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[MOM1556]山梨学院FW前田大然(3年)_4戦連発!外しても、外しても前へ、ゴールへ

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.31 全国高校選手権山梨県予選準決勝 日本航空高 0-1 山梨学院高 中銀スタ]

 この日は歓声よりも、スタンドにため息をつかせたシーンの方が多かったかもしれない。それでも日本航空高の仲田和正監督は「9番の子を捕まえきれなかった」と首を振る。山梨学院高の9番、FW前田大然(3年)は「3点は取れたかなと思う。最近は入っていたんですけどね」と試合後明らかに不満顔。だが、DFのマークを外して再三決定的なシュートを打ち続け、プレッシングの急先鋒となっていた彼は間違いなく相手にとって脅威だった。

 前半8分に左クロスを頭で合わせながらも決めきれなかった前田だが、13分にPAでMF阿部優澄が落としたボールを右足でゴール右隅へ沈めて4戦連発となる先制点を決める。その後も「初めのワンプレーで相手のCBが自分にマンマーク的な感じだったので、逆取ることは意識していました」という前田は15分、20分にもクロスでDFのマークを外して決定的なシュートを放つ。だがポストを叩くなど2点目が遠い。推進力十分のドリブル、競り合いでの強さも発揮したFWは、後半も19分に阿部のスルーパスで独走しながらも決め切ることができなかった。

 決定機を続けて逸すると精神的な影響が出てしまうところ。だが、「とりあえず、(吉永)監督には『入るまでやり続けろ』と言われているのでそれを意識してやっています」という前田はへこたれない。外れても、外れても切り替えてひたすらゴールを目指し続ける。その前田について、吉永一明監督は「オレは何本外しても下向いてほしくないし、次決めるというメンタリティーを持ってもらいたいというのが一番。ふつう心折れちゃうけれど、彼は向かっていくからね。そういうメンタリティーは持ち続けてもらいたい。打たなきゃ入らないし、仕掛けないと上手くならないから」。指揮官から長い目で育てられてきたFWは特に夏から「自分が点を取れば勝てる」とエースとしての自覚が増し、より一層ゴールを奪うことに集中している。

 この日も含めて足が攣っているような試合もあるというが、それを周囲に悟らせないくらいに攻守で走り続ける。そのスプリント力で会場を沸かせられる稀有な存在。清水ヘッドコーチ時代に現日本代表のFW岡崎慎司の指導もしている吉永監督が「素質はもっている。岡ちゃんよりスピードあるし、天性の身体の強さもある」というFWは「中学校のコーチとかも全国に出たら見に来てくれると言ってくれている。そう言った面でも全国出たい」。時期はやや遅いかもしれないが、注目の素材にとって選手権はプロへの最後のアピールの場。まずは自らのゴールで全国進出を決めて、より多くの人々の視線の中で活躍して将来を切り開く。

(取材・文 吉田太郎)
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