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[MOM1526]秋田商FW青山和樹(3年)_“アバラ折られた”2年前の全国から15kg増量!肉体強化のFWが3発!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.22 全国高校選手権秋田県予選準決勝 秋田商高 7-1 秋田西高 八橋陸上競技場]

 右膝の負傷明けでこの準決勝が今大会初先発だったが、前線で躍動。秋田商高は小林克監督が「ゴールの匂いが分かるヤツ」と評するFW青山和樹(3年)が3得点の活躍を見せて逆転劇の主役となった。

 特に横からのボールに巧みに合わせる才能を発揮した。0-1で迎えた前半22分には左サイドからMF山本隼主将が右足で巻いたボールを入れると、ファーサイドへ飛び込んで「反復してきた。自分、小さいんですけど得意にしている」というヘディングシュート。この一撃で同点とすると、さらに32分には左サイドのFW菅原晟也が出したラストパスを右足ダイレクトでゴールへ押し込んだ。登録167cmだが、この日は得点シーン以外にもクロスバーを叩くヘディングシュートを放つなどクロスへの強さを発揮。また、相手の背後へタイミングよく飛び出す動きや、スピードに乗ってゴール方向へ切れこむドリブルなどで存在感を示した青山は、後半5分にもMF菅原隆晃のスルーパスで抜けだして右足シュートをゴール左隅へ流し込んだ。

 怪我明けでコンディションを上げるために走りこんできていた分、身体がキレていた青山は先発起用に応えるハットトリック。後半10分には交代したが、「チームの雰囲気を変えたりするのが得意。そういうところも先発起用された理由だと思う。声かけてみんなの雰囲気を良くしたい。それはアップの時から意識している」というFWは50分間で十分な結果を残した。

 1年時の選手権予選準決勝で劇的な延長V弾を決めている青山は同年度の全国大会でも先発出場。だが、「自分、持ち味は裏の飛び出しなんですけど通用しなかった」という履正社高との初戦を0-2で落とし、チームは初戦敗退となった。特に感じたのはフィジカル面の差。当時45kgほどだったという青山は「インターセプトしようとして、インターセプトはできたんですけどバーンと身体を入れられて。(ボールは残したが完全に当たり負けして)吹っ飛ばされて、アバラ折れてて」とフィジカル差を痛感する経験をした。「それからしっかり身体づくりを意識してやってきた」という青山は、チームメートの山本が「筋トレを一番やっていた」と説明する努力で肉体改造。当時から15kg以上増量してたくましさを増し、簡単には当たり負けしないようになった。

 目標は全国での勝利。それは九州・福岡県から東北地方の秋田商へ進学させてくれた家族への感謝のためでもある。青山は中学時代に所属していたドゥマンソレイユ福岡の恩師が秋田商元監督の長谷川大氏と繋がりがあったこと、また「福岡から選手権出たくて」という想いもあって秋田の名門へ進学。1年時には選手権の舞台を踏んだが、高校最終年の今年は必ずあのステージに戻らなければならない。「ここまでこさせてもらった家族とかに感謝の気持ちを持って。(家族は)『サッカー頑張れ』と行かせてくれたんで結果で応えたい」。支えてくれた人たちのために全国切符を掴み、全国で2年前の借りを返すだけ。目標の選手として元イタリア代表FWフィリッポ・インザーギを挙げ、理想のFW像について「チームが点が必要なときに決められて、流れを変えられるように。自分の調子が悪くても、チームの調子が悪くても、しっかり点を取れるような選手になりたい」というストライカーが、まずは24日の決勝で全国を決めるゴールを決める。

[写真]前半32分、秋田商はFW青山が右足で勝ち越しゴール

(取材・文 吉田太郎)
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