beacon

[MOM1479]桐光学園FW小川航基(3年)_「チームが盛り上がるのであればいくらでも」U-18代表FWが見せた献身と凄み

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.30 高円宮杯プリンスリーグ関東第12節 川崎F U-18 2-2 桐光学園高 等々力]

 桐光学園高のU-18日本代表FW小川航基主将は鈴木勝大監督もその凄みを認めるようなプレー。前半終了間際に右クロスをファーサイドから頭でゴールネットへ沈めると、後半開始直後にはDFを引き付けながらMF鳥海芳樹にパスを繋いでアシストを記録した。勝負どころとなった終盤には完全に止まらない存在に。右足ミドルを枠へ飛ばし、PAで胸コントールから決定的な右足シュートを放った。これはゴールライン上に位置したDFに弾かれ、また決定的なラストパスをヒールで合わせ損なうなど決勝点を奪うことはできなかったが、それでもとても間に合いそうにないようなボールを全力で追いかけてスライディングするなど、チームを鼓舞するプレーを何度も見せて90分間を戦い抜いた。

「キャプテンマーク巻くことによって自分自身変わったことが凄くある。1、2年の時は自分、自分となっていたところがあったけれど、3年になってチームのことが一番となった。自分がああいうプレーすることによってチームが盛り上がるのであればいくらでもする」。誰よりも責任感を持って戦うFWは、チームのために戦うという献身的な姿勢を十分に表現していた。

 この夏はその強すぎる思いでチームに迷惑もかけた。全国高校総体1回戦の久御山高戦。小川の2ゴールによって2点リードした桐光学園だったが、そのリードを守り切れず、2-2で突入したPK戦の末に敗れて初戦敗退を喫した。普段は冷静な口調が印象的な小川だが、この敗戦後はその悔しさを抑えきれず。「得点王とかいうのは凄い狙っていて、それで1回戦で負けたショックと絶望感で気持ちを抑えきれなかった。(自分ひとりで)3、4点取れましたし、そこが足りなかったから負けたと凄い思っている。(反省して)プレーで信頼勝ち取るのもそうですし、仲間からの信頼を厚くしなければいけない」。

 掲げていた夏の日本一には遠く手が届かなかった。日本一を勝ち取るチャンスはあと、選手権だけ。今は自分を見つめ直し、チームを見つめ直して取り組みをスタートしている最中だ。夏の悔しさを経験して、より責任感を増した小川のプレーは間違いなく高校トップレベル。「流れを変えるプレー、苦しい時に誰が何をできるのか凄く意識している」というFWは「なすりつけるわけじゃないですけど、他の選手にも責任感もってやってほしい」と期待を口にする。対してチームメートのMFイサカ・ゼインが「小川がいる分、注目されていると思うんですけど、小川がいなくて注目されるようなチームにならないといけないとみんな意識しています」と語るなど、チームメートもそれぞれが主将に任せきりにすることなく、責任感を高め、この日はそれが勝ち点1に繋がった。エースはチームメートたちの頑張りに結果で応えるだけ。自分に厳しく、チームに厳しく要求しながら、最前線で走り続ける。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設】2015 プリンスリーグ関東

TOP