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[総理杯]PK戦の末に流経大下した明治大、未だない夏の日本一へ「新しい歴史を」

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[8.14 第39回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント準決勝 明治大 1-2(PK5-3)流通経済大 キンチョウ]

 第39回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントの準決勝が14日に行われ、明治大(関東1)と流通経済大(関東3)が対戦。両者譲らず、PK戦までもつれた一戦を明治大が物にし、決勝行きのチケットを手にした。

 流経大の中野雄二監督が「うちと明治さんが今の関東の両雄」と話す好カードは最後まで目が離せない展開となった。まずは、前半9分。明治大がエリア中央でFKを獲得すると、MF差波優人のキックから、DF鳥海晃司が頭で合わせて、先制に成功する。

 流経大も負けじと、23分にDF田上大地がFKを直接狙ったが、ボールはわずかに枠を捉えることができない。試合のポイントとなったのは室屋成、高橋諒(明治大)、湯澤聖人(流経大)と3人のユニバ代表を揃える両サイドでの攻防。

 高橋と湯澤のマッチアップは「五分五分の結果」(高橋)と両者、見せ場を作ったが、反対サイドの攻防は前半30分にDF石田和希が相手との接触により、負傷交代することに。DF小池裕太が急きょ、出番を得ることになったが、室屋に食らいつき、2点目を与えなかった。

 熱い攻防はサイドだけでなく、中央でも繰り広げられる。流経大は指揮官が「チームのバロメーター」と評するMF古波津辰希が「50点以下の出来」と評する出来に終わったこともあり、前半はセカンドボールを拾えず苦しんだ。対する明治大も「最初は良かったけど、徐々に流経の縦に速い攻撃のセカンドボールを拾えなくなってきた」(栗田大輔監督)と差波を前半42分に下げて、「ここまでMF柴戸(海)とのコンビが良かった」(同監督)というMF伊池翼を投入し、修正を図った。

 ともに守備強度が増した後半も一進一退の展開が続いたが、高橋が「トーナメントに強く、勢いのあるチーム」と評する流経大の勢いに飲まれてしまう。後半5分には左を上がった小池からPA左のFW渡辺直輝にボールが渡り、ゴールに入れた速いパスからMF西谷和希がシュートを狙ったが枠の右。以降も、流経大が怒涛の攻めを見せたが、明治大が身体を投げ出し、リードを守る

 試合が再び動いたのは後半アディショナルタイム4分。西谷のパスからFW渡邉新太がゴールを狙い、CKを獲得すると、小池のキックがDF今津佑太の同点弾を誘発。直後に90分の終わりを告げる笛が鳴り、延長戦に突入した。

 寸での所ですり抜けた勝利の二文字。本来なら、気落ちしそうな明治だったが、「あそこで追いつく流経は凄いし、本当なら流経の流れになると思うけど、負けるとは思わなかった」(高橋)。延長前半終了間際にDF河面旺成が強引に中央を突破し、シュートを狙うなど攻撃のギアを入れた。

 対する流経大も、延長後半すぐにエリア右でのFKから、田上が決定的なヘディングシュートを狙ったが、GK服部一輝の「神セーブ」(藤本)に阻まれ、勝敗はPK戦に委ねられることになった。ここでは明治大が5人全員成功したのに対し、流経大は3人目のキックが服部に阻まれ、勝負あり。PK戦を制した明治大が決勝行きを掴んだ。

 明治大は過去に2度、インカレ制覇を達成しているが、総理大臣杯は未だない。2年前には流経大から2点リードを奪いながらも逆転負けを喫しており、藤本は「今回は何が何でも勝ちたい。2年前の悔しさはかなりある。昨日のミーティングも流経に0-2から逆転負けをした試合を観て、悔しかったことを思い出した」と振り返る。

 準決勝で雪辱を晴らした格好だが、「今日、勝って嬉しかったけど、次勝たないと意味がないことは分かっている」(藤本)。「今年初めにチームを立ち上げた時から、全部のタイトルを獲ると意気込んできた。勝って明治の新しい歴史を作りたい」と高橋が口にしたように、新たな扉を開けるか決勝戦に注目だ。

(取材・文 森田将義)

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