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[クラブユース選手権(U-18)]プレミア勢3チームの激戦区・Dグループ、唯一のプリンス勢・磐田U-18が広島ユースから勝ち点1奪う

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[7.22 日本クラブユース選手権(U-18)大会GS第1節 広島ユース 1-1 磐田U-18 敷島補助]

 夏のクラブユースチーム日本一を争う、第39回日本クラブユース選手権(U-18)大会が22日に開幕した。出場32チームが8グループに分かれてリーグ戦を行うグループステージのDグループは大宮アルディージャユース(埼玉)、セレッソ大阪U-18(大阪)、サンフレッチェ広島ユース(広島)というプレミアリーグ勢3チームと、唯一のプリンスリーグ勢であるジュビロ磐田U-18(静岡)が決勝トーナメントへの2枚の切符を争う激戦区。広島ユースと磐田U-18との一戦は、後半アディショナルタイムにオウンゴールで追いつかれたものの、磐田U-18が広島ユースを苦しめ、1-1で勝ち点1をもぎ取っている。

 磐田にとっては不運な形での引き分け。だが、元日本代表DFで、今年から磐田U-18の指揮を執る田中誠監督は「(このグループの中では)個々の能力では少し劣る所があると思いますけれど、グループで、チームでというところはウチの強みでもありますし、対等にやれるということを証明できたと思います」と前向きに捉えていた。プレミアリーグ勢の“格上”広島相手に前半から決定機をつくり、守備面でも「広島さんは広げて中というのがストロングポイントだったので、サイドを消しながら縦へのボールというところはCBとボランチがプレスバックでボールを良く取れていたし、そこは凄く良かったと思います」(田中監督)という内容。前半16分には左CKをファーサイドでU-17日本代表CB森岡陸(2年)が頭で折り返して10番MF大西遼太郎(3年)が右足ボレー。これは広島の好クリアに阻まれたものの、サイドから相手の背後を突く攻撃でチャンスをつくり、38分には大西のドリブルシュートが左ポストを叩いた。

 広島は主将のDF加藤威吹樹(3年)が決定的なシュートをストップするなどビッグプレーを連発。そして右MF川越理来(3年)を中心にサイド攻撃を繰り出し、柔らかいドリブルで中央突破するU-18日本代表MF長沼洋一(3年)や動き出し良く前線でボールを収めるFW加藤陸次樹(3年)がその攻撃に厚みをもたらした。23分には加藤陸の抜け出しから長沼が決定機を迎えたが、磐田GK大西聖哉(3年)が思い切り良く飛び出してストップ。広島は後半開始からギアを上げて磐田を押し込んだが、チャンスを活かすことができない。

 逆に後半17分、磐田は左サイドからのコンビネーションによる崩し。そして中央の大西がダイレクトでラストパスを入れると、PAへ潜り込んだFW山下諒也(3年)がPKを獲得した。これをFW立川嶺(3年)が右足で決めて磐田が先制。田中監督が「相手の特長とか、ウィークポイントがあって、その中でボール状況が変わって相手のコントロールミスがあったり、相手のポジションが悪かったりだとか、味方がどういう状況だとか考えてサッカーをするから、システムとか形にはとらわれない」と説明するチームが、チャンスを連続で逸した相手の悪い流れを逃さずにリードを奪った。

 対する広島はダイナミックにボールを動かしてアーリークロスやセットプレーからチャンスをつくるが、シュートの精度を欠くなど同点に追いつくことができない。それでも「次の1点が本当の勝負で、そこの勝負で我慢強く守れたんじゃないか」と沢田謙太郎監督が振り返ったように、広島はここで守備が崩れずに2点目を与えなかったことが土壇場で劇的ゴールをもたらした。

 広島はアディショナルタイム突入後の後半42分、MF前田武勇が左サイドからゴール方向へクロスボール。これが相手DFとGKの連係ミスを誘い、オウンゴール。忍耐強く守っていた磐田にとっては痛恨の1点で試合はドロー決着となった。それでも磐田の田中監督は「プランどおりに試合を進めることができたし、ある程度広島さんの良さを消しながら忍耐強く終盤までやれたことは収穫だったし、東海予選ではウチは先制しながらも大逆転、大敗したという失敗を学ぶ結果がきょう追いつかれましたけれど、勝ち点1取れたことは前進していると思いますし、そこはプラスと考えています」と失敗から一歩前進したチームに納得の表情を見せていた。

 一方、敗戦目前から粘り強さを発揮して追いついた広島の沢田監督は「(粘り強さというのは)ひとりで粘ってもひとりの力はそうでもなくて、チーム全体で粘らないと出せない。きょうは出せたけれど、いつも出せるかというとまだまだ」。練習、練習外での取り組みはまだまだ足りない。それでも指揮官も認めた通り、チームには必死さがあった。また加藤威が「毎回このままで返せなくて負けてしまうという流れだった。でも、最後の最後で体を張れるようになっているし、粘り強さは前よりも良くなってきている」という広島が気温35度の暑さの中で最後まで諦めずに戦い、磐田と勝ち点1を分け合った。

[写真]後半17分、磐田U-18のFW立川が右足で先制PKを決める

(取材・文 吉田太郎)
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