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J1通算得点ランク更新を確信する川崎F FW大久保「間違いなく行ける」

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[10.14 天皇杯3回戦 川崎F3-0京都 等々力]

 試合の序盤、京都サンガF.Cは、速攻から川崎フロンターレのゴールを脅かした。だが、ピッチ上でFW大久保嘉人は、両チームの間に力の差があることを感じていたという。

「先に点を取らないと、格下との試合は難しくなります。でも、今日はやりながらポテンシャルとかを見て『大丈夫だな』と思いました。ただ、向こうは(J1が相手で)失うものはないし、何も怖くないから、前からガツガツくる。食ってやろうという気持ちでくるから。こっちはケガだけはしないようにと思って、無理せずにやっていました」

 17日に第2ステージ首位に立っている広島とのリーグ戦を控えている中で、ケガをしないこととチームの良い流れを崩さないことに集中していた。「自分たちのサッカーで圧倒する流れができている。その流れを崩さないような試合をしたかった」。公式戦5連勝中のチームで、この期間に7ゴールを挙げている大久保は、この日も試合を動かす。

 前半22分に最終ラインの裏を取ると、ドリブルでGKの重心をズラして左足でゴールにシュートを流し込んだ。MF大島僚太は「やりながらも1点取れれば、相手の動きが少し落ちるかなと思っていました。1点取るまで、どう取るかが大事だなと思いながらプレーしていました」と、先制点が重用だったと振り返る。

 実際、この先制点を機に川崎Fは試合の主導権を握ったまま、試合を進めることができた。試合終盤にはDF小宮山尊信と途中出場のFW杉本健勇がゴールを挙げて3-0のスコアで勝利し、4回戦に駒を進めた。

 チームの勝利を呼び込んだ意外にも、大久保にとっては大きな意味を持つゴールだった。夏に流産した夫人は抗がん剤治療のために入院中。この日も大久保は病院へ見舞いに行ってからチームに合流した。抗がん剤治療の副作用によって夫人の髪が抜け落ちたとき、夫人がショックを受けないようにと、大久保は息子たちとともに国見高時代以来14年ぶりの坊主にして、この試合に臨んでいた。頭を丸めるだけではなく、点を取ることで勇気づけたかったという大久保は、「入院している妻も安心してくれると思います」と、白い歯を見せた。

 公式戦6試合連続勝利の川崎Fの中で、大久保は8得点と手の付けられない状態だ。元日本代表FW中山雅史氏の持つJ1通算157得点に、あと3点と迫っている大久保には、週末の広島戦での記録更新も期待される。その広島には、中山氏の記録にあと1点と迫っている通算ランキング2位のFW佐藤寿人が在籍しており、ストライカー対決にも注目が集まっている。

「先に寿人さんに追い付いてもらっても問題ないです。間違いなくいけるんで。寿人さんもオレも、まだまだ現役を続けますし、どちらも記録は伸ばしていけると思います。どっちかが広島戦で決められたら盛り上がると思いますし、良い試合がしたいですね。広島戦で2人とも追い付いたら理想的ですね。そうしたら、フロンターレが勝てる可能性が高いですからね(笑)。チームの状態も良いですし、今日の試合でみんな力は、まだまだ残っていると思うので、次も良い形でいきたいですね」と、大久保は中2日での試合にも自信を見せた。

(取材・文 河合拓)

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