[7.5 高円宮杯プレミアリーグWEST 東福岡高 2-1 広島ユース 東福岡高G]

　高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグWESTは5日に第8節第2日を行い、4位の東福岡高(福岡)は2-1で7位のサンフレッチェ広島ユース(広島)に逆転勝利を収めた。

　立ち上がりは、広島がポゼッションをしながらジリジリと攻めたが、東福岡は手堅いブロックを形成し、ゴール前への侵入を阻んだ。そして、攻めあぐねる広島に対し、サイドからの速攻を展開した。はじめに左の橋本和征、次いで右の福田湧矢がドリブルで相手守備網を突破。クロスに合わせる部分で迫力を欠いたものの、試合のペースを握っていった。橋本は「前節の課題だった守備ができて、流れからの失点は抑えられた。相手に持たせても良いので、奪ったときにうちの特徴であるサイドを使えれば良い。クロスの質は良くなかったけど、前節では途中出場で何もできなかったけど今日は先発で使ってもらったので、最初から仕掛けて行こうと思っていた」と狙いを明かした。

　38分に左サイドのスローインから10番の中村健人が右足でミドルシュートを飛ばし、直後には中村の左への展開から橋本が縦に突破してクロスを入れ、際どい場面を作り出した。ところが、先制したのは苦境に立った広島だった。44分、DF中川如哉が蹴った左CKをファーサイドでフリーになっていた加藤陸次樹が豪快な右足ダイレクトボレーでたたき込んだ。通算得点数を7に伸ばした加藤陸は「ボールがピンポイントで来たし、自分のマークが外れていてラッキーだった。ただ、前半はボールをうまく回せず、課題が多く見つかった。うちは(3バックのため)サイドが空いてしまうので(破られると)、ドリブルの上手い選手に全体の位置を下げられてしまった。セットプレーから先制点を決められたのは良かったけど、流れを良くするためにはもう1点、2点と欲しかった」と手ごたえだけでなく、課題も指摘した。

　東福岡にしてみれば嫌な流れだったが、後半開始早々に1年生FW福田が試合をひっくり返した。2分、FW毎熊晟矢が右サイドにつないだボールを福田が中村に預け、浮き球の縦パスに走り込むとそのまま右足でゴールへ突き刺した。同点弾で勢いを付けると、6分に福田が右サイドから中へドリブル。一度は止められたものの、倒れながら粘ってボールを残し、攻撃参加した右DF林雄都がシュート。相手GKに当たって混戦となったところで、逆サイドから走り込んで来た橋本が左足アウトサイドでこぼれ球を押し込み、逆転に成功した。

　同点弾を決め、2点目の起点にもなる活躍を見せた福田は「高校に入って最初はオドオドしてしまったけど、先輩たちが声をかけてくれて、段々ついていけるようになってきた。縦に行くところは得意。フィジカルや運動量は、まだまだ」と話したが、技術の高さと突破力を見せて勝利に大きく貢献。逆転のシーンについては「ゴールを決めたときは嬉し過ぎて頭の中が真っ白だった。健人君にパスを出したときに、裏のスペースに出してくれるんじゃないかと思って走ったら良いボールが来たので、決めるだけだった。2点目も混戦になってボールがこぼれるのではないかと思い、林さんなら行けるんじゃないかとも思ったので、少し強めにボールを出した」と手ごたえを話した。

　広島は逆転を許してようやくエンジンがかかったようだった。9分に長沼洋一の縦パスを受けた加藤陸が切り返しから鋭いシュートを放ったが、東福岡はGK脇野敦至が左足でセーブ。さらに10分、左CKから主将の加藤威吹樹が強烈なヘディングシュートを放ったが、東福岡は2年生MF藤川虎太朗が反応良くダイビングッドで迎撃した。21分には長沼が個人技でゴール前へ持ち込んだが、シュートは惜しくもゴール左に外れた。東福岡は守勢に回ったが、中村が両足で器用に蹴り分けるフィードを起点にカウンターで反撃。30分、中村のロングパスで途中出場の三宅海斗が抜け出し、カットインから左足のシュートを放った場面は決定機だったが、ポストに嫌われた。試合終盤には広島の怒とうの反撃が実るかと思われるシーンもあった。44分、左サイドの混戦から1年生FW満田誠がPA内に持ち込んだところで倒されてPKを獲得。しかし、長沼のシュートはクロスバーに嫌われ、試合は東福岡が2-1で逃げ切った。5勝目を挙げて上位戦線に留まった東福岡のFW毎熊は「まず次節の神戸U-18戦で勝点を取りたいし、その次のC大阪U-18には開幕戦で6点も取られているので、しっかりと守備をやって、総体に向けて勢いを付けられるように勝ちたい」と今夏のさらなる飛躍を誓った。

[写真]東福岡の1年生FW福田は逆転劇の主役に

(取材・文　平野貴也)

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