beacon

衝撃与えたスピードスター…甲府FW伊東、五輪代表への近道は「クラブでの結果」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[7.29 第2ステージ第5節 浦和 1-1 甲府 埼玉]

 たった一度のチャンスをゴールへと結びつけた。ゴールネットを揺らした瞬間、ヴァンフォーレ甲府FW伊東純也は雄叫びを上げた。

 試合開始から浦和に主導権を握られた甲府だが、伊東は想定内だったと話した。「ボールを持たれるのは分かっていましたし、それでも耐えていればチャンスが来ると思っていました」。しかし、前半38分にMF阿部勇樹にPKを沈められて浦和に先制を許すと、伊東もシュートゼロのまま前半を終えることとなった。

 1点のリードを許して迎えた後半も浦和にボールを支配されるが、焦らない。「下手に前に出てしまって追加点を奪われるより、まずはじっくり0-1のまま守って、そこからチャンスを作ろうという指示がありました」。とにかく、浦和の攻撃を体を張ってしのぐ。そして後半20分、伊東に“ワンチャンス”が訪れる。

 FW興梠慎三のシュートをGK河田晃兵がストップすると、甲府はカウンターを発動。MF下田北斗からのロングパスを左サイドで受けた伊東は一気の加速でPA付近までボールを運び、DF岡本拓也との1対1を迎える。「中央を走るバレーも見えていましたが、仕掛けようと思いました。シュートを1本も打っていなかったので、絶対にシュートで終わろうという気持ちでした」。中央に切れ込んで右足を振り抜くと、ボールはゴールネットに突き刺さる。電光石火のカウンターから、値千金の同点ゴールが生まれた瞬間だった。

 今季、神奈川大から加入したルーキーは、この試合を含めて20試合4得点の結果を残している。しかし、多くの出場機会が途中出場であり、「僕はまだスタメンであまり試合に出ていません。90分間試合をこなすのに慣れていないので、長い時間ピッチに立って、その上で結果を残したい」と、今後は先発で結果を残したいと意気込んだ。

 93年3月9日生まれの22歳。リオ五輪世代となるが五輪代表を強く意識せず、今はチームでの結果を出し続けることが大事だと話した。「僕は年代別代表にも呼ばれたことがありません。とりあえず、まずは甲府で自分ができることをやり、そこで結果を残すことが(五輪代表への)近道にもなると思っています」。

 ストロングポイントと語る『スピード』と『ドリブル』を武器に、まずは甲府でのアピールを続ける。

(取材・文 折戸岳彦)
▼関連リンク
[J1]第2ステージ第5節 スコア速報

TOP