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[総体]連続出場11でストップされた昨年のリベンジ!流経大柏が全国総体出場権獲得!!:千葉

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[6.20 全国高校総体千葉県予選準決勝 習志野高 0-2 流通経済大柏高 東総]

 平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技千葉県予選は20日、準決勝を行い、プレミアリーグ勢の流通経済大柏高が昨年優勝の習志野高に2-0で勝利。2年ぶり12回目の全国総体出場を決めた。

 昨年と同じ流経大柏と習志野による、全国切符を懸けた準決勝。昨年は2-1で伝統校の習志野が競り勝ち、流経大柏が03年から続けていた連続出場を11でストップした。それも流経大柏は前年の13年に高円宮杯プレミアリーグチャンピオンシップを制して高校年代の日本一になっていただけに、この敗退は全国的な“事件”だった。それから1年後に迎えた再戦。雪辱を目指した流経大柏の闘将・MF菅原俊平主将(3年)は「(対習志野ということで)殺気ムンムンだった」と振り返り、下級生時から主力のCB本村武揚(3年)は「(11年連続出場中で)去年は『どうせ余裕だろう』というのがあった。でも今年は一週間前からそういう雰囲気をなくして、リベンジする気持ち、チャレンジャー精神で臨んだ」という。気迫十分だった流経大柏はやや空回りした部分もあって、盤石のゲーム運びだった訳ではない。それでも本田裕一郎監督が「トーナメントは勝ち負けだから、(勝てば)どんな形でもいいよという。(勝って)終わってから、『もうちょっとこういうことしよう』と考えようと言っていた」と説明したように、勝利にこだわった流経大柏が因縁の相手に勝って全国切符をもぎ取った。

 互いにリスクを最大限に消したサッカー。いずれ来るであろう「勝負の時」に備えてか、シンプルに一発を狙うサッカーになっていた。流経大柏は前半12分、カウンターからドリブルで運んだFW野崎壮志(3年)のスルーパスをMF鈴木豪(3年)が左足でフィニッシュ。21分にはMF本田憲弥(2年)のスルーパスを野崎が左サイドから折り返し、これにFW木村稜斗(3年)が飛び込んだ。だが、前半むしろ流れを掴んでいたのは習志野の方。ロングボールを流経大柏の本村とCB黒澤丈(3年)にはじき返されていたが、司令塔のMF池田廉(3年)らがセカンドボールを拾って攻撃に繋げる。30分には出足良く相手の攻撃をつぶしたCB西村慧祐主将(3年)を起点にFW石垣達也(3年)が右中間を抜け出すなどチャンスを作り出した。

 それでも流経大柏は前半36分に注目ドリブラーのMF境目正義(3年)、後半開始からは負傷でベンチスタートとなった絶対的なリーダー・菅原と、プレミアリーグ2試合で先制点を決めているFW兼田晏音睦(3年)を投入して流れを引き寄せる。後半3分には右サイド後方のFKをファーサイドで折り返して黒澤がダイビングヘッド。これは習志野DFにゴールライン上でクリアされたが、6分にはFW松本雅也(3年)を起点とした攻撃から右サイドの境目が出したラストパスに木村が飛び込むなど歓喜の瞬間を予感させる。

 一方、習志野も1年生MF山下寛人とFW前田昂輝(3年)を投入して対抗。8分には池田の右足ミドルがゴールを襲った。拮抗した展開の中で続いた試合は雪辱への強い思いを持つ流経大柏がスコアを動かす。後半23分、流経大柏は兼田が中央から右前方のスペースへパスを入れると、PAへ侵入した松本がGKとDFを引き付けてラストパス。これをゴールエリアで詰めた兼田が左足で押し込んでスコアを動かした。前田と池田がポイントになって反撃する習志野だが、前半よりも前線から最終ラインまでがコンパクトになった流経大柏は本村と黒澤が跳ね返したボールを菅原がおさめ、また各選手が献身的に走り、球際で強さを発揮してマイボールの時間を増やすなど、流れを離さない。そしてMF栗島健太(3年)がクロスバーを叩く左足ミドルを放つなど追加点を狙う流経大柏は38分、交代出場のFW中村翼(2年)のスルーパスを木村が押し込んでリベンジを果たした。

「やっぱり去年逃して苦しい思いしているんで。連続記録という歴史が途絶えてしまった」(菅原)。名門はその無念を晴らそうとひとつになっていた。総体予選初戦(13日)の前日、前々日にはAチームからCチームまで全員でミーティング。また例年はBチームとCチームだけで行われる応援練習に今年はAチームも加わり、「出る選手出ない選手関係なく全員で応援しよう」(菅原)と初戦前、準決勝前に全体での応援練習を行ったという。層の厚い流経大柏は総体予選メンバーから漏れた選手にも実力者が多数。切り替えて応援に専念することは難しいところだが、「トップが偉い訳ではない。一丸となって頑張って、全国大会に行ったらまたメンバー交代あるから競争してやろう」という主将と仲間たちは同じ思いだった。

 決勝点を決めた兼田は「自分たちが最初に決めたのが『全国優勝』。その切符をまず手に入れただけ。あした市船という負けちゃいけない相手にしっかり勝って、いい形で全国乗り込んで、目標である日本一をしっかり奪いに行こうとみんなが思っていると思います」。一丸となって全国切符を勝ち取った流経大柏。本田監督が決勝で、この日完封勝利を果たした1年生GK鹿野修平の他の1年生選手の起用を示唆するなど、メンバー争いは1年生から3年生まで非常に激しい。そのチーム内競争を経て、レベルアップして、日本一を狙う全国総体に臨む。

[写真]後半23分、流経大柏はFW兼田が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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