[10.25 J2第38節 横浜FC0-0岡山 味フィ西]

　序盤は強風にボールが戻され、横浜FCは攻撃の組み立てに苦心していた。それでも、前半途中からMF佐藤謙介は状況に慣れていき、長短のパスで攻撃を組み立てていた。ファジアーノ岡山の長澤徹監督は「前半から少し横浜さんの8番、佐藤選手の配球から少し主導権を取られました」と、中盤の底でゲームをつくる動きが抑えにくかったことを認めた。

　実際、佐藤は気持ちよさそうにプレーしていたが、狙った縦パスをカットされピンチを招く場面もあった。長澤監督も、上記コメントの後には「でも、そこから奪ってカウンターになる場面もありました」と、主導権を握られながらもチャンスをつくれたことを強調している。

　佐藤自身の脳裏にも、このカットされてピンチを招いた場面の方が色濃く残っていたようだ。「前半も2本くらい、芝生に足が引っ掛かって通せなかったパスがあったし、ああいうのを直さないといけない」と、反省する。

　この岡山戦では、相手にドリブルで突っかける場面が目立った。相手の状況を見て仕掛けたそのプレーは、自分に課しているテーマでもあるという。

「最初は、簡単に裏を狙って行こうかなと思ったんです。でも、相手が予想以上にボールに来なかったので、一枚自分ではがせば、もう一枚くるかなと思って意図的にやっていました。でも、なかなかその先が出せなかった。二枚はがせるようになれば局面が変わるし、周りももっと楽に受けられると思うので、ビデオで確認して成長できるようにやっていきたい。自分で打開する力を付けていきたい」。

　後半に入ってからもMF寺田紳一らとともに攻撃を組み立てていた佐藤だが、後半32分に退場処分となる。味方がボールを失い、カウンターを受けたところで相手選手を後方から追いかけた際に倒してしまい、この試合2枚目のイエローカードを受けた。

「頭では、一枚もらっていることが分かっていたので、戻ればいいやと思っていたんです。そうしたら、足がカンって当たって…。最悪でしたね。本当、みんなに迷惑をかけました。今日は何より、みんなが集中して守って勝ち点1を取ってくれた。助けられたなという感じです」と、振り返る。佐藤の退場後、中田仁司監督はFW大久保哲哉を最終ラインに下げ、0-0で試合を終えるプランを選択。数的不利の中で岡山に押し込まれたが、負けなかったことに安堵した。

　残り4節となったJ2リーグ。この試合で退場した佐藤は、次節の福岡戦は出場停止となる。「なかなか結果が出ていませんが、どういうサッカーをするのかは、はっきりしています。やるべきことは、みんな分かっていると思う。引きずっている場合でもないし、次、次で、どんどんやっていかないと。僕は次の試合には出られませんが、みんなが頑張れるように今週1週間はサポートして、その次にまたチャンスをもらえれば、爆発できるように準備したいです」と、まずはチームのJ2残留確定に向けて最善を尽くしていくつもりだ。

(取材・文　河合拓)