beacon

7年ぶり落選の川島にハリル「彼は自分のクラブを探せていない」

このエントリーをはてなブックマークに追加

 サプライズは静かに起きた。バヒド・ハリルホジッチ監督が招集選手を紹介する流れに沿って一人ずつ顔写真がスクリーンに映し出される中、GKの3枠に入ったのは西川周作(浦和)、東口順昭(G大阪)、六反勇治(仙台)。南アフリカW杯直前の10年5月30日イングランド戦を皮切りに「日本代表の守護神」の名を欲しいままにしてきたGK川島永嗣の名がなかった。

 指揮官は問わず語りに、こう言った。「今回は川島が初めてグループに入っていない。残念ながら彼はまだ自分のクラブを探すことができていない」。理由は明白だった。試合に出る、出ない以前に、所属クラブがない。

「もう少ししたら、あるクラブに決まると思うが、ここ4、5年の間、日本代表の正GKでありながら、所属クラブを見つけられないのは少し驚きでもある。フランス(のクラブへの移籍)もサポートしたいと思って、そういうこともやっていたが、ポジティブなレスポンスがなかった。彼がしっかりプレーできる良いクラブを見つけてられることを期待している」

 国内組だけでメンバー編成をした場合などを除き、フルメンバーで臨む代表戦に川島が招集されなかったのは、08年9月のバーレーン戦以来、実に7年ぶり。ハリルホジッチ監督は「彼に取って代わる選手はなかなかいない」と、川島の実力をあらためて評価していることを強調したが、“所属なし”というゆゆしき事態を重く見た。そして、特例をつくることを避けた。

 選ばれた3選手にとっては守護神の座を手に入れる、これ以上ない機会だ。川島以外の選手で戦うことになることを見越し、今週はリカルド・ロペスGKコーチ、浜野征哉GKコーチを浦和のトレーニング場に派遣し、状態をチェックしてきた。

「西川と東口は中国(の東アジア杯)でプレーし、クオリティーを見せてくれた。少し経験は少ないが、どんどん経験を積んでいってほしい。何人かのテクニカルスタッフは西川のトレーニングにも視察に行き、準備を手伝ってもらっている。偶然(アクシデント)がないようにしっかり準備したい」

 カンボジア戦、アフガニスタン戦で新しいGKが好パフォーマンスを見せれば、川島時代に幕が下ろされることになるかもしれない。W杯アジア2次予選の2連戦が守護神争いの分水嶺になる。

(取材・文 矢内由美子)

●ロシアW杯アジア2次予選特集

TOP