beacon

[総体]悔しい敗戦から意見ぶつけ合って変わった女王・日ノ本学園、雪辱の決勝へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.8 全国高校総体女子準決勝 鎮西学院高 0-9 日ノ本学園高 ユニバー記念競技場]

 大会3連覇中の日ノ本学園高(兵庫)がFW目原莉奈の先制ゴールや10番MF原優香の3得点など、2試合連続の9得点で鎮西学院高(長崎)に大勝。4連覇に王手をかけた。決勝の対戦相手は総体近畿予選決勝で負けている大商学園高(大阪)。主将の左SB中田有紀は「大商は近畿で負けているので絶対にリベンジしたいです。無失点で点を取って最後笑えるように」と意気込んだ。

 3連覇中の“絶対女王”。だが、チームは「チャレンジャーなので頑張るだけ」(中田)という意識でいる。総体の近畿予選は決勝で大商学園に0-1で敗れているが、今年は3月の選抜高校女子サッカー大会「めぬまカップ」in熊谷でも準決勝で常葉学園橘高に0-3で敗退。なかなか結果がついてこなかった。その中で田邊友恵監督は「今年はずっと負けているので。めぬまカップで負けているし、近畿でも負けて、練習試合でも結構負けているんですよ。点取れなくて負けてて。だから『勝ちたい思い』は私が見てきた中では一番強いと思います」と彼女たちが持っている勝利への貪欲さを口にする。

 得点力を欠いた近畿予選後はポゼッション志向が強すぎる傾向のあったチームの意識をまず変えた。シュートレンジを広げる意識付け、ゴール前の崩しなど攻撃のパターン練習にも取り組んだ。また「元々技術はある子たちなので。オフの動きのところで迷っていた部分を整理したら行けることがあるのかなと」(田邊監督)。課題改善を目指してきた一方で、全国大会ではプレーを制限することなく、それぞれの持ち味を自由に出していることで3試合21得点と大爆発。田邊監督も「出来すぎなくらい点が獲れている」という勝ちっぷりで決勝進出を果たした。

 近畿予選決勝で敗れた後にはチーム内で意見をぶつけ合ったこともあった。中田は「(チーム内で)ぶつかっていました。雰囲気とか全部含めて」。メンバー外の選手たちからも厳しい意見があったという。「A(チーム)も凄いバラバラだったので『全然、応援できない』というふうに言われて、『やらないといけないな』と。スイッチ入りました」。寮などでの話し合いによってチームの雰囲気が変わり、「勝ちたい」気持ちがひとつになって一体感が向上。この日、チーム内からはよく声が出て、スタンドではメンバー外の選手たちが70分間応援歌を歌い続けた。

 田邊監督は決勝へ向けて「同じ相手に2回負けるわけにはいかないので明日はスカッと勝ちたい。(攻撃が好調だが)守備から始めたいと思います」と語り、中田は「(今年は)負けてばっかりでめっちゃ悔しかったので、チャレンジャーとしてあしたの大商戦もリベンジで勝ちたい。メンバー外も全力で応援してくれる。そのために頑張る」と誓った。課題に取り組み、チーム内の空気も変えてきた日ノ本学園が決勝で雪辱勝利をおさめて、4連覇を達成する。

[写真]前半15分、日ノ本学園は目原(右)が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設ページ】高校総体2015

TOP