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[MOM1557]大分鶴崎MF長冨瞬也(3年)_貴重な決勝弾を演出した大分鶴崎の“ダイナモ”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.1 全国高校選手権大分県予選準々決勝 大分南高 0-1 大分鶴崎高 三光総合運動公園]

 前半こそ一進一退の展開を見せた大分鶴崎高だったが、後半は大分南高の圧力に屈しそうになる場面が目立った。その状況下でも勝利をたぐり寄せられたのは、カウンターの急先鋒役を担ったMF長冨瞬也(3年)の短騎突進があったからこそである。

 特に、深い位置まで入り込むドリブル突破は最終ラインの押し上げる時間を創出。守備陣の負担を軽くさせる要因になったことは間違いない。また、攻撃でもそのプレーは活かされた。後半37分に生まれた決勝点の場面では、単独で左サイドを突破。「自分はスピードがあるので、縦で勝負すれば行けるなと思った。そうしたら、抜けることができて良い形になってくれて良かった」というダイナミックな動きから、左足でシュートを打ち切ってみせた。その積極性がMF遠藤輝(2年)のゴールに繋がった。

 右サイドを任されながらも様々なところでプレーに関わっていた長冨だが、的確な状況判断があるからこその動きである。「ボールがあまり来なかったので、自分から左サイドで受けた。そっちの方がチャンスになると思ったので」と、自身のプレーを振り返るようにピッチ内の状況を把握していないと実行に移すことはできない。そして、目匡弘監督が自由なプレーを容認し、選手たちを伸び伸びとプレーさせてくれる土壌があったことも大きな意味を持つ。自身の判断で動けば、監督から少なからず指摘が入ることがある。そこを個々の判断に任せ、ピッチ内で起きたことを選手たちで解決することを指揮官は求め続けた。だからこそ、高い戦術眼と臨機応変なプレーが身に付いたと言えるだろう。

 ただ、このプレーはあらゆる場面に顔を出すスタミナがあってこそ光り輝く個性である。3-3-3-1の2列目に入り、右サイドを任される男の運動量は特筆すべきモノ。「他の人よりも運動量があると思うので、他の人の分まで走ることを意識している。走ることでパスコースを増やして、攻撃のチャンスやパターンを増やせればいい」という献身性が、チームに勝利をもたらした。

 2年前の選手権予選決勝では悔しさを噛み締めた。それだけに大分鶴崎のダイナモは今年に掛ける想いを持つ。リベンジの舞台まであと1勝。準決勝でも縦横無尽に走り、決勝の舞台に立つことを誓う。

(取材・文 松尾祐希)
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