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[総理杯]上手い筑波から強い筑波へ…福岡大に3発勝利で10年ぶり4強

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[8.12 第39回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント準々決勝 筑波大 3-1 福岡大 J-GREEN堺]

 第39回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントの準々決勝が12日に行われ、筑波大(関東2)と福岡大(九州1)が対戦。前半に奪った3ゴールで逃げ切りに成功した筑波大が勝利し、10年ぶりの4強進出を手にした。

 序盤から主導権を握ったのは、9日間で5試合をこなす過密日程を考慮し、「連戦なのでコンディションの良い選手、相手とマッチした選手した時に有効だろうと思った選手を選んだ」(小井土正亮監督)という筑波大。

 2回戦の北陸大(北信越)からスタメン6人を入れ替え、村山努と三宅智大が初めてダブルボランチを組んだが、小井土監督が「選手たちが賢くプレーしてくれた」と称えたように、中盤で確実にピンチの芽を摘み、福岡大の攻撃陣を苦しんだ。

 攻撃で主役となったのは2年生ストライカーのFW中野誠也。「何度オフサイドになっても良いから、相手DFをぶっちぎれと伝えていた」(小井戸監督)との狙い通り、12分には右後方からMF吉川修平が前線に送ったフィードに反応し、ゴール前に抜け出すと、落ち着いて先制点をマークした。

 23分にもDF早川史哉が左CKを「とりあえず来たボールに触ろうと思っていた。ゴールの瞬間は自分でもよく覚えていない」と無我夢中で身体で押し込み、福岡大を突き放したが、以降は後方でのパス回しで左右を揺さぶり、縦へのフィードを狙った相手の攻撃に苦しむことに。29分には中央でパスを受けたMF川上竜が左に展開。ノーマークで受けたDF瓜生紘大がゴール前にクロスを送ると、FW薗田卓馬が頭で中央に折り返した。ラストはFW山下敬大がヘディングシュートを狙ったが、わずかに枠の左。39分にもDF中島大貴の縦フィードがゴール前に落ち、薗田が反応したが、GK岩脇力哉の飛び出しに阻まれた。

 筑波大は苦しい時間を凌ぐと、39分に三宅のロングフィードに反応した中野がこの日、2点目を奪い、3点差での折り返しに成功した。

 後半は、福岡大が自陣から前線にロングボールを蹴り込むスタイルに攻撃の比重を移した。筑波は「彼らがあれだけ縦に蹴ってくることが分からなかった。プレッシャーのかけ方をどうしようか悩んだ」と小井土監督が話したように、当初はボールの奪い所が定まらず苦戦したが、「ピンチらしいピンチはなかった」(小井土監督)とDF西村洋平ら守備が決定的な仕事をさせず。

 後半18分にはサイドからクロスを入れたMF稲葉修土のキックがそのままゴールネットに吸い込まれたものの、選手に焦りの色はなし。以降もパワープレーを繰り返し続けた福岡大の攻撃を跳ね返し、重要視していた「3点奪ってから、次の次のゴール」(早川)を与える事なくタイムアップを迎えた。

 昨年は、関東1部リーグでまさかの11位に終わり、2部に降格した。目標とするインカレの出場権を得るのは1部リーグの上位のみ。筑波大は、総理大臣杯の王者としてインカレに出場するしか手段がない。だからこそ、「この大会にかける思いはどこよりも強い」と早川は口にする。

 また、2部落ちを機に掲げるテーマは、「上手い筑波から、強い筑波になる」こと。早川が「強い筑波を証明するには勝つしかない。勝って『自分たちのサッカーは強いんだ』ということを見せたい」と続けたように、4強入りにホッとする間もなく、負けられない試合はまだ続く。

(取材・文 森田将義)
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