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[プリンスリーグ東海]注目エース骨折離脱も選手発奮・・・静岡学園が磐田U-18に6-1快勝で首位奪取!!

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[9.12 高円宮杯プリンスリーグ東海第13節 磐田U-18 1-6 静岡学園高 安久路]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プリンスリーグ東海は12日、第13節を行い、首位・ジュビロ磐田U-18(静岡)と2位・静岡学園高(静岡)との首位攻防戦は静岡学園が6-1で快勝。静岡学園は勝ち点29で並んだ磐田を得失点差で上回り、首位へ浮上した。

 昨年度の全国高校選手権8強の静岡学園・川口修監督が「(9月の時点では)去年よりも全然いい」と認める今年のチーム。最後まで前へ出てボールを奪いに来ていた磐田をパスワーク、ドリブルで攻略し、大量得点に結びつけた。それでも、より遅攻で相手の守備網を破ることを求める指揮官はプレッシングに慌ててしまっている部分を指摘。「まだゆっくりプレーできない。もっと良くなる」と強調した。

 静岡学園は今週、SBSカップ国際ユース大会に静岡県高校選抜の一員として出場し、U-18日本代表から2ゴールを奪った注目エースFW加納澪主将が左足第5中足骨を骨折。プリンスリーグの今後数試合と選手権予選終盤戦まで欠場する状況となった。だが、この危機に選手たちは発奮。また、CB鹿沼直生が「前節、藤枝東にいいところなくて負けている。ジュビロにも前回負けている。2連敗は許されない」と語ったように、敗戦をバネにしたチームは気迫溢れるサッカーを展開する。まずは前半12分、SB末光幸太とのコンビで右のハイサイドを取った日本高校選抜候補の10番MF旗手怜央がカットインからスルーパス。これで2年生ボランチのMF若山修平が抜け出して先制の右足シュートを流し込む。

 静岡学園はさらに18分にも右サイドでDFラインの背後を取った旗手のラストパスをMF薩川淳貴が決めて2-0。川口監督は中央を打開する点については厳しい評価を下していたが、それでも若山、MF西山大輝の両ボランチとトップ下のMF長尾吉家がドリブルでDFを外してワイドへの展開を試みつつ、PA付近でのプレーに積極的に絡む。また、旗手と薩川をはじめ、キープ力高い両ワイドの仕掛けやパスワークでサイドの局面を打開。加納に代わって1トップで先発したFW稲葉将章の献身的なディフェンスもあって静岡学園は優位に試合を進めて行く。一方、ロングボールで相手のラインを下げながら、グラウンダーの縦パスを交えて攻撃をスピードアップさせる磐田は、28分に静岡学園DFの対応ミスからFW立川嶺が左サイドを破って中央へ折り返す。これをMF興津利弥が右足で狙うが、GK山ノ井拓己がビッグセーブ。この後、集中力を欠いて不用意なミスも出た静岡学園に対し、磐田が畳みかけるが、出足とボールへの執着心で上回る相手から1点を奪うことができない。

 元日本代表DFの田中誠監督が「いい入りをすると乗るけれど。(きょう)相手は気持ち強く入ってきて、ウチは怯み過ぎた。1対1とか球際でも負けているし、プレーでも上回られた」と語ったように、メンタル面でのウィークポイントが出た磐田は要所でのミスを引きずってしまうなど流れに乗ることができず、後手後手の試合になってしまう。逆に静岡学園は 41分、中盤左サイド、タッチライン際での攻防から強引に抜け出した長尾が大きくボールを運んでスルーパス。これに反応した旗手がGKとの1対1を制して3点差とした。静岡学園は後半8分にも左SB荒井大の左CKから、DFがクリアしようとしたボールを鹿沼が頭で上手く押し込んで4-0。さらに17分には、右サイドでのワンツーからPAへ切れ込んだ末光が2度の切り返しでDFを鮮やかに外して右足シュートを叩き込む。

 磐田はMF大西遼太郎のヘディングシュートや、相手のミスを突いたMF山下諒也の決定的な左足シュートなど反撃するが、GK山ノ井や最後のところでしっかり身体を寄せてくる鹿沼、CB嶋一駿の前に1点が遠い。20分にも稲葉の突破から薩川がポスト直撃のシュートを放った静岡学園に対し、磐田は39分にMF津島孝至の左FKからU-17日本代表CB森岡陸がヘディングシュートを沈めて1点を返す。だが、静岡学園は46分にも旗手が果敢なドリブルでPA手前まで持ち込むと、これをフォローした西山が巧みにDFを外してから右足で6点目のゴールを突き刺した。
 
 静岡学園は磐田相手に6-1快勝。全国トップレベルのポテンシャルを見せつける結果となった。エース加納の離脱はプリンスリーグ優勝、そして選手権での静岡制覇をまず狙うチームにとって痛いことは間違いない。川口監督も「練習でもアイツが一番やる」と認めるリーダーの離脱を残念がるが、それでも「やるサッカーは一緒」と影響を口にすることはなかった。今は遅攻、静学スタイルのサッカーを突き詰めること。西山は「相手のプレッシャーも速いので難しくなってくると思うんですけど、その中でやるから静学の価値がある」。個々、チームとして成長してプリンスリーグ終盤戦や選手権予選を迎える。

 ゲーム主将を務めた鹿沼は「プリンスリーグはまず参入戦に行くことを目標に。そして優勝を目指して行きたい。選手権の目標は(全国で)優勝。順調に成長していけばできると思うんですけど、まだまだ足りないと思っています」と快勝にも厳しい姿勢を崩さず、昨年の選手権予選で主力ながらも全国大会で控えに回っている西山は「Bチームやスタメンで出ていないヤツらにもいい選手がいますし、去年経験していることもあるので気を抜かないでいく。(選手権予選まで)プリンス2試合あるのでそこで修正できることは修正して、もっと周りの見ている人たちを魅了できるようにやっていきたいと思っています」とチーム内での競争を勝ち抜いて、よりチームのレベルを引き上げることを誓った。エース離脱を競争激化、チームの成長へ結びつけて、静岡の名門がこの秋、冬に目標を達成する。

[写真]後半アディショナルタイム、静岡学園は西山が6点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)
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