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10人での勝利に興奮気味の名波監督は選手に謝罪? 「息子たちと言っちゃって…」

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[11.1 J2第39節 東京V0-3磐田 味スタ]

 前半に退場者を出しながらも3-0で勝利すると、自動昇格圏内の2位をキープしたジュビロ磐田。試合後のテレビインタビューで名波浩監督は「早々に退場者を出して苦しいゲーム展開になるかとは思いましたが」と言うと、「我々の息子たちは相当たくましく、常に前がかりにゴールに向かう姿勢を貫いたからこそ、いい結果が出たんじゃないかなと思います」と語った。

 冷静に話しているように見えた指揮官だったが、内心は10人での3発完勝に昂ぶっていたといい、「ちょっと興奮していて」と恥ずかしそうに振り返る。

 思わず口をついて出た「我々の息子たち」という言葉。名波監督は試合後のロッカールームで「息子たちと言ってしまって申し訳ない」と選手たちへ謝ったという。指揮官の“謝罪”を振り返ったMF川辺駿ら選手たちは口々に「別に息子じゃないし!とは思っていないですよ」と笑って話した。

 3戦連続の完封勝利で3連勝。プレッシャーのかかるなか、3位・福岡と勝ち点2差の2位を守り、チームの雰囲気はいい。磐田の好調ぶりは、FWジェイやGKカミンスキー、MFアダイウトンら助っ人外国人選手の活躍抜きでは語れないが、その選手たちのメンタルをコントロールしているのが名波監督だ。

 この日、2点を挙げたMFアダイウトンは「非常にいい監督だと思っています」といい、「加入した最初のときから選手一人ひとりに声をかけてくれますし、モチベーションも高くしてくれる」と話した。

 加えて、「通訳を介してだけでなく、少しポルトガル語もできるので直接やりとりもしてくれる」とコミュニケーションの問題もないことを強調。「数年後には日本代表監督まで登りつめる存在だと思います」と語った。

「日ごろの練習から楽しむ部分は楽しく、しっかりするところはしっかりとして、メリハリを持ってできている」と日々を語るアダイウトン。3人の助っ人選手全員が異国の地で伸び伸びとプレーしている背景には、モチベーターとしての名波監督の姿があるようだ。

 試合後、選手たちに“謝罪”した指揮官だったが「お前らは勇者だ。我々は負けられない状況で苦しいゲーム展開のなかで勝ち点3を手に入れた。ただまだ何も得ていない。これを続けていこう」と檄も飛ばした。今季も残るは3試合。この勢いのまま総力戦で戦い抜き、J1復帰を果たす。
 
(取材・文 片岡涼)

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