[総体]「敗退に値するチーム」だった前半から変化、関東大会優勝校・日大藤沢が初戦突破:神奈川
[6.13 全国高校総体神奈川県予選2回戦 湘南高 0-2 日大藤沢高 馬入ふれあい公園]
平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技神奈川県予選は13日に2回戦を行い、昨年度全国高校選手権4強で今年の関東大会を制している日大藤沢高は伝統校の湘南高に2-0で勝利。三浦学苑高と対戦する準々決勝進出を決めた。
前半は0-0。神奈川県下屈指の進学校である湘南は1トップの大型FW高田健史(3年)をはじめ、10番MF山根隆史(3年)、MF藤尾悠河(3年)ら好選手を配置するチームだったが、日大藤沢は何より自分たちのベースとなる部分を表現することができなかった。長身FW高田をターゲットにした湘南のロングボールやセットプレーに対して受け身になり、前半24分には右CKをCB松浦司(3年)にニアサイドで合わされた。また34分にはカウンターからMF伊藤直哉(2年)に難なくシュートにまで持ち込まれた。日大藤沢はMF仁科千優(2年)が斜めに入れたパスからFW菅原大雅(2年)が強引に放った右足シュートや左SB西尾隼秀(3年)の鋭いオーバーラップを活用した攻撃などいい部分も出てより多くチャンスをつくっていたが、セカンドボールを相手に多く収められるなど足りなかった気迫。ハーフタイムに佐藤輝勝監督が選手たちに伝えたことは「気持ちの部分で勝ち切れないのに前に進む訳ない。これは1回戦敗退に値するチームだ」ということだった。
後半、日大藤沢は関東大会優秀選手のMF興膳和希(3年)を投入。「前日調子悪くて(先発メンバーから)代えられて、後半からやってやろうと思いました」という興膳が思い切った仕掛け、セカンドボールの攻防戦での激しさを発揮してチームのギアを上げる。後半5分にはPAの攻防で「セカンド読んでいて来るなと思ったので取ったら押された」という興膳がPKを獲得。これを10番MF蛭田悠弥(3年)が右足でゴールへ流し込んでリードを奪った。また前半はやや受け身な姿勢も見えた注目CB小野寺建也主将(3年)が気持ちで前に出て湘南・高田とのエアバトルで完勝。主将の気迫に後押しされるように前に出た日大藤沢は徹底的に取り組んでいるという連係面での良さが出てチャンスを連発する。
湘南も松浦やCB砂流勇志(3年)を中心とした守りで堪えて、左アーリークロスにMF金井大樹(3年)が飛び込むなど1チャンスをつくり出してくる。終盤には山根のスルーパスがPAへ抜けてくるシーンが増えた。だが、昨年の経験者である小野寺とGK鈴木孔明(3年)、CB工藤泰平(3年)ら日大藤沢の守りは堅く、逆に終盤は右SB木村帆高(3年)ら交代選手たちがチームの勢いを加速させる。そして40分、蛭田のスルーパスでGKと1対1となった菅原が右足でゴールへ沈めて2-0。指揮官も「戦うこと、ハードワークすること、そのことからやろうということで後半は良く戦ってくれました」と目を細める内容で日大藤沢が8強進出を果たした。
選手権全国4強を経て今年は「ゼロからじゃない。1からのスタート」(佐藤監督)を切っている日大藤沢。5月30日から開催された関東大会で優勝し、今季は公式戦無敗を続けるなど着実に階段を上ってきている。そのチームの核となっている部分は「マインド」だ。指揮官は「一人ひとりがマインド負けすれば、こういう前半みたいなゲームになると言いました。(後半スイッチが入ってマインドで上回ったが)彼らはどうやって勝つか、どうやって負けるかも分かっているので、その負け方に対して分かっていることで負けるのはおかしいだろうと。分からないことで負けたら相手を褒めるし、リスペクトして負けから学べると思う。前向きに強気でやってやられたら全国には強豪がいると思ってまた立ち向かえるし、そういう性格だから日藤の子は。それがきょうみたいな受け身になったら、何も残らない。それは先輩たちが残した財産とは違うこと。(選手権の準決勝で)星稜さんに負けたけど、前向きに負けたんだから今がある。それを忘れちゃいけない」と語った。
「1」からのスタートを切ったチームは、もう一歩先の「2」のチームになるために、お互いを知り、その個性を発揮するサッカー、「自分たちの良さを1+1は3になるように引き出していく」(佐藤監督)ことを目指している。この日はその部分も発揮されたが、それはあくまでチームの核である「マインド」の上にあるもの。佐藤監督は「(選手には)気持ちの強いヤツをあしたも使っていくと。最後はそこの差で勝つんだということを忘れちゃいけない」。
興膳が「去年あれだけやっていて、これで日藤負けたらこんなもんかと思われるのが凄く嫌。だから今年も結果を残したいと思います」と意気込み、小野寺も「(選手権で)自分たちもあそこを経験できたので強豪校の仲間入りできればと思います」と語ったように日大藤沢が神奈川の強豪から全国の強豪に踏み出せるか。今年は非常に大事な一年になる。この日の反省から積み上げて目標に近づくチームにならなければならない。そのためにも大事な「マインド」の部分。小野寺は「ずっと気持ちからということを言われた。きょうは気持ちの部分を前半出せなかったのでダメだった。あす(準々決勝)は最初から気持ちをもって粘り強く一体感をもってやること」。全国で戦い、強豪から学んでさらに飛躍するためにまず県予選を何としても勝ち抜くこと。自分たちらしく気迫を前面に出して、前のめりに戦って、日大藤沢は神奈川のライバルたちを上回る。
[写真]後半、日大藤沢に勢いをもたらした興膳(右)
(取材・文 吉田太郎)
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平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技神奈川県予選は13日に2回戦を行い、昨年度全国高校選手権4強で今年の関東大会を制している日大藤沢高は伝統校の湘南高に2-0で勝利。三浦学苑高と対戦する準々決勝進出を決めた。
前半は0-0。神奈川県下屈指の進学校である湘南は1トップの大型FW高田健史(3年)をはじめ、10番MF山根隆史(3年)、MF藤尾悠河(3年)ら好選手を配置するチームだったが、日大藤沢は何より自分たちのベースとなる部分を表現することができなかった。長身FW高田をターゲットにした湘南のロングボールやセットプレーに対して受け身になり、前半24分には右CKをCB松浦司(3年)にニアサイドで合わされた。また34分にはカウンターからMF伊藤直哉(2年)に難なくシュートにまで持ち込まれた。日大藤沢はMF仁科千優(2年)が斜めに入れたパスからFW菅原大雅(2年)が強引に放った右足シュートや左SB西尾隼秀(3年)の鋭いオーバーラップを活用した攻撃などいい部分も出てより多くチャンスをつくっていたが、セカンドボールを相手に多く収められるなど足りなかった気迫。ハーフタイムに佐藤輝勝監督が選手たちに伝えたことは「気持ちの部分で勝ち切れないのに前に進む訳ない。これは1回戦敗退に値するチームだ」ということだった。
後半、日大藤沢は関東大会優秀選手のMF興膳和希(3年)を投入。「前日調子悪くて(先発メンバーから)代えられて、後半からやってやろうと思いました」という興膳が思い切った仕掛け、セカンドボールの攻防戦での激しさを発揮してチームのギアを上げる。後半5分にはPAの攻防で「セカンド読んでいて来るなと思ったので取ったら押された」という興膳がPKを獲得。これを10番MF蛭田悠弥(3年)が右足でゴールへ流し込んでリードを奪った。また前半はやや受け身な姿勢も見えた注目CB小野寺建也主将(3年)が気持ちで前に出て湘南・高田とのエアバトルで完勝。主将の気迫に後押しされるように前に出た日大藤沢は徹底的に取り組んでいるという連係面での良さが出てチャンスを連発する。
湘南も松浦やCB砂流勇志(3年)を中心とした守りで堪えて、左アーリークロスにMF金井大樹(3年)が飛び込むなど1チャンスをつくり出してくる。終盤には山根のスルーパスがPAへ抜けてくるシーンが増えた。だが、昨年の経験者である小野寺とGK鈴木孔明(3年)、CB工藤泰平(3年)ら日大藤沢の守りは堅く、逆に終盤は右SB木村帆高(3年)ら交代選手たちがチームの勢いを加速させる。そして40分、蛭田のスルーパスでGKと1対1となった菅原が右足でゴールへ沈めて2-0。指揮官も「戦うこと、ハードワークすること、そのことからやろうということで後半は良く戦ってくれました」と目を細める内容で日大藤沢が8強進出を果たした。
選手権全国4強を経て今年は「ゼロからじゃない。1からのスタート」(佐藤監督)を切っている日大藤沢。5月30日から開催された関東大会で優勝し、今季は公式戦無敗を続けるなど着実に階段を上ってきている。そのチームの核となっている部分は「マインド」だ。指揮官は「一人ひとりがマインド負けすれば、こういう前半みたいなゲームになると言いました。(後半スイッチが入ってマインドで上回ったが)彼らはどうやって勝つか、どうやって負けるかも分かっているので、その負け方に対して分かっていることで負けるのはおかしいだろうと。分からないことで負けたら相手を褒めるし、リスペクトして負けから学べると思う。前向きに強気でやってやられたら全国には強豪がいると思ってまた立ち向かえるし、そういう性格だから日藤の子は。それがきょうみたいな受け身になったら、何も残らない。それは先輩たちが残した財産とは違うこと。(選手権の準決勝で)星稜さんに負けたけど、前向きに負けたんだから今がある。それを忘れちゃいけない」と語った。
「1」からのスタートを切ったチームは、もう一歩先の「2」のチームになるために、お互いを知り、その個性を発揮するサッカー、「自分たちの良さを1+1は3になるように引き出していく」(佐藤監督)ことを目指している。この日はその部分も発揮されたが、それはあくまでチームの核である「マインド」の上にあるもの。佐藤監督は「(選手には)気持ちの強いヤツをあしたも使っていくと。最後はそこの差で勝つんだということを忘れちゃいけない」。
興膳が「去年あれだけやっていて、これで日藤負けたらこんなもんかと思われるのが凄く嫌。だから今年も結果を残したいと思います」と意気込み、小野寺も「(選手権で)自分たちもあそこを経験できたので強豪校の仲間入りできればと思います」と語ったように日大藤沢が神奈川の強豪から全国の強豪に踏み出せるか。今年は非常に大事な一年になる。この日の反省から積み上げて目標に近づくチームにならなければならない。そのためにも大事な「マインド」の部分。小野寺は「ずっと気持ちからということを言われた。きょうは気持ちの部分を前半出せなかったのでダメだった。あす(準々決勝)は最初から気持ちをもって粘り強く一体感をもってやること」。全国で戦い、強豪から学んでさらに飛躍するためにまず県予選を何としても勝ち抜くこと。自分たちらしく気迫を前面に出して、前のめりに戦って、日大藤沢は神奈川のライバルたちを上回る。
[写真]後半、日大藤沢に勢いをもたらした興膳(右)
(取材・文 吉田太郎)
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