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[MOM1523]堀越DF東岡信幸(3年)_「オレが蹴る。最後信じろ」V候補筆頭沈める延長FK弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.18 全国高校選手権東京都Aブロック予選準々決勝 関東一高 1-2(延長)堀越高 大泉高G]

 全国総体4強の関東一高を沈める劇的な決勝FK。堀越高DF東岡信幸(3年)は蹴る前からわずかに笑みを見せていた。直接FKでのキッカーが特別決まっていなかった堀越で東岡がキッカーに名乗りを挙げたのは夏になってから。クロスバーに当てるなど惜しいFKを放っていたという東岡だが、決めることができず。実は直接FKの担当から外れていたという。延長戦後半3分、勝敗を左右するようなシーンで得たFK。ポイントへ向かった背番号20に“キッカー交代を要求”したDF富樫草太主将に対して「オレが蹴る。最後信じろ」と退けた東岡は自身でも驚くような落ち着いた精神状態から右足を振りぬく。外側から巻くように放った右足シュートがゴールを右隅を捉えて決勝ゴールとなった。

 決めることができていない状況ではあったが、信念を貫いた。FKの練習をずっと続けてきて、他の選手に負けない自信もあった。「他のやつより自分の方がいいと。その自信だけは最後まで突き通せたかなと思います」。自信を持って放ったFKが優勝候補からの白星をもたらした。

 ハイライトは間違いなく決勝ゴールのシーンだったが、この闘争心溢れるDFの守りは100分間通して光っていた。押し込まれても「粘り強さを意識してやっていたことが最後出たと思います。オレとかキャプテン(富樫)が折れちゃうとチームが崩壊しちゃう」と集中力を切らさずに走り、相手の攻撃に食い下がった。その激しい当たりをものともにしないガッツとスライディングや頭から飛び込んでもゴールを死守しようとする執念、そして球際で見せる当たりの強さ、激しさが関東一に2点目を与えなかった。

 練習でも先頭に立って、率先して苦しいトレーニングに取り組んでいるという東岡。この日の決勝FKのシーン、佐藤実監督は「指導者がそういうこと思ったらいけないんですけど」と前置きした上で、常に一番頑張って練習に取り組みながらもなかなかパフォーマンスと気持ちが結果に結びついていなかった東岡のキックに「最後、何か起きたらいいなと思って」見ていたという。そして決まったゴール。頑張ってきた東岡とそれに引っ張られるように一緒に戦ってきたチームメートたちに訪れた歓喜の瞬間を、指揮官は特別な思いで喜んでいた。

 その佐藤監督が「(関東一に勝って)注目されて、そこに乗っかっちゃいけない」と語ったように、ここで慢心してはいけない。本当の勝負はこれから。東岡は「去年西が丘行って負けている。全国行くためのリベンジっていうところを次の目標にして頑張っていきたい」と兜の緒を締めた。試合後、興奮の決勝ゴールも、優勝候補撃破の喜びも心の中にしまってコメントしていたDFは、すでに次の戦いへ視線を向けている。

(取材・文 吉田太郎)
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