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[MOM1543]和歌山北DF中島雅堯(3年)_ 昨年のリベンジ誓うSBが攻撃で存在感発揮

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.30 全国高校選手権和歌山県予選3回戦 和歌山北高 4-0 和歌山高専 上富田スポーツセンター人工芝]

「オーバーラップして、攻撃に関わり、シュートまで行くのが僕の武器」と胸を張るのが、和歌山北高の左SB中島雅堯(3年)だ。全体的に持ち味を出しきなかったチームが4-0で勝利できたのは、彼の働きがあったからと言っても過言ではない。

 最初の見せ場は前半2分。周囲との連係で左サイドを上がると、PA左外で倒され、FKを獲得する。MF西村宣哉のキックから、MF櫻井翼がヘディングシュートを叩き込んで奪った先制点のきっかけを作った。以降も中島は積極的にボール回しに絡みながら、オーバーラップを繰り返すと、時には前列のMF和田広矢を追い越して、ゴール前まで進出する場面も。9分にはPA左まで駆け上がり、シュートを放ったが、これはクロスバーに阻まれた。

 後半開始からの持ち場は、ポジションを一つ上げた左MF。思い切りの良い突破を見せて、和歌山北の攻撃をけん引すると同時に、前半以上にゴール前で仕事をする機会が増えた。20分には中盤右寄りでボールを受けたFW通阪瑞輝の浮き球にいち早く反応。左サイドからPAに飛び込み、ゴールを狙った。後半は追加点が奪えず、試合後は「立ち上がりは早めに点が獲れて、良い流れを掴めるかなと思ったけど、球際の甘さやポジショニングの悪さが出て、上手く行かなかった。気持ち的には皆で行こうとしていたけど、気持ちが先走りした感じでしたね。失い方も悪かったので、次の近大和歌山戦までに修正したい」と反省を口にしたが、最後まで相手に脅威を与える存在だったのは間違いない。

 準々決勝で対戦する近大和歌山は、2年続けて選手権予選で敗れた相手。チームとして因縁を抱えるだけでなく、中島自身も昨年の準決勝で対戦した際に、悔しい経験をしている。「初めての選手権で、前半から舞い上がっていた。後半に入る前に、監督から『落ち着いてプレーしたらいい』って声をかけてもらったのに、『自分がやらなきゃ』って気持ちが強くて、プレーが荒くなってしまった」と振り返るように、スコアレスで迎えた延長前半に2枚目のイエローカードを受けて、退場。試合はそのままPK戦まで進み、5-6で敗れた。

 本来ならば、自責の念にかられてもおかしくない状況だが、「先輩だったり、今年のキャプテンの(通阪)瑞輝が良い声をかけてくれたんです。『(準々決勝の)和歌山工戦で、お前が決勝点を決めたからここまで来れたんや』とか、『オマエのせいじゃない。気にすることない』って。同級生からも声をかけてもらえたおかげで助かったし、嬉しかったです。皆がいたから、すぐに気持ちを切り替えることができた」。

 最終学年を迎えた今年は、「去年よりも『自分がやらなきゃダメ』っていう気持ちが強いけど、昨年の選手権を経験できなかったので、もう舞い上がるような精神力ではない」とこれまでとは違った姿を見せるつもりだ。「昨年は先輩のために何もできなかったので、今年はしっかり優勝という形で恩返しがしたい」と意気込んだように、因縁の相手を倒し、一気に頂点まで登りつめる。

(取材・文 森田将義)
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