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群馬と讃岐は練習場不備などでJ2ライセンスに…会計不正発覚した愛媛にもJ1ライセンス

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 Jリーグは29日、2016年シーズンのJ1およびJ2クラブライセンスの判定結果を発表した。今季、J1とJ2に在籍する40クラブすべてにライセンスが交付され、J3クラブ4クラブにもライセンスが交付された。

 注目されたJ3首位を走るレノファ山口FC(写真)には、無事来季のJ2ライセンスが交付された。順位的な条件を満たした上で、今季の1試合平均入場者数3000人以上や広告料収入1億円以上などの要件を満たせば、J2昇格が認められる。

 J1ライセンスが交付されたクラブは、昨季の37クラブから変動はなかった。ただ、ツエーゲン金沢FC岐阜が新たに認定されたのに対し、ザスパクサツ群馬カマタマーレ讃岐はJ2ライセンスとなった。これは今季よりJ1ライセンス取得条件に追加された「トレーニング施設に天然芝のピッチを1面以上」、「条件を満たしたクラブハウスの保持」などの項目を満たしていないためで、会見したスタジアム推進グループマネージャーの佐藤仁司氏は、「これまでよりも練習環境が悪化したという意味合いではなく、ハードルが高くなったということ」と説明。金沢はトレーニング施設の改修で条件を満たし、岐阜もスタジアムは岐阜県、トレーニング施設は岐阜市の協力を得て、J1ライセンスの条件を満たした。

 今後新たに追加される具体的な項目については未定。ただ、同じく会見したクラブライセンスマネージャーの青影宜典氏は、「将来的にはB等級をA等級、C等級をB等級にしたい(※1)」と展望を述べ、「例えば3年後までにというように、みなさんにお知らせをしてからというふうになります」と猶予期間をしっかり与えることを強調した。

 また青影氏は、特定のクラブについての言及は避けたいとしながらも、今春、不正会計があったことが発覚した愛媛FCについて説明。「会計不正は確かに発生したが、その後、組織的な大きな改善が見られた。社長が交代したり、地元の銀行、自治体から人を派遣してもらったり、組織体制が大きく変革した。いろいろな面で組織力が充実していっている。不正のあった当初から比べると大きな改善がみられる」と評価した。


※1 クラブライセンス交付規則は、内容の重要性に応じて、「A」「B」「C」の3つの等級に区分されている。A等級はライセンス交付には必須で、これを満たさないとライセンスを失うことになる。大きな話題を集める3期連続赤字などの財務項目はこれに該当する。B等級はライセンス交付には必須だが、ライセンスを失うわけではなく、制裁のみが科せられる基準。C等級は将来的に必須となる可能性があるものと分類されている。

以下、クラブライセンス判定

コンサドーレ札幌
J1ライセンス
【財務】Jリーグが予算進捗・編成等につき随時ヒアリング

ベガルタ仙台
J1ライセンス
・2014年度赤字

モンテディオ山形
J1ライセンス
・NDソフトスタジアム山形 トイレ・屋根不足

鹿島アントラーズ
J1ライセンス

水戸ホーリーホック
J2ライセンス
・2014年度赤字
・スタジアム入場可能数が1万5000人未満であるため、J2ライセンス判定

栃木SC
J1ライセンス
・栃木県グリーンスタジアム 屋根不足、トイレ制裁免除※2
【トレーニング施設】2016年1月31日までにJ1基準のトレーニング施設の供用が開始されない場合、ライセンスが取消されるか、制裁が科される可能性がある

ザスパクサツ群馬
J2ライセンス
・正田醤油スタジアム群馬 屋根不足
・トレーニング施設がJ1基準を充足していないため、J2ライセンス判定

浦和レッズ
J1ライセンス

大宮アルディージャ
J1ライセンス
・NACK5スタジアム大宮 屋根不足

ジェフユナイテッド千葉
J1ライセンス
・2014年度赤字

柏レイソル
J1ライセンス
・日立柏サッカー場 屋根不足

FC東京
J1ライセンス
・トイレ制裁免除※2

東京ヴェルディ
J1ライセンス
・トイレ制裁免除※2

FC町田ゼルビア
J2ライセンス
・町田市立陸上競技場 屋根不足
・スタジアム入場可能数が1万5000人未満であり、トレーニング施設がJ1基準ではないため、J2ライセンス判定
【J2昇格条件】Jリーグ規約第17条第2項(広告料1億円、平均3000人)を充足しなければJ2昇格はできない

川崎フロンターレ
J1ライセンス

横浜F・マリノス
J1ライセンス
・トイレ制裁免除※2
【トレーニング施設】2016年1月31日までにJ1基準のトレーニング施設の供用が開始されない場合、ライセンスが取消されるか、制裁が科される可能性がある

横浜FC
J1ライセンス
・ニッパツ三ツ沢球技場 屋根不足、トイレ制裁免除※2
【財務】Jリーグが予算進捗・編成等につき随時ヒアリング

湘南ベルマーレ
J1ライセンス
・Shonan BMWスタジアム平塚 屋根不足、トイレ制裁免除※2
【財務】Jリーグが予算進捗・編成等につき随時ヒアリング

ヴァンフォーレ甲府
J1ライセンス
・山梨中銀スタジアム 屋根不足、トイレ制裁免除※2
・2014年度赤字

松本山雅FC
J1ライセンス
・松本平広域公園総合球技場 屋根不足
【トレーニング施設】2016年1月31日までにJ1基準のトレーニング施設の供用が開始されない場合、ライセンスが取消されるか、制裁が科される可能性がある

AC長野パルセイロ
J2ライセンス
・トレーニング施設がJ1基準ではないため、J2ライセンス判定
【J2昇格条件】Jリーグ規約第17条第2項(広告料1億円、平均3000人)を充足しなければJ2昇格はできない

アルビレックス新潟
J1ライセンス
・トイレ制裁免除※2

カターレ富山
J1ライセンス
・富山県総合運動公園陸上競技場 屋根不足、トイレ制裁免除※2
【J2昇格条件】Jリーグ規約第17条第2項(広告料1億円、平均3000人)を充足しなければJ2昇格はできない

ツエーゲン金沢
J1ライセンス
・石川県西部緑地公園陸上競技場 トイレ・屋根不足
・2014年度赤字
【トレーニング施設】2016年1月31日までにJ1基準のトレーニング施設の供用が開始されない場合には、ライセンスが取消されるか、制裁が科される可能性がある

清水エスパルス
J1ライセンス
・IAIスタジアム日本平 トイレ・屋根不足

ジュビロ磐田
J1ライセンス
・ヤマハスタジアム 屋根不足

名古屋グランパス
J1ライセンス
・パロマ瑞穂スタジアム トイレ・屋根不足(豊田スタジアムは充足)

FC岐阜
J1ライセンス
・トイレ制裁免除※2
・2014年度赤字
【スタジアム】2016シーズン開幕までにスタジアムの改修工事が完了しない場合には、ライセンスが取消されるか、制裁が科される可能性がある
【トレーニング施設】2016年1月31日までにJ1基準のトレーニング施設の供用が開始されない場合には、ライセンスが取消されるか、制裁が科される可能性がある

京都サンガF.C.
J1ライセンス
・制裁免除(スタジアム新設)

ガンバ大阪
J1ライセンス
【スタジアム】2016シーズン開幕までに新設スタジアムの供用が開始されない場合には、ライセンスが取消されるか、制裁が科される可能性がある

セレッソ大阪
J1ライセンス
・ヤンマースタジアム長居 トイレ不足(キンチョウスタジアムは充足)
・2014年度赤字

ヴィッセル神戸
J1ライセンス
・トイレ制裁免除※2

ファジアーノ岡山
J1ライセンス
・シティライトスタジアム トイレ・屋根不足

サンフレッチェ広島
J1ライセンス
・エディオンスタジアム広島 トイレ・屋根不足

レノファ山口FC
J2ライセンス
・トイレ制裁免除※2
・2013・14年度(2期連続赤字)
・スタジアム入場可能数が1万5000人未満であり、トレーニング施設がJ1基準ではないため、J2ライセンス判定
【J2昇格条件】Jリーグ規約第17条第2項(広告料1億円、平均3000人)を充足しなければJ2昇格はできない
【財務】Jリーグが予算進捗・編成等につき随時ヒアリング
【スタジアム】2016シーズン開幕までにスタジアムの改修工事が完了しない場合には、ライセンスが取消されるか、制裁が科される可能性がある

カマタマーレ讃岐
J2ライセンス
・Pikaraスタジアム トイレ・屋根不足
・トレーニング施設がJ1基準ではないため、J2ライセンス判定

徳島ヴォルティス
J1ライセンス
・鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム 屋根不足、トイレ制裁免除※2

愛媛FC
J1ライセンス
・ニンジニアスタジアム 屋根不足
【財務】Jリーグが予算進捗・編成等につき随時ヒアリング
【トレーニング施設】2016年1月31日までにJ1基準のトレーニング施設の供用が開始されない場合には、ライセンスが取消されるか、制裁が科される可能性がある

アビスパ福岡
J1ライセンス
・トイレ制裁免除※2

ギラヴァンツ北九州
J2ライセンス
・制裁免除(スタジアム新設)
・スタジアム入場可能数が15000人未満であるため、J2ライセンス判定

サガン鳥栖
J1ライセンス
・2013・14年度2期連続赤字
【是正通達】
(1)2015年度予算進捗をJリーグに定期的に報告すること
(2)2016年度予算編成時にJリーグに事前に説明すること

V・ファーレン長崎
J1ライセンス
・トイレ制裁免除※2

ロアッソ熊本
J1ライセンス
・トイレ制裁免除※2

大分トリニータ
J1ライセンス

※2 スタジアムの屋根は、観客席の3分の1以上が覆われていなければならない。またスタジアムは、1000名の観客に対し、少なくとも洋式トイレ5台、男性用小便器8台を備えなければならない。なお、トイレの数について基準未充足であるが、観客席の60%に対する充足率では充足しているため制裁免除されたスタジアムがある。

(取材・文 児玉幸洋)

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