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[選手権予選]部員28名の古豪与勝が南風原に競り勝ち、14年ぶりの決勝進出:沖縄

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[11.3 全国高校選手権沖縄県予選準決勝 南風原高1-2与勝高 沖縄県陸]

 第94回全国高校サッカー選手権の沖縄県予選の準決勝が3日に行われ、与勝高(よかつ・こう)が南風原高(はえばる・こう)を2-1で下し、全国大会に出場した第80回大会以来、14年ぶりの決勝に進んだ。7日に行われる決勝では那覇西高と対戦する。

 古豪が全国まであと1勝に迫った。与勝高は沖縄県中部のうるま市にある県立校。昔からサッカー熱が高い地域で、その象徴である与勝高は県内では那覇西高に次ぐ過去5度の全国選手権出場を誇っている。ただ近年は有力選手が集まる那覇のチームに後塵を拝し、なかなか結果を残すことが出来なかった。

 部員集めにも苦労している現実がある。地域の公立校ということで、中高一貫の与勝緑が丘中、そして与勝中、与勝第二中から進学する生徒がほとんど。さらに中学校のサッカー部員がサッカーを続けるとは限らず、現在部員は28名。当初1年生部員は17名いたが、3名が他クラブへ移籍してしまったのだという。

 ただ一気に弱体化しているわけではない。県リーグの波布リーグ1部では今季、10チーム中6位の成績。さらに2年前の総体予選では3位の成績を残すなど、勝負強さという伝統を引き継いでいる。OBを中心に高まる期待。キャプテンMF名嘉村俊治(3年)が、「(OBは)中学校時代のコーチとか、父母の中にも何人かいる」と話すように、イレブンもその期待をひしひしと感じながら、今大会に臨んでいる。

 準決勝の相手は、今季は同じく県1部リーグでしのぎを削る南風原だった。ただ今季の直接対決で、前期が3-1、後期は6-1と完勝している相手だけに、自信を持って臨むことが出来ていた。

 前半、風上に立った与勝は、積極的な仕掛けを見せた。18分には「まず先制点が欲しかった」と話した名嘉村がミドルレンジから右足を一閃。ゴール左に風に乗ったシュートを突き刺し、先制に成功した。ただ与勝は南風原のCKやサイド攻撃といったゆさぶりに苦しむ。そして同32分、左サイドから崩されると、FW平川伶王(2年)のクロスボールに対応しきれずDF東江和真(1年)がオウンゴール。試合が振り出しに戻ってしまった。

 しかし与勝は慌てなかった。直後の同33分、FW上門知樹(3年)のラストパスを受けたDF伊盛達貴(3年)が右足グラウンダーシュートをゴール左隅にねじ込む。名嘉村が「勝敗を決めた要因。チームの約束ごととして最初の5分、失点した後の5分などは気持ちを切り替えて戦うということを実践しています」と胸を張ったように、あっという間に勝ち越しに成功した。

 だが課題も見えた。後半序盤、立て続けに相手ゴールに迫るが、勝負を決めきれない。2分の左クロスに反応した上門の右足シュートも枠を捕えず。同3分の伊盛のシュートも戻ったDFにカットされてしまう。逆に同25分にサイドを抜け出されて南風原FW平川にゴールネットを揺らされる。オフサイド判定に助けられたが、試練の時間帯が続いた。風下の後半、運動量も落ちたことで、ボールウォッチャーになることも多かった与勝だが、何とかリードを守り抜き、決勝へと駒を進めた。

 決勝の相手は県1部リーグで2戦2敗の那覇西高が相手になる。今年4月に赴任し、実質的にチームの指揮を執る玉城竜太コーチは、「相手は余裕があると思う。ただ今から特に何かをするということではない。やってきたことを出そうという感じで、土曜日には持っていきたい。簡単に勝てる相手ではないが、チャレンジャー精神でぶつかりたい」と気を引き締めた。

(取材・文 児玉幸洋)
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