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[MOM1568]流通経済大柏FWジャーメインアレクサンダー正(3年)_2日前に得たラストチャンス、攻守に躍動して2発!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.1 全国高校選手権千葉県予選準々決勝 流通経済大柏高 4-0 八千代松陰高 東総運動場]

 流通経済大柏高は1年時から話題となっていたジャーメインアレクサンダー正(3年)がようやく結果を出した。流経大柏が2年前にプレミアリーグチャンピオンシップを制した際のストライカー、ジャーメイン良(現流通経済大)を兄に持つジャーメインは憧れの存在にフランス代表MFポール・ポグハの名を挙げるセンターハーフ。だが、周囲も認める技術の持ち主でありながら、闘争心を表現することのできずに評価を勝ち取れなかったジャーマインはこの選手権予選が始まってもまだBチームにいた。

 それが八千代松陰高戦2日前の練習中に突然、本田裕一郎監督からトップチームに呼ばれ、ゲーム練習でそのまま主力組のFWに入った。前線に長身FWを置くことを考えた指揮官から「ラストチャンス」と言われてトップチームに合流したジャーメインは不慣れなFWながらもいい形のプレーを数度見せて八千代松陰戦でも先発出場。すると、前半2分に左ロングスローで競り勝ってMF宮坂昂輝の先制ゴールをアシストし、17分には宮坂のスルーパスから右足シュートをゴールへ叩き込んだ。

 そして後半7分にはゴール前のこぼれ球を押し込んで2得点目。「いつも足先のプレーが多いと言われていた。気持ちのところもナニクソの気持ちがないと言われていた。簡単にやっていた。(きょうは)とにかく最初、『点より走れ』と言われていたので、自分でも献身的に走ろうと思った。あと『ヘディングで負けるな』と言われていたので全部しっかり競ろうと思いました」というFWは、エネルギッシュなプレスで単騎相手を追い回してタッチライン外へ押し出し、また再三の空中戦で戦い続けるなど、これまでにないほどの存在感あるプレーを見せた。

 上手いけれど軽い、また自分よがりなプレーもこの日はほぼ影を潜めた。「ジャメはそれまで全然良くなかった。ポジションなかった」と話した本田監督も認める80分間。1年時からトップチームを経験しながら、最上級生になっても出場機会を限られていた注目MFが、FWとして力を発揮した。だが、「ラストチャンス」の男は気を緩めている暇もないことを理解している。「毎週、毎週入れ替わりが激しい。きょう結果出したけれど次、自分が出れるか分からない。練習からやって、自分がまた出られるチャンスを貰えれば、ラストチャンスのつもりでやりたい」。
 
 先輩でもある兄からは全国総体メンバーから外れた際に「選手権もあるから」と励まされたという。それでもチャンスを掴むことができないまま迎えた選手権予選でついに躍動。「自分が入る時は『ジャメの弟』だと言われていたけれど。(兄は)誰も知らないところから入って、先発取った努力は凄いなと思う」と尊敬する兄も、選手権は千葉県予選決勝で市立船橋高に敗れている。その分も自分が全国へ。ラストチャンスを掴んだジャーメインが全国出場のための切り札となる。

[写真]前半17分、流経大柏はジャーメインが右足でゴール

(取材・文 吉田太郎)
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