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7戦ぶり先発で今季初ゴールに決勝アシスト 大宮DF渡部「自分たちの力でタイトルを取りたい」

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[11.1 J2第39節 大宮2-1長崎 NACK]

 敵将も思わずうなる一撃だった。試合を振り返ったV・ファーレン長崎高木琢也監督は、立ち上がりに許した先制点の場面を「失点は良いシュートだった。そこは渡部選手を褒めるべき」と、振り返る。

 試合を動かしたのは、今季、ゴールのなかった伏兵だった。大宮アルディージャDF渡部大輔は、この試合で7試合ぶりに先発出場を果たすと、前半7分に左サイドから右サイドへと渡って来たボールを右足で止め、縦に抜け出してから切り返しを入れ、左足に持ち替えてシュートを放った。ボールは鮮やかな弧を描き、ゴールネットを揺らした。

「ここ何試合か出ていなかった中で、自分が入ってアクセントを付けたかった」と、渡部は試合に臨む前の心境を語る。そして、先制点の場面については「良い形でサイドチェンジをしてくれた。最初はクロスを上げようと思ったけど、シュートに切り替えました。枠に行ってほしいなと思って思いっきり打ったので、それがゴールにつながって良かったです」と、振り返った。今季28試合目の出場にして、うれしい初ゴールとなったが「自分でも入るとは思っていなかったので、ビックリしましたが、みんなが喜んでくれて良かったです」と、笑顔を見せる。

 3バックの長崎に対して、より攻撃力の高いサイドバックを起用した大宮。その起用は多いに当たった。後半の追加点もまた、MFカルリーニョスからのボールを受けた渡部が演出する。後半23分、縦に仕掛けた渡部のドリブルは、一度相手に引っ掛かる。それでも力強く縦へと抜け出した渡部は、柔らかいクロスをゴール前に送った。これをFWムルジャが打点の高いヘッドで合わせ、追加点とした。

 左サイドで組み立て、右サイドに展開して仕留める。その形が、この試合では結果につながった。「あれも良い形で展開してきてくれて、うまくゴール前まで行くことができたので、あとは『決めてくれ』という感じで緩いボールを上げられました。うまく決めてくれてよかったです」と、渡部はアシストシーンも回想する。そして、「うちは左サイドでつくることが多く、最近はそこで良いタイミングで逆サイドも見てくれるようになっています。それが良い形につながったと思います」と、チームが積み上げてきたものを語った。

 一時は独走でJ1昇格を決めそうな勢いだった大宮だが、ここにきて停滞。それでも、渡部の2ゴールに絡む活躍もあり、大宮は2-1で勝利し、実に5試合ぶりとなる勝ち点3を獲得した。

「選手たちもこの期間、何が悪くて勝てないかがわからなかった。でも、とりあえず失点が多かったので、なるべく失点を減らしていこうと話し合い、守備の意識を再統一してこの試合に臨みました。1失点はしましたが、良い結果が出たので、これを残り3試合でも続けたい」と、渡部は守備面でも手応えがあったと話す。そのプレーについては渋谷洋樹監督も「今日はパーフェクト」と目を細めた。

 アカデミー出身の渡部は、J2を制してのJ1昇格に、人一倍強い想いを持っている。「僕自身、タイトルを懸けた試合は経験したことがありません。全部勝てばタイトルを取れるので、しっかり自分たちの力でタイトルを取りたい」。5戦ぶりの勝利を機に、大宮は自分たちの力でJ2の頂点の座をつかみに行く。

(取材・文 河合拓)
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