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日本vsシンガポール 試合後のハリルホジッチ監督会見要旨

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[6.16 W杯アジア2次予選 日本0-0シンガポール 埼玉]

 日本代表は16日、W杯アジア2次予選でシンガポール代表と対戦し、0-0で引き分けた。FIFAランキング154位のシンガポールをホームの埼玉スタジアムに迎えた一戦。立ち上がりから何度となくチャンスをつくるも最後までゴールを奪えず、スコアレスドローに終わった。

以下、試合後のハリルホジッチ監督会見要旨

バヒド・ハリルホジッチ監督
「この試合に関してコメントするのは少し難しい。試合を支配し続け、19回ほどの得点機をつくったが、長いサッカー人生の中でこのような試合を見たのは初めてだ。こういう試合になると、カウンターアタックで1点取られて負けるというのはよくあること。もちろん結果には全員がガッカリしている。

 ただ、私たちのチームを非難することはできない。選手は勝つためにすべてを出した。最後の決定的なチャンスをものにするところだけが足りなかった。少し慌てたのか、少し運がなかったのか。キーパーの素晴らしいセーブもあった。1試合目にはいつも罠が仕掛けられている。そのことについては昨日も話をした。選手のことは非難していない。選手には『おめでとう』と言った。次に向けて、しっかり点を入れて勝とうと思っている」

―イラク戦と選手の動きが違ったが、精神的なものか、それとも疲れからか?
「相手が守備しかしないのはある程度、予想できていた。大げさに言えば、我々にとってほとんど怖くない相手だった。1点取ればすべてが変わったゲームだった。最後のアクションの終わらせ方に少し正確性がなかった。少し慌てた状態もあった。最後のラストパス、シュートの集中力。みんなが得点を取りたいと思っていたが、キーパーの素晴らしいセーブがあり、ポストやバーにも当たった。そういう試合だったと言うしかない。

 時々、フットボールには難しい状況がある。19回ほど、100%これは決まるだろうというチャンスをつくった。もしかしたら次の試合は少ないチャンスでも得点が入るかもしれない。実際、イラク戦はこんなに多くのチャンスをつくっていなかった。ショックとまではいかないが、少しそれに似た感覚を持っている。選手には『希望を失うな』『まだまだ次がある』と話した。(試合後、)向こうの監督がこちらに来て『私たちは守備しかできなかった』と話していたが、シンガポールの選手にもおめでとうと言いたい。彼らは望んでいた結果を得た」

―チャンスをどう仕留めるのか。改善するために何が必要か?
「具体的に言うと、私はダイアゴナルな逆サイドへのパスを要求していたが、選手はそれを実現できず、中から行き過ぎていた。中を崩そうと思ったら、ダイレクトで2回、3回とつないでいかないといけない。4、5回はワンタッチの突破に成功したが、シュートに正確性を欠いていた。ダイアゴナルなパスも少し足りなかった。私は元選手で、FWだったので、彼らがどんな心理状態だったかも分かっている。我々は前半、あれだけ支配していたが、(ゴールまで)16m以内のFKがなかった。これは少し説明しがたい。後半は16m以内のFKが2、3回あった。それは決めないといけなかった。私から(選手に)少しプレッシャーをかけすぎたのかもしれないが、選手たちを非難する言葉は見つからない。

 サッカーの中で一番難しいのは得点を取ることだ。向こうのキーパーが良いセーブをした。バーにも当たった。こういった試合もある。みんなが勝ちたいと思っていた。観客も素晴らしい雰囲気をつくってくれた。失敗することはできなかったが、こういう結果になってしまった。W杯予選に前もって勝てる試合はないと言ったが、それが今日来た。全員が勝つだろうと思っていたが、好ましくない状況が起きた。少し分析しないといけない。後半、何人かの選手は疲れていた。まだフィジカルがこちらの要求するところまで達していない選手もいる。冷静になって、休憩して、分析していきたい。もちろん運がなかっただけではなく、他の要素があると思う。冷静に分析することが大事だ。そしてトレーニングするということだ」

―ハーフタイムの指示は?
「ハーフタイムには『少し中を攻め過ぎたのではないか』と言った。中から攻めると、最後のフィニッシュが難しいという話をした。中を崩すのであれば、フリックや2、3回のワンタッチパスを入れないといけない。できるだけ外からボールを入れてくれと。特に斜めに逆サイドへボールを出してくれと指示した。昨日、逆サイドに運んでそこからセンタリングを入れるトレーニングをしていた。

 後半は2人のFWを置き、両サイドからセンタリングを入れて、それに合わせようとした。キーパーが寝ているところに本田がヘディングしたが、横にヘディングしていれば点になったようなシチュエーションもあった。太田にも『今日は君の試合だ』と言った。しかし、太田の目の前にはブロックする選手がいた。それを崩さないといけなかったが、太田もしっかりセンタリングを上げてくれた。

 勝つためにすべてをやった。19回の大きなチャンスをつくって点が入らなかったのはあまり見たことがない。選手には何の非難もできない。非難したければ、私を非難してほしい。選手はプロテクトしたい。私のことは非難するのは全然問題ない。少しガッカリしている。なかなか消化できない。スペクタクルな試合となり、たくさんゴールが生まれても良かったと思うが、それは次の機会を待ちたい」

―歴代の代表監督もアジアのこうした引いた相手に苦しんできたが、それに対するマジックや引き出しはあるか?
「フットボールにマジックはない。マジックはなくて、トレーニングするだけだ。いろんなことを向上させたい。今夜の試合でもかなりハイレベルなアクションがあった。選手は得点を取りたいという気持ちを見せてくれた。ボールを失ったとき、何回彼らが奪いに行ったか。3、4秒以内にボールを奪っていた。チームは勝つためにすべてをやった。説明するのは難しいが、最後のところで器用さが足りなかった。慌てたところもあった。

 選手に教えるとすると、このような試合ではPKが欲しかったということだ。ハーフタイムには『FKがないじゃないか』と言った。そういうところは彼らに教えることができるかなと思う。イタリアなら3回ぐらいPKをもらっている。イタリア人はずる賢い。そういうナイーブなところを少し向上させないといけない。これだけ運がなかったというのは信じられない。素晴らしいシュートもあったが、キーパーが素晴らしいセーブをして、槙野が2mしかないところのチャンスを外した。説明するのは難しい。魔法の杖はない。汗をかく仕事をするしかない。そのために私は日本に来た。選手は非難できない。もし非難するなら私を非難してほしい。勝ったら選手のおかげで、負けたら私の責任だ。本当に結果を飲み込めない状況だ」

―選手交代の狙いは? 原口を中央で使ったのは?
「選手交代は得点を取るため、リスクを取るためだ。サイドからの攻撃を期待していた。大迫や岡崎はヘディングもうまい。センタリングをもっと入れてくれという意味もあった。原口はオフェンスの選手だ。シュートを打つためにボールを運んで欲しかった。遠くからもシュートを狙ってくれと。もう少しスピードアップしてシュートを打ってほしかった。何人かの選手は疲れていたので、新しい選手を入れた。

 すべてトライした。何かをもたらすためのトライをした。ただ、成功しなかった。選手は理解していると思う。いつも速い攻撃ができるわけではない。選手に言いたいのは、横に横に回すのではなく、ダイアゴナルなパスを入れてほしかった。19回ほど、ほとんど100%得点できるようなチャンスをつくった。ちょっとした得点機会ではなく、絶対に入るであろうというチャンスだった。シンガポールより良いチームだと思っているが、それだけでは十分ではなかった。シンガポールはしっかり準備してきていた。彼らは成功した。分析するには良い試合かなと思う。

 この試合、私は負けるかもしれないというのが怖かった。なぜなら、そういうことが起きるからだ。このような試合では、最後のチャンスに相手が得点を取って、我々が負けることはあり得る。試合後、すぐに切り替えるためにグラウンドで彼らを勇気づけた。『顔を上げてくれ。勝つためにキミたちは全部出した。だから次は勝とう』と」


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