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[プリンスリーグ四国]昨年優勝の徳島市立、「負けたら優勝が無くなると思っていた」一戦で首位・愛媛U-18に4-0快勝

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[7.4 高円宮杯プリンスリーグ四国第8節 徳島市立高 4-0 愛媛U-18 徳島市立高G]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プリンスリーグ四国は4日に第8節を行い、昨年度王者の徳島市立高(徳島)が、首位の愛媛FC U-18と対戦。徳島市立が4-0で快勝し、順位を4位から2位に上げた。

 先に仕掛けたのは愛媛だった。後方でのパス交換から、MF忽那喬司など2列目の突破を引き出し、ゴール前まで進出。前半5分には左CKからDF柳澤拓弥がヘッドで合わせたが、枠を捕えることができない。7分にもDF田野内和輝のサイドチェンジに左サイドでFW木田寿輝斗が反応。中央にダイレクトで落としたボールを忽那が受けてPAまで持ち込んだが、打ちきれず、「ボールを回すことは出来たけど、コミュニケーションやパスの質、フィニッシュの精度が相手との差になった」(MF小木曽春樹)と悔やむ結果に終わった。

 徳島市立は試合序盤押し込まれたものの、愛媛の出方は「相手は良くボールを回すチーム。雨で地面がスリッピーだったので、ミスも出てくると予想し、カウンターを狙っていた」(DF奥田雄大)と想定内。きっちり要所を抑えると、10分に守備から素早く攻撃に転じ、右サイドから入れたパスをゴール前でMF四ツ谷直樹が合わせて先制する。26分にも右サイドから飛び出したMF蔭西竜之介が倒されてPKを獲得すると、これをDF鏡洋人がゴール左隅に決めてリードを広げた。38分には愛媛のクロスをGKが不用意に弾き、あわやの場面もあったが、44分には自陣からのロングフィードに反応したMF金丸雅が3点目を奪い、「狙った通りの前半」(奥田)を終えた。

 徳島市立は後半、前半の勢いが落ちた愛媛の隙を逃さず、今年の特徴であるテンポの良いパス回しで主導権を握りながら、素早い攻撃で相手ゴールに迫った。後半3分にはカウンターから相手陣内に飛び出したFW山本史弥がMF高畑勇人に繋ぎ、シュート。DFに跳ね返されたボールをDF吉川航平が高い位置で拾って、再びゴール前に展開し、競り合ったこぼれ球をMF郡紘平が押し込もうとする。だが、惜しくもポストに阻まれ、得点には至らない。

 19分にも金丸が中盤の密集を抜け出し、ゴール前にスルーパス。飛び出した郡のシュートがこぼれた所を金丸が詰めたが、ゴールネットを揺らすことができない。後半は愛媛のシュートをゼロに抑えたように終始、押し込みながらも4点目が奪えない時間が続いたが、28分に再び歓喜が到来。相手DF裏でボールを受けた山本がGKとの1対1を冷静に流し込み、「この試合に負けたら優勝が無くなると思っていた」という一戦を制した。

 昨季は2位の愛媛に勝ち点8差をつけて四国一となった徳島市立。主力の半数以上が残った今季も躍進が期待されたが、開幕の済美高戦を1-3で落とし、以降も勝ち点が伸び悩んだ。不調の要因は卒業した選手たちの影響。「昨年からスタメンが残ってはいるけど、FW、ボランチ、CBと攻守の軸となる選手が抜けた影響が大きすぎた。ボール回しの面では今年が上だけど、強烈な選手がいない」と河野監督は分析する。主将の奥田も「先輩が抜けてどうしようかという時期が続いていた。僕としても、昨年はCBの相方に辻拓也クン(現明治大)がいて、自分のマークさえしていれば、後は適当でも辻クンが何とかしてくれていた(笑)。でも、今年は相方が変わって、自分のカバーをしなくちゃいけなくて、存在の大きさをいなくなってから気付いた」とコメントする。

 だが、システムやメンバー構成などで試行錯誤する中で、インターハイ後は「回しつつショートカウンターという今年のサッカーが見えてきた」(奥田)。この日の戦いぶりは、今年のカラーが存分に出たと言える内容。また、最後まで走りでも相手を上回ったように、チームの持ち味である運動量の多さも気温が増すこれからの時期の武器になりそうだ。プリンスリーグ四国での首位奪還、そして目標とするインターハイでの上位進出に向けての準備はゆっくりではあるが、進んでいる。

[写真]3点目を奪ったMF金丸(14番)をチームメイトが祝福

(取材・文 森田将義)
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