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[選手権予選]好チーム・柏日体食い下がるも市立船橋の強さ揺るがず、堂々の千葉4強入り

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[11.1 全国高校選手権千葉県予選準々決勝 柏日体高 1-3 市立船橋高 東総運動場]

 第94回全国高校サッカー選手権千葉県予選は1日、準々決勝を行い、今夏の全国高校総体準優勝の市立船橋高が柏日体高に3-1で勝利。中央学院高と戦う準決勝進出を決めた。

 夏の全国2位、プレミアリーグEASTでも現在4位で逆転優勝の可能性を持つなど全国トップレベルの力を有する市立船橋に対し、市立船橋OBで元柏MFの永井俊太ヘッドコーチが陣頭指揮を執る柏日体は立ち上がり、危険なゾーンに入られる前にボールを奪い、攻撃面でも幅を広く使った攻撃を見せるなど、統率の取れたサッカーで入り良く試合をスタートさせたように映った。

 だが5分、市立船橋はパス交換から「試合の入りだったので、シュートチャンスがあったらどんどん蹴って行こうと思っていた。蹴った瞬間、あんまり当たった感じなかったので完全にミートした。コース甘かったんですけどボールが速かったと思う」と振り返るMF工藤友暉(3年)が会場がどよめくような弾丸ミドルを突き刺して、早くもリードを奪った。モンテディオ山形内定FW永藤歩(3年)が負傷離脱している間にエース格としてチームを支えてきた工藤は「『点取り屋がいない』と監督にシーズン始まった時から言われていた。ひそかに、したたかに自分が一番チームで点取ってやろうと思っていた」。そのMFが柏日体の勢いを削ぐような一撃を決めた。

 ダメージを受けたものの、まだ1点差。柏日体はブレずにポゼッションから反撃を開始する。トップ下の10番MF藤岡優也(3年)が落ちて、引き出しながらボールを動かし、3トップの中央に位置するFW武井夏彦(3年)からサイドへ展開してラストパスを入れようとする。だが、市立船橋はベガルタ仙台内定MF椎橋慧也主将(3年)が「相手がポゼッションしてくるので、中固めて外にハメて取るところが自分なりにも上手く行ったので、勝ちにつながったと思う」と振り返ったように、思惑通りの守備や成長株のMF金子大毅(2年)の強さ光ったセカンドボールの攻防など危なげなく時間を進めていく。逆にボールを握り返すと存在感放つ工藤のドリブル、スルーパス、セットプレーやU-17日本代表CB杉岡大暉(2年)の攻撃参加などを活用して2点目を伺った。

 だが、柏日体もCB羽布津優之介主将(3年)やCB常田航平(3年)を中心とした守りでそれを凌ぐと、後半開始直後には藤岡からのパスを受けたMF藤生凛太郎(3年)が切り返して左足シュート。4分にも左サイドでDFを振り切った藤岡のラストパスのこぼれをMF木崎湧仁(3年)が左足で狙う。そして14分にはカウンターから左サイドを単騎突破した藤生が一気にPAまで運んで左足を振りぬく。左SB杉山弾斗にブロックされたボールを交代出場のDF飯田蒼史(3年)が右足で狙ったが、これは枠左へ外れた。

 柏日体が流れを掴もうとした時にまた立ちはだかる白い壁。17分、市立船橋は右サイドでMF押尾大貴(3年)が落としたボールを金子が相手CBの背後へ通すと、走りだしていたFW高宇洋(2年)がコントロール。個人技でDF2人を剥がして2点目のゴールを流しこんだ。さらに25分には金子がDFラインとGKの間に浮き球のパス。これに猛然と走りこんだ押尾がGKと入れ替わり、執念のゴールを押し込んで3-0と突き放した。

「奪い返しの迫力とパワーを持てたんでそこは良かったかなと思います」と朝岡隆蔵監督。柏日体もロングボールをFW大久保賢人(3年)や交代出場FW浦山雄介(2年)の前方へ入れて強引に市立船橋DF陣をこじ開けにかかるが、朝岡監督が「あんな逞しくできるヤツはいない」と絶賛した右SB古屋誠志郎(3年)が相手の厳しいチェックにもめげずに攻撃を跳ね返し続けるなど得点を許さない。終盤、パワーで優位性をもった柏日体も37分に交代出場MF折笠悠里(3年)の左FKをファーサイドで競り勝った藤生が頭で押し込んで1点を返す。だが、反撃はこの1点のみに終わった。

 柏日体の永井ヘッドコーチは「選手がベストでやってくれた」と最後まで粘り強く戦い抜いた選手たちを讃え、市立船橋については「芯が太い。(個々が)自分でプレーしている感がある」と話すなどその強さを認めていた。その市立船橋は試合最終盤に全国総体準決勝で負傷して以降、欠場の続いていた永藤が約3か月ぶりに実戦復帰。快足エースという切り札を持って準決勝に臨むことになった。

 名門の目標である日本一を果たすために、まずは千葉制覇。今は、気の抜けない県内の戦いで白星を一つひとつ勝ち取っていくしかない。椎橋は「隙見せずにやるだけ。去年からインターハイ含めて(千葉で)てっぺんとっていないので、今度こそはという気持ちは人一倍あります。インターハイも(千葉)2位で出て準優勝したけれど、1位で行かないといけないし、選手権は1校しか出れないんで、その思いというのは練習から個人個人溢れてやっています」。実力校・柏日体相手に示した名門の強さ。容易にはブレない、グラつかない強さをまた準決勝でも発揮する。

[写真]前半5分、市立船橋はMF工藤の右足ミドルで先制

(取材・文 吉田太郎)
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