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[MOM1403]市立船橋FW高宇洋(2年)_2発、目指している「怖い選手」へ

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.20 全国高校総体千葉県予選準決勝 市立船橋高 3-1 千葉明徳高 東総]

 求めている「怖さ」。前半はその理想像に届かないプレーヤーだった。「自分が獲る」という姿勢が欠けていた。ビルドアップに関わり、スペースをつくりだそうとしていたが、どこか他人任せのプレー。ハーフタイムには朝岡隆蔵監督から「怖くないな。自分でやる姿勢が薄すぎる」とはっきりと指摘された。だが、この言葉で目を覚ました市立船橋高FW高宇洋(2年)が後半に2得点。「立ち上がりからギア一個上げてゴール前に飛び込むところ、裏取るとか意識していったら少し変わりました」と納得のプレーでチームの逆転勝利に貢献した。

 まずは0-1の後半7分、U-18日本代表MF永藤歩が混戦を突破すると、右中間でスルーパスを引き出して右足シュート。高は「1点取らなきゃいけない。気持ちで押し込んだ感じです」。前半はボールこそ握っているものの、チームの攻撃にスピード感がなかった。横へ動かすだけでなく、「怖さを持っていこう」と縦を狙っていた背番号9のゴールで追いついた市立船橋はその後セットプレーで逆転。高はさらに15分にも、「最終ラインとの距離感とか分かっていた。西羽に速いボールを要求していて、(1本のパスで)最終ライン全部剥がすつもりで。(ボールを)止めた瞬間に決まったかなというのがありました」とMF西羽拓のスルーパスを引き出し、絶妙なコントロールから右足シュートを流し込んだ。
 
 相手にとって怖い選手になることは高のテーマだ。「個人としての意識をもっと上げていかないといけない。受けるだけじゃ怖くない。きょうの後半みたいなプレーを前半からできるようにならないといけない」。怖い選手になるために何よりも必要なことはゴール。昨年末の横山杯では決勝リーグ以降の全4試合で決めてゴールを量産した。覚醒したように映ったが、4月に開幕したプレミアリーグでは6試合で1得点。「プレミア始まって全然上手く行かない時期があって。個人を優先するか、チームを優先するかバランスが取れていなかった。チームのことを考えすぎて自分が消えてしまっていた」。チームに意識を傾けすぎたことで自分のリズムを崩し、逆に得点を取ることに意識を傾けすぎると、チームのバランスを狂わせてしまっていた。だが現在は吹っ切ることができつつある。「明確なのはチーム助けるために何をするか」トップ下の位置で攻撃を組み立て、献身的に守備をすること。やるべきことをしっかり表現しながら、貪欲にゴールを目指してチームを助ける。

 昨年の全国総体は大会の開幕6日前に左足内側靭帯と半月板を負傷。全治2か月半と診断されて全国デビューはお預けになった。また選手権予選は決勝で敗退しているだけに、今回の全国総体が注目FWにとって高校入学後初の全国大会出場となる。「自分の中で全国は初めての舞台になる。プレミアリーグとかでもっと自分を成長させて、課題である点取ったり、怖い選手になった姿でインターハイ全国大会を戦いたいです」。迷いながらもあるべき姿に近づいてきているFWがより成長を遂げて、全国大会でライバルたちの脅威になる。

(取材・文 吉田太郎)
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