかなと思いました。試合前までは笑っていたのに試合直前になったら顔つきが変わったり、審判の見ていないところで攻撃されたり(苦笑)、そういうずる賢さみたいなものも感じました。
(個人としては?)アメリカの選手相手にも体で負けなかったのでそこは手応えありますけど、シュートを決め切ることができなかった。実際に外国の選手と戦ってみて、体の大きさや技術がどれくらい違うのかわかったのは大きい。サッカー以外の面でも1日1日が貴重な体験をすることができました」

GK小林朋生(横浜創英)
「(大会を振り返って)優勝を狙っていたので悔しかったです。守備のブロックをつくって指示を出せていれば、もっと失点は減らせたのかもしれません。『自分が声を出さないと』っていう思いがあったので、そこは強く意識していましたけど、取れるボールをゴールにしてしまったので……。(練習試合で勝てた)アメリカは手を抜いていたんだと思いました。アメリカのGKは積極的に声を出す選手ではなかったですけど、しっかりと仕事をしていて、責任感が強いんだと感じました。
(個人としてのできは?)この大会で止められなかったシュートを、また1年後にやったときにどれだけ止められるのか。相手のGKはゴツかったので、体作りもしっかりとやっていきたいです」

DF鱧谷太亮(興國)
「(大会を振り返って)初戦を落として、ズルズルと行ってしまった。失点は自分たちのミスからばかりだったので、それが悔しい。ボールを持つ時間を長くして守備の時間を減らせればよかったし、コミュニケーションをとっていれば試合中に改善できたと思う。海外の選手は、ペナルティーエリアの近くで少しでも距離を空けたら(シュートを)打ってくるし、枠に飛ばしてくる。フットサルはゴールからゴールへの距離が短いから、サッカーとはまた違うと思うけど、ひとつのミスがすぐに失点につながっていた。
(個人としてのできは?)全然やれていない。全力でやれたので悔いは残っていないけど、結果がついてこなかったので残念です。日本では味わえないこの1週間を必ず活かします」

MF福田崚太(横浜創英)
「(大会を振り返って)終わった瞬間は、悔しいを通り越して何も言葉にできなかったです。初戦がすべてだったのかなと思います。緊張しているつもりはなかったですけど、勝てなかったので、どこかで固くなってしまったのかもしれません。負けたくないっていう気持ちはすごい強かったんですけど、結果がついてこなかったので、体力面よりも気持ちの面でしんどかったです。試合の合間には話せていたんですけど、試合中にもっと話すことができたらという思いはあります。
(個人としてのできは?)勝てていないので、まったく意味ないと思います。全部がまだ全然足りないってわかったので、やるしかない。すごく濃い1週間を過ごすことができたので、これからに活かしていきたいです」

DF綿引悠太(水戸桜ノ牧)
「(大会を振り返って)プレーしていない自分が言うのもなんですけど、ひとつは勝利したかったです。(勝てなかったのは)練習と試合では違うっていうことなんだと思います。日本がどうこうではなく、向こうがスイッチを入れてきた。海外の選手は遊び感覚というか、落ち着いてシュートを打っているイメージ。ピッチの外から見ていて、決定力の差は感じました。
(日本と海外の違いは?)1点の重みを感じて戦っているなと思いました。日本人なら点差をつけて勝っていたら1点取られても仕方ないって感じですけど、ブラジルは納得いかなかったらものすごい抗議するし。甘い気持ちがないんだと思います。
(ケガで大会を出られなかった)1回切りのチャンスをケガで出られなかったのは、本当にもったいない」

藤森大介監督(滝川二)
「(大会を振り返って)自分のコントロール能力が足りなかったのかなと思います。選抜チームをまとめて力を発揮させる難しさは、改めて感じました。試合の結果は監督の責任だと思うので、サポートをしてくださった皆さんに申し訳ないです。
(印象に残ったことは?)ブラジルチームの雰囲気の作り方ですね。試合前のバスの移動のときに、みんなで歌って気持ちをひとつにする。南米の選手はそういうことをすると聞いたことがあったんですけど、今回実体験することができたので、それは貴重な経験になりました。他のチームからすると迷惑な部分もありましたけど(苦笑)、チームの雰囲気をつくり出せるのは素直にすごいなと思います」

梶山健太郎監督(横浜創英)
「(大会を振り返って)簡単に言うと、何もできなかった。個人の能力では勝てない以上、選抜されたチームとはいえ、チームとして戦うべきだったと思います。身体能力で劣るのは日本人である以上仕方がないので、別のところで勝負しなければいけなかった。
(采配については?)4連敗した時点で、戸惑っている選手たちに何かしら道標を与えたくて。どんな変化でもよかったと思うんですけど、あのときは前からボールを奪いに行かせましたが、なかなか上手くいかなった。それは完全に監督の力不足だと思います。
(海外の選手を見て思ったことは?)サッカーが好きなんだなと思いました。サッカーを遊びとして純粋に楽しんでいる。それが個性の強い選手を生むのかもしれません」

(取材・文 奥山典幸)

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