[総体]苦戦も勝ち切る強さ、神奈川V候補・桐光学園は座間をPK戦で振り切る
[6.13 全国高校総体神奈川県予選2回戦 桐光学園高 0-0(PK5-4)座間高 馬入ふれあい公園]
平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技神奈川県予選は13日、2回戦が行われた。プリンスリーグ関東勢の桐光学園高は今大会初戦となった一戦で4年前の優勝校・座間高と対戦。0-0で突入したPK戦の末、5-4で勝利し、藤沢清流高と戦う準々決勝進出を決めた。
全国制覇を目標に掲げる桐光学園にとっては、決して納得のいく内容の試合ではなかった。元サガン鳥栖MFの鈴木勝大監督は「県予選の“魔法”のようなもの、とくに初戦のですね。それにかかってしまったというか・・・・・・」と厳しい表情を見せたが、それでも指揮官が「点を取られなかったことは褒めてあげないといかない」と語ったように、座間に少ないチャンスを物にされることなく無失点。何より重要な、勝ち上がるという結果は出した。これについては、主将のU-18日本代表FW小川航基(3年)も「強いチームというのは、そういうところ(苦しい展開の試合)でも勝ち切れるチームだと思う。勝ち切れて、次のラウンドに進出できたのは本当にいいことだと思う」と前を向いた。
よく統率された守りを見せていた座間は各選手がハードワークを欠かさず、ファーストDFが相手のパスコースを限定。桐光学園も攻守の切り替え、チェックが速く、MF岩間稜(3年)のドリブルなどで仕掛ける座間をPAに近づけない。膠着状態が続く展開の中から徐々に流れを引き寄せていたのが、この日相手の脅威となっていたMFイサカ・ゼイン(3年)とMF桑原孝太郎(3年)の両翼のドリブルや小川のキープ力でチャンスを作り出した桐光学園。23分にはサイドチェンジから右サイドへ仕掛けたイサカが左足シュートを放ち、25分には右サイドでDF1人を剥がした小川がパス交換からラストパスを送る。前半終了間際にはMF安田光希(3年)が左足で放り込んだFKがGK頭上を襲い、クロスバーの跳ね返りを小川が右足で狙った。
一方、座間もMF川元雄太(3年)とMF神山知也(2年)のダブルボランチら中盤の選手たちが相手のサイド攻撃に対して最終ラインをカバーし、クロスもCB柴田航平とCB森井寛之が弾いていく。また攻撃面でも26分にDFを競りながらボールを運んだFW山口寛海(3年)が右足シュート。30分には右アーリークロスを10番MF菴原峻(3年)が右足ダイレクトで合わせる。ほぼ危なげない守りをしていた桐光学園守備陣にできたわずかな隙を決定機に結びつけた座間だったが、シュートはゴールマウスをはじいてゴール上方へ。ビッグチャンスを活かすことができなかった。
桐光学園はハーフタイムに鈴木監督から「(対相手というよりもまず)自分たちとしっかり向き合って打破しろ。自分たちに打ち勝て」というメッセージを受けてギアを上げるが、12分にカウンターから桑原孝が放った右足シュートはGKの正面を突き、18分にはCB小林陸(3年)の好フィードを起点にした攻撃から右SB佐藤海徳(3年)のクロスを小川が合わせたシュートもポストを叩いてしまう。この後、小川、イサカの突破力を活かしてシュートシーンを増やした桐光学園だったが、後半終了間際にMF曽木友樹(3年)のラストパスからイサカが放ったシュートがGK簑島周(3年)の好セーブにあうなど得点することができない。
延長戦でも小林や安田の展開からサイドの高い位置へつけ、そこからの攻撃でシュートへ持ち込む桐光学園。一方、座間も庵原のパスで相手の背後を狙ったほか、右FKから神山がヘディングシュートを放つもゴールを破ることはできない。熱戦は0-0のままPK戦へ突入。その2人目、桐光学園はイサカが人工芝に足を取られてフカしてしまう。リードを許す展開となった桐光学園だったが、相手の3人目・川元のシュートをGK指崎尚大(3年)が右に跳んでストップ。その後互いに譲らず迎えた6人目、桐光学園の佐藤が決めたのに対し、座間MF神山のシュートはGK指崎が左へ跳んで止めた。この瞬間、桐光学園の準々決勝進出が決定。優勝候補が苦しみながらも初戦を突破した。
桐光学園は過去2年、全国総体予選にいずれも優勝候補として臨みながら準々決勝敗退。夏に結果を残すことができていない。小川は「『インターハイに弱い』みたいに周りから言われたりするんですけど、弱いとかそんなのじゃなくて、力の無さが出ただけだと思う」。まずは公式戦で力をしっかりと出し切ること。それに集中している。「こういう大舞台でいつも通りのプレーができないというのはメンタルの弱さと何回も何回も言われて、それで改善できていない。これから突き詰めてやっていかないといけない」(小川)。優勝候補の重圧と戦いながら、普段通りに近いプレーで勝ち上がることができるか。
プリンスリーグ関東では内容で相手を上回るなど高い評価を得ているものの、第6節まで1勝3分2敗。結果が出ていないからこそ、今回のトーナメント戦をしっかりと勝ち切って、結果を出すチームになる。指崎は「プリンス、インターハイ、選手権の3冠狙っている。まずは神奈川優勝してそれから全国優勝狙っていきたい」。力を発揮し、神奈川を突破して、今回の総体で「強い桐光学園」を示す。
(取材・文 吉田太郎)
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【特設ページ】高校総体2015
平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技神奈川県予選は13日、2回戦が行われた。プリンスリーグ関東勢の桐光学園高は今大会初戦となった一戦で4年前の優勝校・座間高と対戦。0-0で突入したPK戦の末、5-4で勝利し、藤沢清流高と戦う準々決勝進出を決めた。
全国制覇を目標に掲げる桐光学園にとっては、決して納得のいく内容の試合ではなかった。元サガン鳥栖MFの鈴木勝大監督は「県予選の“魔法”のようなもの、とくに初戦のですね。それにかかってしまったというか・・・・・・」と厳しい表情を見せたが、それでも指揮官が「点を取られなかったことは褒めてあげないといかない」と語ったように、座間に少ないチャンスを物にされることなく無失点。何より重要な、勝ち上がるという結果は出した。これについては、主将のU-18日本代表FW小川航基(3年)も「強いチームというのは、そういうところ(苦しい展開の試合)でも勝ち切れるチームだと思う。勝ち切れて、次のラウンドに進出できたのは本当にいいことだと思う」と前を向いた。
よく統率された守りを見せていた座間は各選手がハードワークを欠かさず、ファーストDFが相手のパスコースを限定。桐光学園も攻守の切り替え、チェックが速く、MF岩間稜(3年)のドリブルなどで仕掛ける座間をPAに近づけない。膠着状態が続く展開の中から徐々に流れを引き寄せていたのが、この日相手の脅威となっていたMFイサカ・ゼイン(3年)とMF桑原孝太郎(3年)の両翼のドリブルや小川のキープ力でチャンスを作り出した桐光学園。23分にはサイドチェンジから右サイドへ仕掛けたイサカが左足シュートを放ち、25分には右サイドでDF1人を剥がした小川がパス交換からラストパスを送る。前半終了間際にはMF安田光希(3年)が左足で放り込んだFKがGK頭上を襲い、クロスバーの跳ね返りを小川が右足で狙った。
一方、座間もMF川元雄太(3年)とMF神山知也(2年)のダブルボランチら中盤の選手たちが相手のサイド攻撃に対して最終ラインをカバーし、クロスもCB柴田航平とCB森井寛之が弾いていく。また攻撃面でも26分にDFを競りながらボールを運んだFW山口寛海(3年)が右足シュート。30分には右アーリークロスを10番MF菴原峻(3年)が右足ダイレクトで合わせる。ほぼ危なげない守りをしていた桐光学園守備陣にできたわずかな隙を決定機に結びつけた座間だったが、シュートはゴールマウスをはじいてゴール上方へ。ビッグチャンスを活かすことができなかった。
桐光学園はハーフタイムに鈴木監督から「(対相手というよりもまず)自分たちとしっかり向き合って打破しろ。自分たちに打ち勝て」というメッセージを受けてギアを上げるが、12分にカウンターから桑原孝が放った右足シュートはGKの正面を突き、18分にはCB小林陸(3年)の好フィードを起点にした攻撃から右SB佐藤海徳(3年)のクロスを小川が合わせたシュートもポストを叩いてしまう。この後、小川、イサカの突破力を活かしてシュートシーンを増やした桐光学園だったが、後半終了間際にMF曽木友樹(3年)のラストパスからイサカが放ったシュートがGK簑島周(3年)の好セーブにあうなど得点することができない。
延長戦でも小林や安田の展開からサイドの高い位置へつけ、そこからの攻撃でシュートへ持ち込む桐光学園。一方、座間も庵原のパスで相手の背後を狙ったほか、右FKから神山がヘディングシュートを放つもゴールを破ることはできない。熱戦は0-0のままPK戦へ突入。その2人目、桐光学園はイサカが人工芝に足を取られてフカしてしまう。リードを許す展開となった桐光学園だったが、相手の3人目・川元のシュートをGK指崎尚大(3年)が右に跳んでストップ。その後互いに譲らず迎えた6人目、桐光学園の佐藤が決めたのに対し、座間MF神山のシュートはGK指崎が左へ跳んで止めた。この瞬間、桐光学園の準々決勝進出が決定。優勝候補が苦しみながらも初戦を突破した。
桐光学園は過去2年、全国総体予選にいずれも優勝候補として臨みながら準々決勝敗退。夏に結果を残すことができていない。小川は「『インターハイに弱い』みたいに周りから言われたりするんですけど、弱いとかそんなのじゃなくて、力の無さが出ただけだと思う」。まずは公式戦で力をしっかりと出し切ること。それに集中している。「こういう大舞台でいつも通りのプレーができないというのはメンタルの弱さと何回も何回も言われて、それで改善できていない。これから突き詰めてやっていかないといけない」(小川)。優勝候補の重圧と戦いながら、普段通りに近いプレーで勝ち上がることができるか。
プリンスリーグ関東では内容で相手を上回るなど高い評価を得ているものの、第6節まで1勝3分2敗。結果が出ていないからこそ、今回のトーナメント戦をしっかりと勝ち切って、結果を出すチームになる。指崎は「プリンス、インターハイ、選手権の3冠狙っている。まずは神奈川優勝してそれから全国優勝狙っていきたい」。力を発揮し、神奈川を突破して、今回の総体で「強い桐光学園」を示す。
(取材・文 吉田太郎)
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