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[総体]「ただ勝つだけじゃない」チームへ、より意識高く戦う市立船橋が地元・滝川二破って4強入り

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[8.7 全国高校総体準々決勝 市立船橋高 2-0 滝川二高 三木総合防災公園第2陸上競技場]

 平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技(兵庫)は7日に準々決勝を行い、2年ぶり9回目の優勝を狙う市立船橋高(千葉2)と開催地第1代表の滝川二高(兵庫1)との一戦は2-0で市立船橋が勝利。関東一高(東京1)と戦う準決勝進出を決めた。

 全国総体優勝8回、準優勝2回。全国総体での優勝回数、決勝進出回数ともに全国一の市立船橋は朝岡隆蔵監督が「チャレンジして、やれることやって、負けてもいいねというチームではない」と語り、MF椎橋慧也主将も「優勝しないと歴史に名を刻むことができない。2位とか、3位とかここ(4強)まで勝ち上がっても優勝しなければ意味がない」と口にするように、全国のどこよりも負けることが許されないチームだ。その姿勢は今年も変わらないが、ただ「勝つ」ことだけを目指すのではなく、これまで以上に、その先を見据える集団に変わってきた。

 朝岡監督は「高い意識を持ってやる集団にしたいと思っているし、市船ももうひとつステージを上げて、『ただ勝つだけじゃなくて、トップで通用する選手を生みたいと思っている』し、そのためには『当然、勝つことを目指したい』と思っている」という。優勝やチームでレギュラーを勝ち取ることだけが目標ではない。一人ひとりがその力を最大限伸ばし、将来トップに位置する選手になること。市船の歴史の中でそれを成し遂げた選手たちは、椎橋が「(準々決勝前日に朝岡)監督からも『日本一取った代は上で活躍するヤツが必ずいる』という話があった」と説明したように、5回の選手権制覇など日本一を成し遂げた世代に多くいた。将来羽ばたくために、日本一を掴む――。今大会も白星を重ねている市立船橋は、大会の中で個々が成長し、そのチーム力もより引き上げている。

 この日の対戦相手は、延長戦の末に4-1で勝利して7回目の優勝を果たした10年大会決勝で戦っている滝川二。市立船橋は地元の大声援を背に戦う滝川二の最後まで全く屈服しない戦いぶりの前に自陣ゴール前まで押し返されるシーンがあった。それでも前半のうちに2点をリードし、試合をコントロールしながら70分間を終えた。

 滝川二が市立船橋をリスペクトしてやや引き気味のスタートを切ったこともあって、前半から市立船橋が押し込む展開となった。中央を固める相手を見て、右SB古屋誠志郎と左の1年生SB杉山弾斗も積極的に攻撃に関わる市立船橋は23分、右CK後の混戦から中央で粘ったFW矢村健がボールを残し、最後は「集中しているし、リーダー格に成長している」(朝岡監督)というCB白井達也が右足で先制ゴールを叩き込んだ。さらに28分には白井の縦パスから強引に右中間を突破したU-18日本代表FW永藤歩が右足で2点目のゴールを奪う。

 正確なパスワークとスペースを見逃さない動き、そして滝川二の松岡徹監督も「個人個人のレベル差を一番感じた。全然、市船さんの方が強かった」と口にしたフィジカル面などで相手を上回る市立船橋は後半も決定機を連発する。だが滝川二は9分に右サイドから無人のゴールへ流し込もうとした市立船橋MF高宇洋のシュートをCB井澤和哉が懸命にクリア。左サイドの崩しから矢村にゴールを割られかけるシーンもあったが、3点目は許さない。そしてMF持井響太の突破やMF田中聖也のキープ力を活用した攻撃で攻め返す。

 23分には持井を起点に、左サイドを縦に突いたMF江口颯のラストパスを1年生CB上出直人がニアサイドで合わせ、26分にはスルーパスに交代出場のFW横浪直弥が反応する。だが、GK寺尾凌が好守を見せる市立船橋から1点を奪い返すことができない。最後まで諦めることなく走り続けた姿が印象的だったが、滝川二は準々決勝で敗退。市立船橋が準決勝へ駒を進めた。

 ここから行われる準決勝、決勝と大会終盤に見せる強さは市船の伝統。椎橋は「先輩たちが築き上げてくれた、こういうところで強い市船。どこの相手でも、勝ちにこだわってやるというのが市船なんで、ブレずにやりたい。まずは明日の関東一戦へ向けていい準備をしたい」。そして古屋は「応援してくれる人たちがたくさんいるので、市船の一員として出ている以上、責任を果たしたいなと思います」と真夏の戦いを最後まで勝ち抜くことを誓った。トップで通用する選手になるため、日本一を次の目標へのステップとする。

[写真]前半28分、市立船橋は永藤(10番)が2点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)
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