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[選手権予選]駿台学園が“前回優勝校”三鷹中等教育学校との熱戦制して16強進出!:東京B

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[9.13 全国高校選手権東京都Bブロック2次予選1回戦 三鷹中等教育学校 1-3 駿台学園高 南豊ヶ丘フィールド]

 第94回全国高校サッカー選手権東京都Bブロック予選1回戦が13日に行われ、昨年度の全国大会に出場した“都立の星”三鷹高の伝統を引き継ぐ三鷹中等教育学校と駿台学園高との一戦は、駿台学園が3-1で勝利。駿台学園は19日の2回戦で東京朝鮮高と対戦する。

 会場には昨年度の全国大会開幕戦・東福岡高戦以来となる「見せろ! 三鷹の底力!」という大横断幕が張られていた。ユニフォームは昨年度の全国用に新調されたものを9か月ぶりに着用。多数のOBたちも駆けつけ、駿台学園のシュートをブロックするたびに歓声が巻き起こっていた。T2(東京都2部)リーグで開幕13連敗、最下位に沈んでいる三鷹中等教育学校だが、今年3月に閉校した三鷹高が“最後の選手権”で見せた東京制覇、全国での奮闘を思い起こさせるような粘り戦いぶりと空気感。選手層で劣るチームが格上のT1リーグ勢・駿台学園に最後まで食い下がった。

 だが、大森一仁監督が「ベンチも、選手も落ち着いていた。雰囲気は気にせずにできたと思います」という駿台学園が後半3得点を奪って勝利。敗れた三鷹中等教育学校の佐々木雅規監督は「向こうの方が力は上なので。走らされて、走らされて、最後まで走り切ったから・・・・・・」。試合直後、すぐに凛とした姿で整列と挨拶を終え、ベンチへ戻ってから大号泣していた選手たちを「(ピッチの中では最後まで三鷹のプライドを持って)よくやってくれたなと思いました」と讃えていた。

 試合は攻める駿台学園に対して凌ぐ三鷹の展開となった。三鷹は左手首骨折の影響でトップ下での出場となった昨年の優勝CB吉野秀紀らが絡んで攻めるが、立ち上がりにFKからチャンスをつくった後はPA付近までボールを運ぶシーンもわずか。ロングボールをきっちり跳ね返されると、「ボランチが拾わないと。相手を乗せてしまったら困るので、予測して勢いよく行けたらなと思っていた」という駿台学園の司令塔・MF猪田光人に再三セカンドボールを拾われて自陣まで押し戻された。

 冷静な試合の入りから、徐々に攻勢を強めて行った駿台学園は怪我から復帰したエースFW原虎之介主将がドリブルでPAへ迫り、MF泉澤樹の右足シュートが立て続けにゴールを襲う。そして前半終了間際にはFKから決定機。だがこぼれ球をMF池田英史が狙った右足シュートはゴール左へ外れ、CB小澤拓弥が放ったヘディングシュートは三鷹の2年生GK齋藤想平のビッグセーブに阻まれてしまう。献身的に相手との距離を詰め、PAでシュートコースを消す三鷹は守備の柱・CB都築亮太が空陸の戦いで奮闘。中学時代から大きく成長を遂げたというCB森下祐喜も身体を張った守りで前半は得点を許さなかった。

 駿台学園は後半6分、左SB五宝隼を起点とした攻撃から最後はFW持地陽介}のラストパスをPAまで走り込んでいた五宝が受けて左足シュート。だが、この決定機はGK齋藤が再びビッグセーブで阻止する。駿台学園は直後にも持地との連係から原が決定的な右足シュートを放つが、これもゴール左外へ外れてしまう。駿台学園にとってはチャンスをつくりながらも決めきれない嫌な流れ。それでも後半18分、駿台学園は右サイドでボールを持ったMF山口遼太が切り返しからPAの原へ絶妙なラストパスを通す。GKと1対1となった原が「いいパスが来たので止めて蹴るだけだった。仲間のお蔭ですね。GKの位置も見えていた」と冷静に左足でゴールを破ってついに先制点を挙げた。

 猪田が「(三鷹は)前年度優勝しているし、自分たちはTリーグで勝てていない。気を引き締めないと勝てないと思っていた。1点取ってからも気を引き締めることはみんな分かっていた」と語ったように、緩みを見せない駿台学園は畳み掛ける。そして26分、自らの仕掛けでPKを獲得した原が左足シュート。だが、これを三鷹GK齋藤が左へ跳んでストップする。窮地を乗り越えた三鷹は同点ゴールへ向けて、カウンターからコンビネーションで突破を図った。だが、精度を欠いてシュートシーンをつくることができない。逆に34分、駿台学園は猪田がストレートボールで蹴り込んだ左後方からのFKを、小澤が頭で右隅へ沈めて2-0と突き放す。

 三鷹も終了間際の39分、右サイド後方からのロングボールに交代出場のMF吉田凌が飛び込むと、こぼれ球を主将の吉野が渾身の右足シュートでゴールへ叩き込む。これで1点差。さらにロングボールをPAへ放り込んで同点を狙う三鷹だが、その背後を取った駿台学園は42分、猪田と山口がGKと2対1の状況へ持ち込んで最後は山口が勝負の行方を決定づける3点目のゴールを決めた。

 “前回王者撃破”を果たした駿台学園は今季、T1リーグで2勝13敗で10チーム中9位と苦戦。だが、大森監督が「T1の厳しい経験が生きている。精神的にもタフになってきていると思いますね」というように苦しい展開でも乗り越えることのできるタフさが身に着いている。原は「仲良くて団結力がある。身体能力高くなくて、結果はついてきていないですけど、諦めずにやることをやってきたので、粘り強さはこれからいいところになっていってくれればいい」と自分たちに期待した。目標は全国大会出場。ムードいいチームは2回戦で総体予選4強の東京朝鮮高も乗り越える。

[写真]この日決勝ヘッドを決めた駿台学園のCB小澤(右)と三鷹CB森下の競り合い

(取材・文 吉田太郎)
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