[11.3 全国高校選手権沖縄県予選準決勝 那覇西高4-1普天間高 沖縄県陸]

　第94回全国高校サッカー選手権の沖縄県予選の準決勝が3日に行われ、2年ぶりの全国出場を目指す那覇西高が、ノーシードで1回戦から勝ち上がってきた普天間高を4-1で退け、決勝戦に駒を進めた。7日に行われる決勝では与勝高と対戦する。

　試合序盤、“怪我の功名”が普天間の戦術にはまった。負傷者が出たことで、もともと中盤のMF志喜屋春樹(3年)とMF金城旭樹(3年)が両SBに回ったことが、風上で圧力をかける那覇西のサイド攻撃を封じる。そして前半30分、中盤でも互角の戦いを演じていた普天間は、MF比嘉悠(3年)、FW米須蛍晶(2年)と浮き球でつないだボールを、FW西俣昂(3年)が左足でゴール右隅に蹴り込み、先制点を奪った。

　ただ、先に失点したが那覇西は慌てなかった。中盤の攻防で後手に回っていると感じた玉城真哉監督は、失点直後の34分にMF仲真悠介(3年)を下げてMF金城晴貴(2年)を投入。金城をボランチにして中盤の安定化を図るとともに、中にいたMF上原牧人(2年)をサイドに出して対応。すると徐々にボールが回り出し、流れが那覇西に傾きだす。そして前半終了間際の40分、左サイドを突破したMF久場琉(3年)がエリア内で倒されてPKを獲得。これを自らが沈めた。

　さらに那覇西は前半のうちに試合を振り出しに戻したことで、後半一気に試合をひっくり返す。後半3分、DF崎山一喜(3年)から出たロングボールで抜けたFW下地優利(3年)が、左に流れながらGK前田克貴(3年)をもかわして、逆転ゴールをねじ込む。一気に主導権を握り返した那覇西は同26分、途中出場のMF宮城航(3年)が蹴った右CKを、キャプテン崎山が打点の高いヘディングで押し込み3点目。試合終了間際のアディショナルタイム1分には、FKのこぼれ球を久場が右足で豪快に蹴り込む。修正能力の高さを見せた那覇西が快勝した。

　那覇西は過去13度の全国選手権出場を果たしている強豪校。今年のチームも県新人戦を制し、県リーグの波布リーグ1部でも首位に立つなど、県内ではほぼ負けなしの強さを誇っている。ただ、今夏の総体予選では、決勝で那覇高に0-1で惜敗。さらにその大会で、チームの半分の得点を挙げていたエースFW久貝俊喜(3年)を骨折長期離脱で失うという試練が襲った。

「夏からずっと探りながらやってきた」という玉城監督。この日も今大会序盤は左SBだった背番号4の下地をトップで使うなど、試行錯誤を続けている。それでも「出し惜しみしないで、代わりのメンバーを信頼して、みんなでやろうと話している」と選手たちの成長を実感。準々決勝から中2日で迎えたこの日も、足がつる選手が続出したことで、「誰が最後まで持つんだと思った」と苦笑いを浮かべた指揮官は、「調子は上がってきています」とチーム力に自信を見せる。

　2年ぶりの全国切符まであと1勝。相手は14年ぶりの決勝進出で、那覇西に次ぐ過去5度の全国選手権出場を誇る古豪・与勝高だが、今季の波布リーグ1部では2連勝と相性の良さを見せている。ただ玉城監督は「与勝高のブロックは総体予選優勝の那覇高がいたし、強いところを相手に勝ち上がってきた。かなり粘り強いチームだと思う」。優勝候補・那覇西に慢心はない。

(取材・文　児玉幸洋)

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