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[プリンスリーグ東北]青森山田セカンドに敗戦・・・U-18代表佐々木、トップ内定小島欠いた仙台ユース3連覇逃す

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[9.19 高円宮杯プリンスリーグ東北第17節 仙台ユース 1-2 青森山田高 泉パークタウンスポーツガーデンサッカー場]

 19日、「高円宮杯U-18サッカーリーグプリンスリーグ東北」第17節が東北各地で行われ、宮城県仙台市の泉パークタウンスポーツガーデンサッカー場では、2位のベガルタ仙台ユース(宮城)と4位の青森山田高セカンド(青森)が対戦した。

 首位の尚志高を勝点2差で追う仙台は、優勝のためには2連勝しなければ厳しい状況。前節聖和学園高に終了間際の失点で敗戦を喫したこともあり、必勝を期して試合に臨んだ。

 ところが仙台のチーム状況は想像以上に厳しかった。U-18日本代表MF佐々木匠(3年)は全国3位という過去最高成績を挙げた日本クラブユースサッカー選手権(U-18)終了後は、トップチームで調整しながらU-18日本代表の国内・海外遠征に招集される状況で、プリンスリーグ東北の試合には一切出場していなかった。

 佐々木匠が不在の試合は夏までにも何度かあったが、追い打ちをかけるように負傷者が続出した。5日に行われた第15節仙台育英高戦で、16日にトップチーム昇格内定が発表された右SBのDF小島雅也(3年)が相手FWとの接触で負傷し長期離脱。穴を埋めるはずだったDF平澤健介(2年)も練習中の脱臼で長期離脱。もう一人の右SB、DF笹本悠貴(3年)は夏の大会後学業に専念していたため、右サイドバックの選手が誰もいない状況に陥った。

 聖和学園戦では本来CBのDF郷家章人(3年)を右SBで起用し、DF樫崎桂太(2年)をCB起用したが、守備が安定せず敗戦したため、この日は本来ボランチもしくは左SBのMF熊谷奎哉(2年)を右SBで起用し、郷家をCBに戻した。

 しかし、この急造布陣も立ち上がりうまく機能せず、青森山田セカンドの攻勢を受けた。そして4分、相手CKの際、ゴール前の混戦の中で、DF相原旭(3年)がハンドの判定を受けてPKを献上。5分、青森山田セカンドMF中村圭汰(3年)がPKを決めて先制した。重苦しい空気が漂う中、仙台も反撃に転じた。19分、仙台は右SH佐々木翼(2年)が駆け上がり、クロス。ゴール前に飛び込んだFW本吉佑多(3年)がシュートを決めて仙台は同点に追いついた。

 これで落ち着くかに見えた仙台だったが、その後、青森山田セカンドのカウンター攻撃に苦しみ再三ピンチを招いた。攻撃も長身の本吉とFW吉田伊吹(3年)へのロングボールが多くなり、単調になってしまった。夏の全国大会ではロングボールを効果的に使ったダイナミックな攻撃は機能していたが、それに変化を付ける役目だった佐々木匠は不在。「相手は前回対戦した時も高さで攻めてきたので、絶対負けないようにとミーティングでも言っていた。ヘディングは強くないが気持ちで上回れた」と青森山田セカンド主将DF岡西享弥(3年)も語る通り、次第に青森山田セカンドはロングボールへの対処に慣れ、本吉や吉田が競り勝てなくなり、攻撃が機能しなくなっていった。

 そして39分、青森山田セカンドFW小田聖真(3年)がドリブルで中央突破し、右サイドに開いたFW黒田凱(2年)にパス。黒田は「小田君が背後に抜けられるので、その横さえ作っておけば2対1から1対0に持ち込んで無人のゴールに決められると思い、横を作ることだけ考えた」と語る通り、仙台守備陣の間をすり抜け、GKが飛び出した所で落ち着いてゴールを決めた。黒田剛監督を父に持つストライカーが大仕事をやってのけ、前半は青森山田セカンドリードで終えた。

 後半に入っても青森山田セカンドが不安定な仙台守備陣の隙を突きカウンターでチャンスを作る展開は変わらなかった。仙台は本吉へのロングボールに活路を見出すもチャンスがなかなか作れない。選手交代で2年生選手を次々に投入するも、状況は変わらず時間だけが過ぎていった。最後まで仙台ユースは攻守ともちぐはぐなまま試合終了。2-1で青森山田セカンドが勝利。この後行われた尚志対聖和学園で尚志が勝利したため、連敗の仙台は優勝の可能性が消え、悲願の3連覇とプレミアリーグ昇格は夢と消えた。

 試合後の仙台は涙を流すよりも茫然自失、起こったことを受け入れられないといった表情の選手が大半だった。越後和男監督は「あんな試合をしていたら勝てないのは当たり前。良かった選手は一人もいない。ケガ人がいるのはどこも一緒だ」と怒りの表情で足早にクラブハウスへ戻ったことからも、いかに不本意な内容だったかがうかがえる。

 チームキャプテンのMF本郷桂佑(3年)が学業専念、ゲームキャプテンの佐々木匠がトップ招集で不在のためキャプテンマークを巻いたMF縄靖也(3年)は「昨年とは違い高さ勝負を上手く入れていくチームスタイルだったが、その高さ勝負で勝ちきれずにチャンスを作れなくて、全体的に決定的なチャンスが少なかった。もっと前でプレーできる時間を増やせれば良かった」と敗因を語った。

 仙台は3年生にタレントを多く抱え、夏の全国大会も過去最高の成績を残し、3連覇は有力視されていた。しかし佐々木匠が頻繁にトップや代表に招集され、小島をはじめ負傷者が続出し、チームのクオリティを保つことができなかった。それでも縄は「尚志には前回大差で負けているので、東北で1番にはなれなくても、勝てるんだというところを見せたい」と語る。最終節・尚志戦は消化試合となったが、前回対戦で0-4と完敗しただけに意地を見せたいところだ。そして今シーズン最後の大会となるJユースカップでもう一度夏に見せた輝きを取り戻したい。この2ヶ月間で天国と地獄を見た仙台ユース。筆舌に尽くしがたい悔しさをJユースカップ優勝に向けた力に変えなければならない。

(取材・文 小林健志)
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