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“ご褒美”に笑顔の千葉GK高木「岡本さんがいるから…」

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[8.23 J2第30節 横浜FC 0-1 千葉 ニッパツ]

 序盤から横浜FCに主導権を握られたジェフユナイテッド千葉は、幾度となくゴールを脅かされる。しかし、そこに立ちはだかったのがGK高木駿だった。前半19分に右サイドから進入してきたMF寺田紳一のシュートをストップすると、同22分にはFW黒津勝のシュートを弾き出してゴールを守る。

「前半から我慢する展開でした。でも、いつもカンペーくん(DF富澤清太郎)とも『こういうときもあるから』と話をしていますし、先制されなければいいという感じで試合を進めていました」。攻め込まれようが、失点しなければいい。焦らず、冷静に。すると、徐々に盛り返した千葉は、後半アディショナルタイムの劇的な得点で1-0の完封勝利を収めた。

「欲を言えばシュートを打たせないで、危険な場面を作らせないのが一番ですが、守備としてはずっと集中してできました。得点は、守備を頑張ったご褒美だと思います。うれしい劇的な勝利でした」。高木は満面の笑みを見せた。

 今季、開幕スタメンを飾った高木だが、第17節から第24節まではGK岡本昌弘にポジションを奪われた。当然のことだが、GKのポジションは一つしかなく、高木はベンチから試合を見守ることになった。しかし、腐るのではなく、その時間で自らを高めた。「試合に出ていないときに何ができるかが大事です。試合を見て『自分ならどうするか』、岡本さんを見て『僕に何が必要なのか』を冷静に分析していました」。すると、第25節から再びゴールマウスを任されることとなった。

「僕も岡本さんも、2人が使われるという気持ちで試合に出ていないと思う」。岡本はもちろんライバルであり、自分がレギュラーとして試合に出続けたい。プロである以上、そう望むのは当然だろう。しかし、その後に高木は「GKはチーム」を強調している。

「僕は岡本さんがいるから、負けないように、今はポジションを奪われないようにやっているし、きっと岡本さんは僕からポジションを奪い返そうとしています。お互いのプレーを見て刺激し合い、相乗効果で高いレベルまでいきたい」

 GKは特別なポジションだ。フィールドプレーヤー10人がピッチに立てるのに対し、ポジションは一つしかない。しかし、送り込まれる選手は決して一人でピッチに立っているわけではない。ともにトレーニングに励み、高め合ってきたチームメイトの思いも背負ってピッチに立っている。

(取材・文 折戸岳彦)
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