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[総体]全国総体出場校同士の対決は大阪桐蔭が和歌山北下す:近畿

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[6.21 近畿高校選手権大会2回戦 大阪桐蔭高 2-1 和歌山北高 ビッグレイク]

 第68回近畿高校サッカー選手権大会は21日に2回戦と準決勝を開催。2回戦ではともに、平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技への出場権を得ている大阪桐蔭高(大阪1)と和歌山北高(和歌山)が激突し、2-1で大阪桐蔭が勝利した。大阪桐蔭は続く準決勝でも関大北陽高(大阪4)を2-0で下し、決勝に進出。22日の最終日では、近畿ナンバー1の座をかけて、神戸弘陵高(兵庫)と対戦する。

 先に仕掛けたのは和歌山北。今大会を選手層の厚みを加える場と捉え、普段Bチームの選手を積極的に起用した大阪桐蔭の隙を逃さなかった。まずは7分。MF西村宣哉が中盤でルーズボールを拾うと、左サイドのスペースに浮き球パスを展開。FW和田広矢がフリーで抜け出したが、トラップが大きくGK永井昂希に阻止される。13分にはFW通阪瑞輝が相手DFのボール回しを高い位置でカット。ゴール前でフリーとなったMF櫻井翼に預け、ゴールを狙ったが枠を捉えることができない。決定機を活かせなかった和田は「個の技術が出てしまった。前半は左からチャンスを作れていたので、決めなければダメだった」と悔やんだ。

 対する大阪桐蔭は「経験の少ない3年生ばかりで緊張していましたね。普段、経験している大阪2部のリーグ形式に慣れてしまって、負ければ終わりというトーナメントの戦いにギクシャクしてしまった」(永野悦次郎監督)ことで、出だしに躓いたものの、試合が進みにつれて中盤の動きが改善。28分には左CKからMF森下翔基が右ポストに直撃するヘディング弾を放つなど少しずつ攻撃の形が見え始めたところで、前半を終えた。

 前半同様、後半開始直後に見せ場を作ったのは和歌山北だった。櫻井のクリアが左サイドに入ると、和田がカットインから前線にパスを展開。MF西泰星がつぶれながら流したボールがPA右に入って通阪がシュートを狙ったが、ゴールネットを揺らすことができない。

 大阪桐蔭も反撃に出るため、MF黒川圭介清水大輝、FW瀬野健太ら総体予選制覇の原動力となった主力を次々に投入。和歌山北としては善戦を続けたことで、彼らを引きずり出した格好となったが、「相手は交代カードを切る度にボール回しが良くなっていった」(中村大吾監督)と手を焼く展開となった。これまで阻止できていた突破が防げず、「主力が出る前に、決めきれなかったのが痛かった。彼らが出始めると、『あ、やばいな』と雰囲気になっていた」(和田)状態が続くと、後半15分にFKをFW川辺雄貴に頭で決められ、大阪桐蔭に先制を許した。

 だが、和歌山北も簡単には引かず18分にはMF川井悠希のスルーパスからエリア左の和田が突破。ドリブルでGKをかわし、ゴール前にパスを入れると、櫻井が無人のゴールを狙う。一度はDFに跳ね返されたが、こぼれ球を西が決めて試合は再び振り出しに。このままPK戦に入るかと思われたが、31分に黒川のFKをDF永野俊介がヘディングで叩き込んで、再び大阪桐蔭が勝ち越しに成功。2-1で勝利した大阪桐蔭が、2012年以来2度目の大会制覇に王手をかけた。

 結果的には主力組の働きによって試合を決めた大阪桐蔭だったが、永野監督はこの日のスタメン組の出来栄えに満足した様子だった。前日に行った1回戦・三田学園高戦も同じくBチームで挑んだものの、思うような試合運びができず、開始5分で代えられた選手もいたほど。だが、この日は最後までピッチに残れた選手が多数存在するなど、アピールに成功した。また、70分間を戦い抜いた選手だけでなく、交代した選手も、「ちょっと満足げにベンチに戻ってきた」(永野監督)。「前日の試合から自分たちの気持ちや、意識を変えられたのが良かった。守備がめちゃくちゃだったり、もっとやられてもおかしくなかった試合だけど、こういう試合でミスをすれば、とんでもないことが起きるということを学べたのは大きい。これをどう次に活かせるかが大事」と話した。

 一方、和歌山北にとって「全国レベルの相手でもやれるという感触は掴めたけれど、勝つのと負けるのでは大違い。セットプレーをきっちり物にする力や勝者のメンタリティーが結果に出たと思う。僕たちは県外で勝てていないので、もっと経験を積まないといけない」(和田)と悔いの残る結果に。だが、和田が「県ではあまり先制されることがない。県外の相手に先制されても、獲り返せたのは収穫。桐蔭との試合で、攻撃面など良かった部分も見えた」と話したように、見えた課題と収穫は県内での試合では見えないモノばかり。「悔しかった気持ちをインターハイでぶつけたい」と意気込む大舞台を前に有意義な経験になったと言える。

(取材・文 森田将義)
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