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「シュート打て!」コールに反論するF東京指揮官「何が言いたかったのか、分からない」

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[9.19 J1第2ステージ第11節 横浜FM1-0F東京 日産ス]

 試合終了と同時に、ゴール裏のFC東京のファン・サポーターからは「シュート打て!」というコールが起きた。前半からボールを保持されていたF東京は、後半に入ってFW中島翔哉を投入。中島が前線からアグレッシブにプレスを仕掛けたことで、高い位置でボールを奪える回数が少し増えたものの、その流れは長くは続かなかった。結局、前半は3本のシュートを放っていたのに対し、後半はシュートゼロ。終了間際にFW前田遼一に決定的な場面が訪れたが、シュートは打てず。そのプレーの直後にJリーグデビューとなったFW富樫敬真に決勝点を決められ、0-1で敗れて7試合ぶりの黒星を喫した。

 試合後、ゴール裏へ挨拶に行ったF東京イレブンは、「シュート打て!」というコールに加え、ブーイングを浴びせられた。このファン・サポーターの反応に、マッシモ・フィッカデンティ監督は不満だったようだ。「正直、サポーターが何を望んでいたのか、はっきりと分かりません」と、不快感をあらわにした。

「年間順位は3位です。FC東京の歴史の中で、これだけハイペースで勝ち点を重ねたことはありませんでした。さらに、最高の選手を夏に放出せざるを得ない状況もありました。そうしたことがあった中で、今、この順位にいることを踏まえて何が言いたかったのか。分かりません」

 第1ステージだけで10ゴールを挙げたFW武藤嘉紀がマインツへ移籍。攻撃の核となっていたエースが離脱した第2ステージも、この試合まで4位という好順位をキープしていた。この試合に関しても、横浜F・マリノスにボールは保持されたものの、それほど守備が崩されたわけではなく、立ち上がりのMF東慶悟の決定機、後半終了間際に前田が迎えたチャンスのどちらかを活かせていれば勝てていた。というのが、指揮官の言い分だろう。

「前田にチャンスがあった直後、失点をして負けてしまった。そういったエピソードが紙一重のバランスを崩した。前田が決めていれば、時間帯を考えても1-0で勝てていた。戦術的によくやったが、一つのエピソードが試合を変えるということがよく分かった試合」

「ここ数試合の相手のゲームを見て、我慢比べになると思っていた。前半の東、後半の前田のチャンス、少ない決定機で決められるかがモノを言う。ただ、これまでの経験上、こういう試合がリーグ戦の中であることは分かっていた」

 これまでリーグタイトルを獲得したことのないクラブが、突然、内容でも結果でも相手を圧倒できるわけではない、というのは、わからなくもない。とはいえ、日本代表経験者がズラリと顔を並べているクラブが、90分を通してわずか3本のシュートしか放てないのでは、いくら好結果を出していても、今後に不安を感じてしまうだろう。

「ああいうところで決めないと…。決めればまた変わると思う。シュートが3本しか打てていないので。そこも課題なのかなと感じています。少ないところでも決めないといけないのかなと個人的には思うし、チームとしても連敗しないように次の松本戦に気を引き締めたい」(東)

「ずっとボールを持たれていたし、体力的にあの時間帯はきつかった。ただ(失点場面は)人数はいたので、誰かがボールに寄せれば、もう少し相手のクロスの精度が落ちていたと思う。でも、全体的に下がり過ぎだと自分たちも感じているので、もう少し修正してやっていければいいと思う」(徳永)

 感情的になっていた指揮官に対し、選手たちは冷静に課題を見つめていた。受動的な戦い方に、不満がないはずはないだろう。それでも、割り切った戦い方をしながら、結果が出なかったからこそ一丸となれなければ、ここまでの頑張りも意味のないものになりかねない。

(取材・文 河合拓)

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