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[メニコンカップ]U-15のオールスター戦はWESTが勝利、奥野が最優秀選手賞に

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[9.13 メニコンカップ2015 ALL EAST 2-3 ALL WEST パロマ瑞穂ラグビー場]

 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会で活躍した選手が、東西に分かれてしのぎを削る「メニコンカップ2015 日本クラブユースサッカー東西対抗戦(U-15)」が13日に、愛知県のパロマ瑞穂ラグビー場で行われた。

 今年で、21回目を数える今大会は、過去に細貝萌(ブルサスポル)や原口元気(ヘルタ・ベルリン)といった海外組を始め、槙野智章(浦和)、宇佐美貴史(G大阪)らも参加してきたJリーガーの登竜門とも言える存在。WESTを率いたG大阪ジュニアユースの鴨川幸司監督が、「レベルの高い選手同士が緊張感を持って、試合できる貴重な機会。試合前に、『ショーではない。勝負に拘れ』と選手に伝えていた」こともあり、開始から白熱した展開が繰り広げられた。

 序盤から一進一退の攻防が続く中、先に試合を動かしたのはALL EAST(東軍)。「(本間)至恩と二人で『一旦ボールを当てて、受け直した方が良い』などと試合中でも小まめに、話合っていた」(MF榊原慧悟、横浜FMジュニアユース)ことで、即席チームとは思えない程、息の合った崩しを見せて、ALL WEST(西軍)の守備を翻弄する。前半14分には、中央をMF水多海斗(FC東京U-15むさし)、榊原と素早く繋いで、PA左にパスを送ると、FW中丸流佳(横浜FMジュニアユース)の折り返しから、最後は本間が左足シュートを決めて先制に成功。続く18分にも、中央からのスルーパスに抜け出した中丸がGKと1対1のチャンスを迎えたが、WESTのGK天野友志(清水ジュニアユース)に阻まれた。

 対するWESTも20分に、左後方からドリブルを仕掛けたDF桑原海人(福岡U-15)がPA左外で、倒されFKを獲得。このチャンスをMF杉田迅(京都U-15)が直接、ゴール左下に沈めて、同点に追いつく。試合を振り出しに戻したものの、以降はEASTの流れ。「身長が低くても、自分が出来ることを証明しようと思っていた」という146cmの榊原と、160cmの本間を中心とした攻撃に手を焼いたが、WESTはDF河合哲太(G大阪ジュニアユース)を中心に冷静に切り抜け、前半を終えた。

 後半もEASTのペースで流れは変わらず。後半1分には、本間が中央でボールを奪い、前線にスルーパスを展開。PAでフリーとなった中丸がシュートを狙ったが、タイミング良く飛び出したGK林祥太郎(C大阪U-15)に防がれてしまう。チャンスを作りながらも、EASTが追加点を奪えずにいると、次第に流れはWESTの下へ。「相手のちっちゃい選手が上手かったので、そこを抑えてショートカウンターを狙っていた」というMF奥野耕平(G大阪ジュニアユース)ら5人を後半から投入して攻撃を活性化させると、12分にはFW久保勇大(G大阪ジュニアユース)の右クロスからFW藤原志龍(徳島ジュニアユース)がヘディングシュートを見舞う。この一撃はゴールネットを揺らせなかったが、直後の13分に藤原がGKとの1対1を決めて逆転に成功する。EASTも30分に交代で入ったばかりのFW室井彗佑(横河武蔵野ジュニアユース)が決めて再び試合を振り出しに戻したが、36分、WESTは中盤でボールを受けた奥野が前線に浮き球パスを出すと、飛び出したGKよりも先にFW服部航平(京都U-15)が触り、ボールはゴール方向に転がる。これは、惜しくも左ポストに直撃。それでも、「地味なプレーやけど、服部の持ち味が出たプレー。泥臭いけど、欠かせない動き」(鴨川監督)で服部がこぼれ球を拾うと、PAでフリーとなった久保に繋いで3点目を奪った。このまま3-2でWESTが勝利。最優秀選手賞には奥野が選出された。

 今年は、9月16日からAFC U-16選手権2016の予選が始まるため、U-15日本代表に選出された選手は出場せず。MF菅原由勢(名古屋U15)、瀬古歩夢(C大阪U-15)、久保建英(FC東京U-15むさし)など代表を優先するため、当初発表されたメンバーから外れた選手も少なくない。いわば、今回出場したメンバーは“代表から漏れた選手たち”だが、「ここにいる皆、悔しい思いをしていると思う。ここでアピールして、また選ばれたいと思っていた」と本間が口にしたように、それぞれが持ち味を発揮し、日の丸入りをアピールした。また、「最初は緊張したけど、奈良では味わうことができない経験が詰めたのは大きい。自信があるヘディングは通用したと思うし、俺もこの中でやれるんだって思えた」と、口にしたように、CB柳本龍士郎(奈良YMCA SCジュニアユース)など街クラブに所属する選手が高いレベルを経験できたことも収穫の一つ。「熱い中でも、サッカーに対する気持ちを見せてくれたと思う。そりゃ、宇佐美の時なんかは、もっと上手かったけど、今日見せてくれた気持ちを続けていけば、これからも上手くなれるし、追いつくこともできると思う」。鴨川監督がそう話したように、それぞれが自らの存在をアピールすると共に、確かな手応えと成長のきっかけを掴んだ一戦だったと言える。

(取材・文 森田将義)

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