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ハリルが語る“PKの手引き”「日本代表のFWに教えたい」

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 同じ失敗は繰り返さない。6月16日のW杯アジア2次予選・シンガポール戦でスコアレスドローに終わった日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は、9月3日のW杯アジア2次予選・カンボジア戦(埼玉)に向けて「カンボジア戦で同じ繰り返しはしたくない」と力説した。

 2分1敗の最下位に終わった東アジア杯を含め、公式戦4試合連続で勝利から遠ざかっているハリルジャパン。「私の人生で4試合勝ちがないのは初めて」と強調する指揮官は、カンボジア戦がシンガポール戦と同じような試合展開になると予測している。

 今月31日に集合して合宿を開始するが、初日の練習はリカバリー中心になることを考えれば、9月3日のカンボジア戦までに戦術的なトレーニングができるのは実質、2日間。その2回のトレーニングで「戦術面のことしかしない」と予告し、「いろんなことを修正して臨みたい。ディテールを準備している」と、対策は十分に練っていることをうかがわせた。

 キーワードはミドルシュートとPKだ。スカウティングによりカンボジアが5バックを採用すると分析するハリルホジッチ監督は「トレーニングでも5人のDFを置く準備をしている」と、対戦相手を想定した戦術練習を用意。人数をかけて引いて守る相手をこじ開ける手段として、「例えば、ミドルシュートが(これまでは)少ないが、それを頻繁に使う。真ん中、サイド。いろんなソリューション(解決策)を準備している」と、遠めの位置から積極的にミドルシュートを打っていくよう指示するつもりだ。

 そして、指揮官が熱弁を振るったのが“PKの手引き”だ。シンガポール戦後の会見でも「イタリアなら3回ぐらいはPKをもらっている。そういうナイーブなところは少し向上させないといけない」と、日本人選手にはしたたかさや狡猾さが足りないと指摘していたが、この日も「選手に学んでほしいことがある」と切り出した。

「A代表として7試合戦ったが、まだ一回もPKをもらっていない。(ボールポゼッションで)90%支配したシンガポール戦でも、相手は一回もペナルティーエリア内でファウルをしていない。これはノーマルではない」

 ポルトガル語で言う「マリーシア」は日本語では「ずる賢さ」と訳されることが多いが、ハリルホジッチ監督は「ずる賢くやり続けろというわけではない。これは『インテリジェンス』(知性)と呼ばれるものだ」と表現した。

「私は17歳のときFWだった。長い年月、プレーした。人生で多くの点を取った。何度もPKを取った。自分で(PKを)取りに行った。ボールを見る替わりに相手を見て、相手の前に少し入って、押されてPK。それで得点を取った。それで試合に勝たせたこともある。それを全員がやっている。それを日本代表のFWにも教えたい」。自らの経験をもとに、日本のFW陣に“PK獲得法”を伝授するつもりだ。

(取材・文 西山紘平)

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