beacon

1週間かけた対策が…相手エースの出停を当日朝知った慶應義塾大「まじかよ!」

このエントリーをはてなブックマークに追加
[10.31 関東大学1部リーグ第20節 国士舘大0-3慶應義塾大 西が丘]

 試合当日の朝、慶應義塾大の選手たちに衝撃が走った。1週間かけて対策を重ねてきた相手エースの国士舘大FW松本孝平(3年=藤沢清流高)が累積警告による出場停止だと知らされたのだ。選手たちは「まじかよ!」と心の中で叫んだという。

 関東大学リーグの得点ランキングでトップをひた走る松本は、前節・法政大戦で受けた警告が累積4枚目。今節の慶應義塾大は出場停止扱いとなっていた。しかし、第19節の結果が更新される前に関東大学サッカー連盟の公式サイトを見た慶應義塾大は、松本は累積3枚目と勘違い。出場してくると思い込んでしまった。

 相手エースをどう止めるか。この1週間では182cmのFW池田豊史貴(2年=浅野)を186cmの松本に見立てて練習を繰り返した。須田芳正監督も「あの大きい奴を松本だといってね。16番だぞ!松本だぞ!と練習してきました」と言う。

 しかし、試合を数時間後に控えるこの日の朝。選手たちの元へ主務から驚きの『LINE』が届く。「松本は出ないよ」。

 まさかの事態を振り返った主将のDF久保飛翔(4年=済美高)は「なに、出場停止になってんのコイツ。って思いましたよ」と冗談交じりに苦笑する。「前期の対戦時には点を取られていたので、今回は絶対にやりたかったんですけどね」。松本との対戦を楽しみにしていたからこそ、複雑な心境だった。「1週間そのためにトレーニングをして、試合のビデオも見て、こう止めようと考えていたのに」。

 MF宮地元貴(3年=東京Vユース)も「びっくりしましたよ」と笑いながらも「結果的にいませんでしたけど、実際は対戦したい気持ちがあったから残念な思いもありました」と話した。

 “衝撃の事実”を知った選手たち。試合会場に集合し、それぞれが顔を合わせると思わず笑ってしまったといい、なかには「スタッフはあえて出場停止を隠していたんじゃないか」と冗談交じりに“推理”する選手もいたという。

 須田監督は「ずっと練習してきて……まぁそういうこともあるかなと」と苦笑い。とはいえ、チームは国士舘大に3-0で勝利し、優勝争いへ生き残った。久保主将は「勝ったからこそ笑い話にできるんですけどね」と少し恥ずかしそうに笑った。

(取材・文 片岡涼)

TOP