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[選手権予選]涙を飲んだ決勝の舞台に再び。富山東が富山中部振り切り、38年ぶりの全国へ王手!

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[11.3 全国高校選手権富山県予選準決勝 富山東高 2-0 富山中部高 富山県総合運動公園]

 第94回全国高校サッカー選手権富山県予選は3日に準決勝を行い、富山東高と富山中部高が対戦。FW市田将道とFW佐野歩夢の得点によって富山東が2-0で勝利した。11月7日の決勝では、富山一高と対戦する。

 富山東が1977年以来、3度目となる選手権にまた一歩前進した。県屈指の進学校として知られる富山中部との対戦は県1部リーグを含めて、今回が今年3回目。1勝1分と富山東が負けなしを保つものの、互いに手の内を知る相手とあり、試合序盤は拮抗した展開が続いた。試合が動いたのは前半21分。自陣でボールを奪ったDF{武隈雄亮}}がエリア左へと大きく展開すると、受けた市田がスピードに乗ったドリブルでPAまで持ち込み、右足一閃。「接戦になるなと思っていたので、早めに先取点が獲れたのが大きかった」(安井孝志監督)富山東だったが、このゴールの直後には富山中部FW高橋征志にクロスバーを直撃するシュートを打たれ、肝を冷やす場面も。指揮官が「入っていたら、どうなっていたか分からない」と振り返るピンチを凌ぐと、32分には左CKを佐野が右足で合わせて、2点リードで前半を終えた。

 後半5分に、右サイドからゴール前に入ったパスをMF武隈基浩がスライディングで合わすなど後半も出だしこそは順調だったが、この日は準々決勝の富山商高戦から中2日。間に模試が実施されたため、満足な練習ができず、「戦術的な交代は1回もない。怪我とか、足をつっているとかそんな理由ばかり」(安井監督)と、スタミナ切れをおこしてベンチに下がる選手が続く。ただ、「誰が出ても、そんなに変わらないので、信頼して試合に出しました」と指揮官が続けたように、後からピッチに送り出されたMF小林恵嗣らが、主力以上の存在感を見せて奮闘。守備も集中切らさず、10分には左を崩され、FW磯部惇に鋭いターンからシュートを打たれたが、GK村上優太が落ち着いてセーブ。17分にも後方からのクロスに反応した高橋が胸トラップから、フリーでゴール前に侵入されたが、ゴールを許さず、2-0のままタイムアップを迎えた。

 富山一と対峙する決勝の組み合わせは一昨年と同じ。この時は80分間、相手の攻撃を耐え凌ぎ、延長戦まで持ち込んだが、2失点を許して全国行きを逃している。「1年生だったので、ガムシャラにやっていて、あまり記憶になくて、悔しい気持ちしか覚えていない」と振り返る主将の武隈雄を始め、今年のスタメン3人が当時の経験者。その後、日本一まで登りつめた富山一の姿を見て、「勝っていれば、自分たちも上まで行けたんじゃないかって思って悔しかった」。水橋に県代表の座を譲った昨年も気持ちは変わらず。「自分たちが全国に出て勝つことが目標」と武隈雄は言い切る。

「2年前とはサッカーが違うし、チームの雰囲気も良い。あの時は、ロングパスばかりで前線にボールがおさまっても、そこからの攻め手がなかったけど、今年は(市田)将道と佐野が成長しているので、突破できる自信がある」と武隈雄が続けたように、前回の決勝とは違ってチームとしての手応えを感じているのは確か。安井監督がこの日の試合を「もっと良いサッカーができると思う。展開は予想通りだけど、内容はいまいち、いまに、いまさんくらい」と評したのも、彼らの力を買っているからだろう。彼らが2年前とは違う結末を迎えても何ら不思議なことではない。

[写真]富山東は38年ぶりの全国へ王手。FW佐野は1ゴールを記録

(取材・文 森田将義)
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