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[国体少年男子]「これからの和歌山にすごく意味のある1勝」開催県・和歌山が3位に!!

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[10.1 国体少年男子3位決定戦 兵庫県 1-2 和歌山県 上富田スポーツセンター球技場]

 第70回国民体育大会「2015紀の国わかやま国体」少年男子サッカー競技3位決定戦で開催県の和歌山県が中学3年生FW中川裕仁(C大阪 和歌山U-15)の決勝ゴールによって兵庫県に2-1で逆転勝ち。3位で大会を終えた。

「和歌山の歴史をまたひとつ変えることができた。銅メダル、表彰台ですから。これからの和歌山にすごく意味のある1勝だったと思います」。試合後、選手たちに胴上げされた中村大吾監督(和歌山北高)は感慨深げな表情で勝利を喜んだ。

 今大会の和歌山は地元の声援の後押しを受けて躍進。初戦で優勝候補の一角だった東京都に競り勝ち、2回戦の岡山戦では逆転勝ちを果たした。そして山梨県との準々決勝を延長戦の末に制して初の4強入り。歴史を塗り替えたが、前日の準決勝で福岡県に0-3で敗戦。目標に掲げてきた優勝が消え、選手たちは泣き崩れた。選手たちの気持ちの落ち込みは激しく、指揮官も「大変でしたよ」と振り返ったほど。それでもバスから笑顔になることに努め、夜に宿舎で一発芸大会やエアホッケーのトーナメント大会を行うなど、活気を取り戻したチームはこの日、勝利への強いモチベーションをもって3位獲得に挑戦した。

 前半12分、兵庫は左サイドを突破したFW今岡陽太主将(大阪桐蔭高1年)の折り返しが和歌山DFのオウンゴールを誘って先制。だが、和歌山は14分、右SB家本大渡(初芝橋本高1年)のクロスからPAで左SB田畑篤郎(C大阪 和歌山U-15、中学3年)が粘ると、そのパスを受けたMF和田広矢主将(和歌山北高2年)がマークをわずかに外して右足シュートをねじ込む。早い時間帯に追いついた和歌山は強豪・兵庫相手に堂々の戦い。FW古川健人(桐蔭高1年)の前線からの守備やスライディングで相手のパスをカットするCB中兀成生(和歌山北高2年)、またMF尾崎僚(和歌山北高1年)やCB上田尚輝(和歌山北高2年)が出足のいい守りを見せると、20分には左サイドで攻守に存在感を放つ和田の突破からMF木村波生(和歌山北高2年)がシュートを放つ。29分にもゴール前の混戦から田畑が決定的な右足シュートを打ち込んだ。

 兵庫もMF谷川勇磨(神戸U-18、1年)が遠目の距離からシュートを狙い、今岡が相手の背後を取りにかかる。また右SB前川智敬(神戸U-18、1年)、左SB宮田健太郎(神戸U-18、1年)が正確なクロスやフィードを見せるが、和歌山の守備は崩れない。和歌山は後半、今大会最多得点者のFW丸畑紘杜(東大阪大柏原高2年)や和田がスピードに乗った仕掛けでゴールへ迫り、15分にはMF山田汰寧(東大阪大柏原高2年)がクロスバー直撃のミドルシュート。兵庫も27分にMF竹村史明(神戸弘陵高1年)のループパスから今岡がループシュートを狙うが左ポストをかすめて外れてしまう。

 3位の座をかけた熱い戦いに決着をつけたのは中学生FW中川のゴールだった。後半28分、相手の背後を狙った中川がこぼれ球に反応して左足シュートを叩き込む。兵庫は直後にともに主力MFの佐藤昴(神戸U-18、1年)と持井響太(滝川二高2年)を同時投入。32分には佐藤の中央突破からMF日野公貴(滝川二高1年)の右クロスを今岡が頭で合わせる。また35分には左サイド後方からのクロスボールを今度は前川が頭で合わせるが、決定的な一撃を和歌山GK森下尚人(近大新宮高2年)がワンハンドでセーブ。集中した守りで兵庫の反撃をかわした和歌山が3位を勝ち取った。

 和歌山の中村監督は「選手が本当に頑張ってくれて、それに尽きます」。主将の和田は「昨日は優勝目指していたので(負けて)涙が出てしまったんですけど、きょうはホンマ笑顔で終わることが出来て本当に良かったです」。和歌山の選手たちは小学生、中学生時代からこの地元国体を目指してきただけに思いは特別。和田は「和歌山は一人ひとり個性が強い。個性の塊です。(強化期間が)長くてメンバーはいっぱい代わったんですけど、落ちたメンバーにも友情はあったし、そいつらの分まで頑張りました。(そして)あの応援がなかったら勝てなかったと思いますし、走れなかった。本当に良かったと思う」。チームのラストマッチで勝利。和歌山が最高の笑顔で国体を終えた。

(取材・文 吉田太郎)
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