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[選手権予選]2-0から一時追いつかれるも・・・終盤に強さ「見せつけた」桐蔭学園が3回戦進出!:神奈川

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[9.20 全国高校選手権神奈川県2次予選2回戦 桐蔭学園高 5-2 平塚学園高 桐蔭学園高G]

 第94回全国高校サッカー選手権神奈川県2次予選は20日、2回戦を行い、03年度以来となる全国大会出場を狙う桐蔭学園高平塚学園高が対戦。桐蔭学園がFW行武大希の4得点の活躍などによって5-2で勝った。桐蔭学園は3回戦(10月18日)で相洋高と戦う。

 桐蔭学園のCB長内祐乃輔主将は「選手権には必ず出なければいけない。何年間も出ていなくて、自分たちも簡単に出られないということは分かっている。(だが)必ず全国行きます」と言い切り、行武は「何年か行けていなくて、古豪と言われるくらいになってきていると思いますけれども、自分たちがそういうのを変えてやるという意識で、最高の仲間たちとやっていきたいです」と誓った。89年度(平成元年)からの15年間で8度選手権神奈川県予選を制し、02年度の全国高校選手権で4強、93年、05年の全国高校総体で4強、11年の全国高校総体で初優勝。だが、初の日本一に輝いた11年総体を最後に全国舞台から遠ざかっている現状を今年のメンバーが変える意識でいる。

 桐蔭学園が05年全国総体4強入りした時の世代のOBで、今年4月から指揮を執る中野大輔監督代行は高いレベルまで成長してきている選手がいることを認めつつも、近年の結果、選手層含めて「優勝候補ではない」という言葉で選手たちを引き締めている。実際に今年の総体予選は初戦で相洋高に1-2で逆転負け。選手たちは厳しさを味わった。また、今春はトレーニングに集中しきれていない時期があったことも確か。だが選手権へ向けて「吹っ切れました」「心入れ替えてやっています」という選手たちはこの日、中野監督代行が「オフ・ザ・ピッチのところは非常に大切にしているところがあるので、そういうところが最後拮抗した時に活きてくるというふうに信じて普段から生活しろ、という話をしています。加えて、プレーしているときは、ボールを動かして、何人も何人も連動して絡んでいけるように、ということは口うるさく言っているところです」という積み重ねてきた部分を発揮。この日は2点リードを追いつかれる苦しい展開だったが、勝負どころで底力を発揮して勝ち切った。
 
 桐蔭学園は前半5分、左サイド後方からの素晴らしいクロスボールでスペースを突いたMF山本暁哉の折り返しを、行武が難なく左足でゴールへ沈めて先制点を奪う。幸先良くリードを奪った桐蔭学園はCBが幅を取った位置取りのポゼッションから左SB澤田大登や長内のフィード能力の高さも活かしながらボールを進め、スピードを活かしたドリブルで局面を破る注目10番・行武や粘り腰のドリブルで突破を図るMF君島克佳の個人技も交えて相手ゴールへ迫る。だが、平塚学園も最前線で存在感放つFW土田聖也の強さ、キープ力をポイントに反撃。12分には敵陣でインターセプトした土田がGKと1対1となるが、シュートはGK早川友基がストップ。桐蔭学園のサイド攻撃からシュートシーンをつくられながらも、1点差のまま試合を進める平塚学園は、33分にもPAに放り込まれたFKのこぼれ球を左DF椎野大地が決定的な形で狙うが、ボールは枠を外れた。平塚学園は後半開始直後にもMF小内俊輔がDFと入れ替わって抜けだしたが、GKに阻まれ、フォローしたMF鈴木来都がGK不在のゴールへ放った右足シュートはカバーに入った桐蔭学園DFにクリアされてしまう。

 逆に桐蔭学園は7分、左サイドでDFを外した君島がスルーパス。巧みなボディーコントロールでDFを振り切った行武が左足で柔らかいクロスを上げると、ファーサイドから飛び込んできた山本が頭で合わせて2-0とした。だが土田やMF道地廉のスペースへの動き光る平塚学園は直後の9分、右クロスがファーサイドまで流れたところを椎野が押し込んで1点を返す。直後に迎えたピンチをGK酒井輝也の好守で切り抜けた平塚学園は20分、右サイド後方からオープンスペースへ出された縦パスに反応した土田が、逆サイドのゴールネットへ右足シュートを叩き込むスーパーゴール。0-2から同点に持ち込んだ。

 試合の軸は平塚学園へと傾いていた。それでも、前半から相手にボールを動かされ続けた影響か、平塚学園は勝負どころで運動量が低下。それを見逃さずに個人技で突いた桐蔭学園が平塚学園をねじ伏せる。29分、桐蔭学園はFW中村陸八が左サイドからDFを振り切りながら中央へ持ち込んでスルーパス。ボールを受けた行武はDFのスライディングタックルを鮮やかにかわすと、そのまま右足シュートをゴールへ流し込んだ。桐蔭学園は31分にも右サイド深く切れ込んだ中村のラストパスを行武が豪快にゴールへ叩き込んで4-2。さらに32分にも、右サイドを突破したSB柴田晃汰のラストパスを行武が決めて5-2で勝利した。桐蔭学園の中野監督代行は「『相手を見てプレーしろ』ということは言っているので、そういう意味ではできた部分も少しはあったのかなと思いますけれども、(相手の)足が止まっていなかったとしたら、本当に崩せていたのかなというところが課題として残っているので。自分たち主導でそういうふうに持っていけるようにしていきたい。(終盤は)彼らがやってきたことが出たかなというところがあるので、あの時間帯を例えば伸ばせたり、最初からできたりということがこれからの課題」と期待した。

 苦しい試合であったことは間違いないが、桐蔭学園は特に攻撃面など今後へ向けて楽しみな部分も披露して勝利した。長内は「インターハイですぐ負けてしまって、『周り誰もマークしていないから、自分たちがここでもう一回見せつけろ』とコーチから言われていた」。その言葉通りに、チームのポテンシャルの高さを「見せつけた」桐蔭学園。課題を改善し、より精度を高め、U-18日本代表FW小川航基擁する桐光学園高や昨年度全国4強の日大藤沢高を中心に激戦区の神奈川予選を突破して今年こそ、全国切符を勝ち取る。

[写真]後半29分、桐蔭学園は行武が勝ち越しの右足シュート

(取材・文 吉田太郎)
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