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[プリンスリーグ九州]「勇気を出して」逆転勝利!筑陽学園が福岡U-18破り、最下位脱出!

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[7.11 高円宮杯プリンスリーグ九州第10節 福岡U-18 1-2 筑陽学園高 福岡県営春日公園球技場]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プリンスリーグ九州は11日に第10節を行い、アビスパ福岡U-18(福岡)と筑陽学園高(福岡)が対戦。筑陽学園が2-1で勝利し、順位を最下位から8位へ上げた。

 試合は開始早々に動いた。筑陽学園はキックオフのボールを素早く前線に運ぶと、ゴール前に飛び出したFW過能大貴が決めて前半1分に先制した。筑陽学園は幸先の良いスタートを切ったものの、以降は「ボールに行けなかった。ここまで失点が多かったので、『まずは失点をゼロにしたいね』と子どもたちと話していたのを“下がることが大事”と受け取ってしまって、チャレンジ出来なかった」(青柳良久監督)と守備ラインが下がりすぎたため、ボールが奪えず主導権は福岡U-18に。福岡U-18は13分に中盤でのテンポの良いパス回しから、右サイドを駆け上がったDF棚倉大和に繋ぐと、フォローに入ったMF稗田圭吾を経由し、PA中央のMF田中虎之介がゴール左隅を狙った。

 このシュートは枠を捕えることができなかったが、福岡U-18はその後も最終ラインでのパス回しからサイド突破を引き出し、チャンスを演出した。18分、稗田のロングシュートはDFに阻まれたが、こぼれ球を拾って二次攻撃を展開。そして左サイドのDF宮崎竜希がゴール前に入れたクロスを稗田が頭で合わせる。これは筑陽学園GK木下歓彦の好セーブによってCKとなったものの、このCKを稗田がゴール前に入れると、U-18日本代表MF冨安健洋がヘディングで叩き込み、試合は振り出しとなった。福岡U-18は29分にも、MF末松拓馬のクサビを受けた田中が後方にボールを落とし、稗田がシュート。DFに当たったボールがゴール左隅に向かったが、左ポストをかすめて逆転とはならなかった

 先制点を活かせず、流れを福岡U-18に持って行かれた筑陽学園。青柳監督がハーフタイムに選手たちにかけた言葉は、「簡単に言えば、『勇気を持って頑張れ』ということだけ」だったように、状況が好転するかどうかは選手たちの気持ち次第だった。「後半は前から奪いに行こうと選手同士で声を掛け合った」とDF青松秀悟が振り返ったように、後半は出だしから積極的に奪いに行くチャレンジが機能。4分には右サイド高い位置でのスローインを受けたMF大原一浩がFW田渕冬也との連係から、シュート。8分にはGK木下のキックが相手DFの背後に抜け、過能がボレーで合わせたがともに枠を捕えることができず。チャンスを決めきることが出来なかったものの、連続して決定機を迎えたことでチームのムードが上向きになっていく。

 そして15分、相手陣内左でFKを獲得。MF得居草太がゴール前に入れたボールを青松が、「得点する前から、(得居)草太が良いボールを上げてくれていたのに決めることが出来なかった。あの時も飛び込んだら、ちょうど良いボールが来たので、合わせるだけだった」と頭で押し込み、逆転に成功した。直後にDF須崎洸平が2枚目の警告を受けて退場となり、福岡U-18は一人少ない状況に。福岡U-18は前半のようなテンポの良いパス回しが機能せず、筑陽学園がより攻勢を強めた。試合終盤にも左CKのこぼれ球をMF浅尾紘熙がヘッドで詰めたが、バーに直撃。3点目を奪うことはできなかったものの、筑陽学園は今季3勝目を奪い、最下位から脱出した。

 筑陽学園は開幕から3試合で2勝1分と好スタートを切ったものの、第4節の東海大五高戦以降は4連敗。「自信を失って、マイナスの考えばかりになって、立ち直ることが出来なかった」(青松)。普段は「笑わせてくれる奴が多い」と指揮官が評す明るい集団だが、この時の雰囲気は「プラスの声かけはなく、口を開けば『また、勝てなかった』みたいなマイナスな言葉ばかり。試合前にやろうと決めたことを1試合通して出来ていなかった」(青松)。それでも青柳監督の目からは、「いつでも勝てる、いつでも点が獲れるみたいな空気があった」ように見えていたという。後期のスタートとなったこの日は「今日みたいに前半と後半で大きく変化していてはダメ。出せる力をしっかり出せるようにならないと」と青柳監督が口にしたように課題も見えるが、後半の出来は浮上の可能性を感じるモノ。プリンス九州での順位上昇とともに、新人戦、インターハイ予選の決勝で敗れた東福岡高へのリベンジを選手権で果たせるか期待したい。

 一方、福岡U-18は引き分けに終わった開幕戦に続いて、筑陽学園から白星を奪うことが出来ず。冨安が「前半は開幕の時よりもボールが回せていたのに、後半は気持ちの甘さが出て、球際で負けてしまっていた」と話したように、課題と収穫が前後半でハッキリと分かれた一戦だった。第11節を挟み、22日からは戦いの舞台をプリンスリーグ九州から日本クラブユース選手権(U-18)大会へと移す。冨安は「普段は高体連と試合をする機会が多いので、Jユースとやれるのは楽しみ。パスを繋ぐのが上手かったり、テクニックがある選手も多いと思うのでもっとチームとして守備を意識しなければならない」と目標とするベスト4進出に向け、課題の修正を誓った。

(取材・文 森田将義)
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