beacon

[クラブユース選手権(U-18)]横浜FMユースは3連勝でGS1位通過も内容、結果「両方伴った勝ちを求めていきたい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[7.25 クラブユース選手権(U-18)GS第3節 札幌U-18 1-3横浜FMユース 敷島補助]

 第39回日本クラブユース選手権(U-18)大会は25日、グループステージ最終節を行い、Fグループでは2連勝ですでに決勝トーナメント進出を決めている横浜F・マリノスユース(関東6、神奈川)とコンサドーレ札幌U-18(北海道1)が対戦し、横浜FMが3-1で勝った。横浜FMは3連勝でグループ1位を確定。同グループのもう1試合でセンアーノ神戸ユース(関西5、兵庫)が塩釜FCユース(東北3、宮城)に5-0で勝利したため、札幌は勝ち点、得失点差でセンアーノ神戸に並ばれた。だが、総得点で1点上回った札幌は2位を死守。決勝トーナメント進出を決めた。

 今大会2試合で20人を起用して2連勝を飾った横浜FMはMF小松駿太(3年)、MF遠藤渓太(3年)、FW中杉雄貴(3年)、そしてMF吉尾海夏(2年)、CB坂本寛之(2年)の5人を「次のゲームの体力ということよりは、プレーしながら自分のリズムを掴んでいってほしい」(松橋力蔵監督)と3試合連続で先発起用。すでにグループ突破を決めていたが、温存することなく、3連勝を狙う陣容で試合に臨んだ。その横浜FMは前半6分、中央でボールを受けた中杉が左前方へラストパス。ファーストタッチを意識してコントロールした遠藤が左足シュートをゴール右隅へ決めて先制点を奪った。

 横浜FMはボールを保持して主導権を握りながら、最終ラインからグラウンダーの縦パスを通すなど攻撃を展開。11分には小松からのパスを受けた遠藤の右足シュートがゴールを襲い、21分には遠藤から決定的なクロスが入るなどチャンスをつくるが、ピッチ状況に苦しんでミスでボールを失うシーンも目立った。松橋監督も「しっかりファーストタッチをするだとか、浮いたボールでもしっかり処理していくとか、こういうピッチの中で求められるスキルをもってないとサッカーにならないですし、自分たちでボールを持って主導権を握ってサッカーをするということを考えたらベースのところは大事」と苦言を呈したように、リードこそしているものの、内容では納得する展開に持ち込むことができなかった。

 一方、札幌は約10年間に渡ってU-18チームの指揮を執り、プレミアリーグEAST優勝、Jユースカップ優勝へ導いてきた四方田修平監督が23日にトップチームの監督に就任。四方田監督は24日に一度札幌へ戻り、24日にトップチームのトレーニングと監督就任会見に臨んで、その後横浜FMユース戦の指揮を執るために25日深夜に群馬へ戻ってくるという慌しさの中で決勝トーナメント進出をかけた一戦に臨んでいた。その四方田監督が「(今大会は気温35度の暑さの中で)全部が強い負荷でやることは難しい。流すところと、強度を高めるところのメリハリとかが大人のサッカーに近づくためには大事なのかなと思うけれど、疲れている中で無理にいいことしようとして取られてとかが見られる」という札幌も、横浜FM同様にピッチ状況の悪さに苦しみ、ややミスの多い試合となってしまう。
 
 その中でもMF杉山雄太(3年)のテンポの速いパスやU-17日本代表FW菅大輝(2年)とFW徳田勘太(3年)のスピードを活かして相手の最終ラインを攻略する。13分にMF高嶺朋樹(3年)が左足ミドルを枠に飛ばし、16分には菅が左サイドからの突破でPAへ侵入。そして28分には大型右SB按田頼(3年)が相手DFのギャップを突くパスを通す。これで抜け出したFW藤村怜(1年)が決定機を迎え、32分にも菅が縦パスで抜け出すが、決めきることができない。

 逆に横浜FMは後半5分、左の遠藤を起点とした攻撃からSB阿部隼人(3年)が繋いで最後はFW西田優太(2年)が左足で2点目のゴール。苦しい展開となった札幌だが、10分に投入されたFW仁科佑太(3年)がその3分後に菅のスルーパスで抜け出して右足で追撃ゴールを奪う。直後にも仁科が決定機を迎えるなど同点ゴールを目指した札幌だが、横浜FMは選手交代で加速した。26分には中杉、27分にはFW渡辺力樹(2年)のシュートが立て続けにゴールマウス直撃。他会場の結果を気にしながらの戦いとなった札幌はGK櫻庭立樹(1年)の好セーブなどで1点差のまま試合を進めていくが、横浜FMは39分に遠藤のスルーパスから渡辺が決めて3-1。これで勝利を決定づけた。

 3連勝を飾った横浜FMだが、怪我で離脱中のFW和田昌士主将(3年)に代わってキャプテンマークを巻く小松は「3連勝できたのは良かったですけれど、内容には満足していない。まだ続いていくんで、そこで両方伴った勝ちを求めていきたい」と語り、松橋監督も個々がより違いを生み出すことを選手たちに求める。「成長していく上でこの中でさらに違いを見せられる個に育っていってほしい。失点シーンもちょっとした切り替えの遅さ。ミスはすると思うので、切り替わった瞬間それをしっかりと止められるのか、止められないのか、行くのか、歩くのかというところだと思うんですよ。それをやっていかないとみんなが目指していくプロに行くのは厳しいよと」(松橋監督)。選手自身も、相手も苦しい中でもアクセントをつけられるような選手、「口じゃなくてピッチで表していく選手」が11人いるチームになることを期待した。

 プロを目指す選手たちは、厳しい環境の中で何ができるのかを追及していく。また、大会は準決勝から神奈川ラウンドに突入。横浜FMの選手たちは地元のクラブとして準決勝に残ることを使命と考えている。小松は「絶対に残って、(横浜に)残っているみんなと優勝を目指したい」。結果と内容、両方にこだわって、まずはV・ファーレン長崎U-18戦から始まる決勝トーナメントを勝ち抜いていく。

[写真]後半39分、横浜FMユースは渡辺(左)の3点目を小松が祝福

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設ページ】第39回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

TOP