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[MOM1532]桐光学園FW小川航基(3年)_延長後半の決勝弾でエースの真価を証明

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.24 全国高校選手権神奈川県予選準々決勝 桐光学園高 1-0(延長)桐蔭学園高 日大藤沢高G]

 まさに、千両役者だ。1点を争い、延長戦にもつれ込んだ大激戦に終止符を打ったのは、やはり桐光学園高のエースだった。延長後半4分、1年生MF田中雄大が左サイドから中央へドリブルを開始すると、FW小川航基は状況を確認しながらタイミングを計った。田中の顔が上がった瞬間、右前方へ走り出してマークを振り切ると、その動きを予測して出された浮き球のパスをヘディングでゴールへとたたき込んだ。

 得点以外にも攻撃面での貢献は大きかったが「すごく、得意としている形。(田中の)顔が上がった瞬間に相手から離れた。出し手にとっても出しやすいタイミングだったはず。出し手と受け手の精度が高ければ決められる場面だと感じた。動き出しで決まったと思う。『最後に決めるのは小川』というのは、やらなくてはいけないこと。キャプテンマークを巻いているし、チームを勝たせるために何ができるのか、すごく考えている。結果として出て良かった」という一撃こそが、エースのエースたる由縁だった。

 前半から相手のマークが最も厳しい最前線でパスを受け続け、攻撃の起点となってチームをけん引し続けた。しかし、チームは初戦特有の動きの硬さもあり、桐蔭学園を相手に攻めながらも得点ができず、一時は試合のペースを奪われるなど苦戦を強いられた。小川は「硬さがあったかどうかは分からない。でも、自分たちの力は、まだまだ出せていない。自分のところに相手が寄って来てくれれば、チャンスができるのは分かっていた。だから、自分が持ったときに味方がどう動くのか、どのタイミングで出すかは、今後もう少し磨きたい」とコンビネーションの改善に意識を向けた。

 プロ入り濃厚の小川は、前を向けば加速力もシュートもある選手だが、さすがに相手は容易に前を向かせない。その中でもポストプレーを見せ、フォローに走って来る両サイドMFを使って突破口を切り開こうとする姿が目立った。しかし、U-18日本代表でもエース格である小川の役割は、チャンスメークで留まるわけにはいかない。やはり、ゴールを奪って勝ってこそ、その役割は果たされる。小川は、チームでもゴールを量産するために「代表では良いボールがどんどん出て来るので、それが得点という結果で表れている。チームに戻って来て、同じような動きができるように味方に具体的な要求をするようになった」とコミュニケーションの中で高い意識の浸透を促しているという。

 小川の役割は、点を取るだけでも、攻撃の起点となるだけでもない。キャプテンとしての顔も持つ。全国高校総体では初戦敗退。久御山高(京都)を相手に2点をリードしたが、追いつかれてPK戦に泣いた。小川は「あの試合のあたりから、練習試合も含めて2点差から追いつかれる試合がいくつも続いた。毎回この展開じゃないかと話して、守備陣にも話をしたし、攻撃陣も3点目が取れないからだと話して、両方で責任を持ってやっていきたいと思った」と目指して来た改善点を明かした。

 だからこそ、試合における最後の1点は、チームにとっても、小川にとっても持つ意味が大きい。桐蔭学園を延長戦の末に下した後、想定外の苦戦となったことを認めた鈴木勝大監督は、小川について「最後にしか仕事をしない……。代表では毎試合のように点を取るのに、ウチでは最後まで取るのか取らないのかとドギマギさせてくれる。そういう意味でも期待している(笑)。最後には決めるのが彼の仕事だし、彼が評価されている部分」と、高い期待の裏返しで少し辛口のコメントを残した。

 能力は高いけど……、点は取れるけど……、タレントはそろっているけれど……と惜しまれながら敗れる展開は、もう十分だ。高校生活の晴れ舞台となる選手権こそは、最後に勝つ、最後まで勝つ姿を見せつける。「この大会に向けて厳しい練習をやってきた。上まで勝ち上がれば、ここでやって来て良かったと今以上にみんなが強く思える。全国制覇まで油断せず、意識高く練習に臨みたい」という小川の言葉は、神奈川の覇権奪回に留まらない、日本一のタイトル獲得宣言だ。有言実行のために、夢の実現のために、次の試合でもゴールを狙い続ける。

(取材・文 平野貴也)
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