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[総体]関東一が総体東京都予選で初V、國學院久我山との代表校対決制す

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[6.21 全国高校総体東京都予選決勝 関東一高 1-0 國學院久我山高 赤羽]

 平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技東京都予選は21日、赤羽スポーツの森公園で決勝戦を行い、関東一高が1-0で國學院久我山高を下して初優勝を飾った。

 前日の準決勝を勝って全国高校総体の出場権を獲得した両チームがプライドをかけて臨んだ決勝戦は、実力伯仲の接戦となった。試合の立ち上がりは、久我山のペースだった。前任の李済華監督がFC琉球のGMに就任し、清水恭孝コーチが新監督に昇格したが「美しく勝て」をスローガンとする攻撃サッカーは変わらない。テンポの速いパスワークで押し込んだ5分、右FW安藤謙生が縦に突破し、クロスを受けたトップ下の名倉巧がターンで相手をかわしてシュート。いきなり鮮やかな攻撃を見せた。

 しかし、主将の宮原直央が「崩しきれないというより、シュートを打ち切れないのが敗因。肝心なところでシュートを打てない。打つ意識の強い選手がまだ少ない」と話したように、何度もサイドに起点を作って攻撃を仕掛けたが、シュートを打てない時間が続いた。一方、精力的なプレスバックで守備からリズムを立て直した関東一は、25分にボランチの道願翼が中央から左に展開すると、左MF高橋快斗を経由して、オーバーラップした左DF佐々木功輝がクロスを送ってチャンスメーク。33分にはトップ下の富山大輔のFKを高橋が頭で合わせる好機も生まれた。少しずつ関東一がペースをつかむ中、久我山は36分に2年生ボランチの知久航介から右のハイサイドへボールを送り、安藤のキープ、バックパスから右DF宮原がミドルシュートを放ち、ペース奪還を図った。

 ゴールが生まれずに迎えた後半、今度は関東一が立ち上がりに押し込んだ。後半3分、サイドチェンジを受けた左MF高橋がカットインシュートを放って勢いを付けると、8分には右DF二瓶亮のロングパスをFW岡崎仁太朗がつぶれながらつなぎ、右MF鈴木隼平が思い切ってボレーシュートを放った。鈴木隼が「最近はなかなか点を取れていなかったのでシュート意識を持っていたし、ずっと狙ってはいた。ただ、シュートそのものは、出来過ぎ」と振り返ったミドルボレーは相手GKの頭上を射抜いてクロスバーに当たりながらもゴールに飛び込み、先制点となった。

 攻撃の停滞感をぬぐえなかった久我山も、点を奪われて目が覚めた。12分、ボランチの鈴木遥太郎から左DF山本研へとつないでシュート。28分には左FW多嶋田雅司がカットインから、安藤や途中出場の鵜生川治臣との連係でやや強引ながらもバイタルエリアに侵入。最後は鈴木の浮き球パスで抜け出た鵜生川が相手を1人抜いてシュートに持ち込んだが、関東一は2年生DF鈴木友也のカバーで難をしのいだ。終盤は、1点のリードを手堅く守っていた関東一がカウンターから道願のドリブルシュートにつなげて際どいシーンを作り出したが、ポストに嫌われた。

 ほぼ互角の勝負だったが、勝ち切ったのは関東一だった。ショートコンビネーションを武器とするスタイルで高い評価を得ながらも勝ち切れない年が続いたが、このまま試合を押し切って高校総体予選では初めて東京の頂点に立った。小野貴裕監督は全国大会に向けて「(初戦で西武台に敗れた)関東大会は準備不足の面もあった。今回は1か月の準備ができる。体もワンランク強くさせたい。前回出場時は16強だったけど、シード(で2回戦からの出場)だった。今度は、まず1回戦を勝ちたい」と謙虚な目標を掲げたが、一気にブレイクする可能性は十分にある。

 一方、監督1年目で全国に導いた久我山の清水監督も「昨日の消耗戦(東久留米総合にPK戦で勝利)でやり切った感があった。見る人にもっとエキサイティングな試合を見せたかったが、相手の方がエネルギッシュだった。今年は、シュートに持ち込む回数が明らかに少ないので、点数を取れるゲームが少ない。ゴール前のテンポやキレをもっと生まないとゴールは生まれない。久我山らしさを見せるために、その部分はやっていきたい。最近は全国大会でベスト8を超えられないので、そこは目指したい」と全国大会に向けたバージョンアップを誓った。勝負強さを身につけて変わりつつある関東一、新監督の下でこだわりのスタイルに磨きをかける國學院久我山。東京で覇権を争った2チームは、全国大会でも躍進を目指す。

(取材・文 平野貴也)
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