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「何回センタリングしたか…」ハリルが感じた新たな課題

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[9.3 W杯アジア2次予選 日本3-0カンボジア 埼玉]

 まるで“呪縛”から解き放たれたかのようだった。「全員が結果を飲み込めなかった」というスコアレスドローに終わった6月16日のシンガポール戦から2か月半。バヒド・ハリルホジッチ監督はカンボジア戦後の記者会見で「この夏はシンガポール戦の引き分けをずっと引きずって生活していた」と率直に振り返った。「2か月も待たなくてはいけなかった」。それほど待ち望んだ名誉挽回の舞台だった。

 3-0というスコアに納得はしていない。それでも「彼ら(選手)も少しプレッシャーを感じていたのではないかと思う。選手には『おめでとう』とだけ言いたい」と選手をねぎらい、「満足していないのではなく、まだ足りないところがあるということ。これからも厳しい要求をしていくが、それはまだまだ伸ばせるからだ」と、チームには多くの伸びしろがあると確信している。

 就任後初となる2日連続の非公開練習で攻撃面の改善に着手した。前日会見では「6つか7つのソリューション(解決法)を提示した」と話していたが、そのうちの一つであるミドルシュートで2得点。とはいえ、ボール支配率73.9%の試合でゴール前のFKやPKを獲得するシーンはこの日もなく、「これは本当に信じられない」と驚くばかりだった。

 フィニッシュの精度という意味でも、「ビッグチャンスで少し慌てたり、あるいは悪い選択肢を選んだ場面もあったかもしれない。ゴール前でもう少し冷静さを持ってほしい」と、決定力は相変わらずの課題だが、この日の試合では新たな課題も発見したようだった。

「今日、少し気づいたが、こんなにセンタリングを上げて、(ゴール前の選手が)合わせる回数が少なかった。何回センタリングしたか分からないが、しっかり合わせるところが足りなかった。おそらくFKからヘディングしたのが、センタリングが唯一成功した場面だったのではないか」

 前半は特に右サイドから何度となくクロスを上げた。「引いてきた相手に対して、おそらく一番良いソリューションはサイドからの攻撃だと思う」という指揮官の指示もあったが、それほど身長の高くないカンボジア守備陣に対してシンプルなクロスは十分に有効だったはず。しかし、クロスの精度が低く、中で合わせる選手の入り方もタイミングが合わず、なかなか決定的な場面をつくれなかった。

「かなりの回数、センタリングは上がったが、しっかりとしたポジションを取れていなかった。そこはたくさんトレーニングをしていかないといけない」。4日にイランへ移動し、8日に中立地となるテヘランでアフガニスタン代表と対戦する。準備期間は短いが、指揮官の中で改善点はハッキリしている。

「今度は移動して、2つ目の勝利を取りに行かないといけない」。次の試合へ視線を向けるハリルホジッチ監督は「アフガニスタン戦では勝つためにプレーしたい。勝利のスパイラルを続けたい」と、W杯予選連勝を誓った。

(取材・文 西山紘平)

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